あけましておめでとうございます。 レコード店の松田です。 2018年初メールマガジンは60年代の音楽を中心に「外国のアーティストが歌う、日本語カタコトポップス」の世界をご紹介したいと思います。 60年代多くのポップスが外国から輸入され、日本でもたくさん聴かれる様になりました。 海外のアーティスト達もワールドワイドに活動するようになり、母国語だけでなくその国の人達に楽しんでもらえるよう、リリースされる国の言語でレコードを吹き込みました。 初めてカタコト日本語ポップスを聴いたときは「面白いなー」くらいの感じでした。何回か聴くうちに、慣れない日本語の発音、歌い手の母国語が入り交じった発音に、可愛らしさや不思議な魅力を感じるようになりました。とっても一方的な感覚なのですが、なんというかけなげな感じがして、すぐにカタコトポップスの魅力に引き込まれてしまいました。 そんな素敵なカタコトポップスの代表作(?)をご紹介したいと思います。 |
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初めてわたしが触れたカタコトポップスは、フランス・ギャルの「夢見るシャンソン人形」でした。 若い10代の世間知らずのようなアイドルが恋愛の歌を歌うのを皮肉ったような内容でその当時のアイドルらしからぬ異色さに注目され世界中でヒットしました。 フランス語の発音で歌われる日本語がとっても舌足らずのようで可愛らしく、ワ行がなぜかちょっぴり色っぽく耳に残ります。 悲しいことについ先日70才でお亡くなりになられました。 追悼のメッセージと共に色々なところでフランス・ギャルの音楽が流されており作品を聴き直しましたが、フランスのオシャレで都会的な音にキュートな歌声が乗っかってとっても魅力的です。私の1番好きなフレンチ・ポップスの歌手はフランス・ギャルだなとあらためて思いました。 |
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同じくフレンチ・ポップス、イエイエブームを代表する歌手、シルヴィ・バルタン。 65年の初来日以来コンスタントに日本での公演を行い親日家としても知られています。 他のアーティストはセルフカバーの日本語版が多かった中、シルヴィは日本のみの企画盤として「恋人時代」というオリジナル曲を録音しました。 個人的なオススメは61年以降ファッションメーカーのレナウンのCMソングとして弘田三枝子などに歌われた「ワンサカ娘」。 シルヴィも日本語で歌っています。 歌詞の「いいわ〜」の部分を「トレヴィアーン」と歌っており、その少しハスキーで大人びた声とキュートなルックスのギャップにドキッとします。 |
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以前のメルマガでもご紹介したアメリカン・ポップスの女王コニー・フランシスも様々な国の言語で多くのレコードを残しています。 日本でも代表曲「ヴァケイション」はもちろん「ロリポップリップス」「想い出の冬休み」など20曲以上もの日本語版をリリース。 「夢のデイト」のように、日本独自のヒット曲も多くあります。 日本語訳詞のほとんどを日本カバーポップス文化に大きく貢献した漣健児が手掛けました。 |
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ジャズ・ポピュラーミュージックと幅広く活動し人種の壁を乗り越え世界中から愛されたナット・キング・コール。 64年にガンを患っていたナット・キング・コールは世界中に届くようにとフランス語、ドイツ語、日本語など6カ国語で「L-O-V-E」という曲を録音しました。 この曲が亡くなる直前にリリースされた最後のヒット曲となりました。 こちらの訳詞も漣健児によるもので、タイトル通りやさしく愛に溢れた1曲で、温かく幸せな気持ちになれます。 浜口庫之助によって作詞作曲された名曲「涙くんさよなら」。 65年5月に坂本九のシングルとして発売。発売当初はあまりヒットしませんでした。 しかし同年9月に「ポエトリー・モーション」や「キューティ・パイ」などのヒット曲で知られるジョニー・ティロットソンが日本語と英語でカバー。 こちらが大ヒットし、日本中から愛される1曲となりました。 カタコトの日本語で歌う不器用っぽさが歌詞とマッチして、キュンと甘酸っぱい初恋のような気持ちにさせてくれます。 |
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74年にデビューのアメリカ人の父と中国人の母をもつ香港出身の双子の姉妹、リンリン・ランラン。 オリジナルのデビュー曲「恋のインディアン人形」が大ヒットしました。 長いお下げ髪にインディアン風の衣装、エキゾチックな楽曲に少しカタコトな日本語の歌がぴったりで印象的な1曲です。 同じく70年代に活躍した全員ハーフ(という設定)のアイドルグループ、ゴールデン・ハーフ。 2曲のオリジナルとスリー・キャッツの「黄色いサクランボ」のカバーを除き、ほか全部が60年代を中心とした洋楽の日本語カバーというこの時代には珍しいグループでした。 発音の良いお色気たっぷりの英語と、カタコトな日本語のあどけなさがクセになります。 この時代で1番あざとくエロ可愛いアイドルなのではないかなと思います。 |
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98年結成の台湾のバンド旺福(ワンフー)。 60年代のGSやポップスを意識したような楽曲、衣装や使用する楽器も当時を意識した台湾のモッズバンドと言われているグループです。 日本の60'S系のイベントの出演などでも来日しています。 コータロー&ビザールメンとのスプリットアルバム「テスコ・グランド・ビザール!」では橋幸夫の66年のヒット曲「雨の中の二人」をカバー。 その他、オリジナル曲「コーヒーラブソング」などの日本語セルフカバーも収録。 英語やヨーロッパ系の歌手の日本語カバーとはまた一味違う、発音に優しい響きのあるカタコト歌唱です。 |
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93年にカリフォルニアで結成された覆面ガレージ・サーフバンド、ファントム・サーファーズ。 加山雄三のヒット曲「夜空の星に」をカバーしています。 今回紹介した中でもこの曲がナンバーワン・カタコトなんじゃないかと思うので是非聴いてみてほしいです!! 歌はだいぶクセのあるカタコトですが、さすがサーフ・インストバンドだけあって楽曲のほうの完成度は最高。 数年前に来日したときにライブを見に行きましたが、音も見た目も大迫力! さすがアメリカ、最高にかっこいいエレキバンドでした。 |
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今回は私のお気に入りのカタコトポップスをご紹介させて頂きましたが、調べてみるとカタコト歌謡ばかり集めたオムニバスが発売されていたりまだまだ山の様にカタコトポップスがあるようです。 またたくさん聴き比べてご紹介できたらなと思います。 どこの国のアーティストが歌うかによって全然ニュアンスがちがったり、クスッと笑える可愛いカタコトポップス、是非楽しんでみて下さい! |