2015年も2ヶ月目に入りました。月初に少し雪が降った日もありましたが東京の冬はだいたいカラッと乾いた晴れの日が多い感じです。皆様いかがお過ごしでしょうか。ハイファイ堂 秋葉原店 廣川勝正です。 さて、今回は昨年リリースされた名曲「さばの味噌煮」からはまりまくっているアーティスト、朝倉さやさんのアルバム「マストアイテム」をハイファイ堂で聴こうという事でお送りしたいと思います。 |
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2014年の11月頃より自分の中で大ブレークした朝倉さやさん。 1992年6月29日生まれの22歳、山形県出身のアーティストです。 「タッチ」や「創聖のアクエリオン」などを山形弁で歌ったり民謡調で歌ったりしたところがテレビで取り上げられたりとご存知の方も多いと思います。 しかも2度の民謡日本一に輝いた抜群の歌唱力と、心に響くオリジナル曲もすばらしい。 今、最も注目している若手女性シンガーソングライターです。 |
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さて、このアルバム「マストアイテム」は2枚組CDです。DISC1がオリジナル曲、DISC2がカバー曲と分けられているのですが、長く聴き入っているうちにふと気付いた事があります。 実はDISC1とDISC2は音が微妙に違うのです。私の聴いた印象ですので他の方だと感じ方が違うかもしれませんが、DISC1がボーカルの帯域のエネルギーが強めなのに比べて、DISC2はややマイルドで聴きやすくなっている感じなのです。エンジニアの方が意図的に行った音創りかどうかはわかりませんが…。 |
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私自身はプライベートではオーディオ1セット集中型ですのでDISCに合わせてシステムを組み替えることができませんが、ハイファイ堂なら複数のシステムを組み替える事が可能です。 そこで、今回はDISC1用システムとDISC2用システムの2つのシステムを用意して試聴したいと思います。 という事で早速ですが、下のシステムはDISC1用として組み合わせてみたシステムです。 スピーカーに英国KEFのMODEL203/2、プリメインアンプに英国MUSICAL FEDELITYのA1、CDプレーヤーはSONYのCDP-333ESDです。スピーカー以外はあまり高望みをせずに出来るだけ価格を抑えてシンプルに、という狙いですが、CDプレーヤーは出来ればGOLDMUNDのEIDOS18や19があれば理想でした。 では試聴開始です。 |
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このシステムのメインであるスピーカーになぜKEFを選んだのかというと、この英国のスピーカーメーカーは小型ブックシェルフから大型フロアータイプまで音に一貫性があるからです。それは全てにおいて人肌の温もりを感じさせる暖かさがあるというところです。高音にキレのある朝倉さやさんの声がキツくなりすぎず人間味のある声になってくれる事を期待してチョイスしてみました。 |
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結論から言うと80%意図した通りという感じです。特に2曲目の「東京」や11曲目の「やさしい応援歌」、13曲目の「ありがとさま(ありがとう〜山形弁だべ〜)」などしんみりした感じの曲を感情豊かに表現してくれたかなと思います。 反面、1曲目の「宇宙論」など元気いっぱいの感じの曲に対しては、もっとあっけらかんと鳴ってくれるラテン系のスピーカーの方がいいかなと感じました。 |
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ご存知の通り、中古オーディオ専門のハイファイ堂ですので、基本的に全ての機器が一点ものです。その時在庫していた機器からチョイスしないとなりません。したがって、頭に描いた理想のシステムとは当然違って来てしまいます。密かな今回の真の狙いである、名曲「さばの味噌煮」や「水の歌」をエモーショナルに歌い上げて欲しいという目的に対しては、陰影感は良く表現されていたが高らかに歌い上げるという点ではイマイチという感じでした。 ちなみに自分の考える「マストアイテム」の為の理想のスピーカーはズバリ、フランコセルブリンのアッコルドにつきると思います。非常に高価なシステムを組むことになってしまうので参考までに。 |
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さて、次に紹介するDISC2用にセットしたシステムが上の写真のALTEC/620Aスピーカーをメインとした組合わせです。 DISC2の音の印象については先にお話しさせて頂いた通りボーカル帯域が若干ですがマイルドに感じたので、ここはあえてモニター指向のスピーカーで組んでみました。ここでのポイントはコントロールアンプにMcIntoshのC32を採用したところです。このコントロールアンプはご存知の通り5バンドイコライザーを搭載しています。それを積極的に活用し、音を好みに合わせてみようという事です。はたして再生される音はどうか、期待が膨らみます。 |
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ALTECの620Aの音を自分なりの言葉で表現すると、包み隠す事の無い丸裸の音を聴き手に投げつけてくるという感じです。 グイグイと前に出て来る元気のよい音が最大の魅力です。ここでは特に3曲目の「創聖のアクエリオン」が非常に魅力的に感じました。朝倉さやさんの伸びのある声が躍動しています。三味線の切れ味のある演奏も合わせて感情豊かに鳴ってくれました。 |
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左の写真は音を聴きながら調整したイコライザーのポジションです。620Aはどちらかと言えば低域の量感があまり無い方のスピーカーですのでそれを補う形でのチューニングとなりました。例えば8曲目の「あずさ2号」などはフラットよりも写真のポジションの方が明らかに良い感じでした。反面、DISC2の中では、特に6曲目の「木綿のハンカチーフ」はやさしい感じの音創りで、フラットでもバランスが良い感じでした。 |
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今回は、1つのソフトを魅力的に鳴らすシステムを模索するという事でお届けさせて頂きました。 今回紹介した朝倉さやさんは、自分はたまたま動画サイトで見て、その魅力に魅せられてしまった事が始まりでした。メルマガを見て頂いている方々も、朝倉さやさんの動画サイト等をご覧になると、つい応援したくなる気持ちになるのではと思います。 曲造りや歌唱力に高い将来性を感じさせるアーティストです。これからの活躍が楽しみです。 ただ、生意気な事を申し上げさせて頂ければ、購入したCDの音質は是非改善してほしいと感じました。できればサラ・ブライトマンやノラ・ジョーンズのCDソフトの様に、もう少し瑞々しく、中低域に厚みがあるアナログライクな音であればと思います。オーディオ的にも魅力的な音質に仕上がっていれば、例えばオーディオ専門店やオーディオフェアなどの試聴会で試聴用ソフトとしてヘビーローテーションされるかもしれません。 では、今回はここまでにさせて頂きたいと思います。最後までご覧になって頂きましてありがとうございました。 また次回をお楽しみに。 |