ハイファイ堂メールマガジンをご覧のみなさま、こんにちは。 秋葉原店の北村です。 |
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今回のメールマガジンは・・・ |
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スピーカーでよく見かけるこの部分・・・ |
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「アッテネーター」の働きをおさらいしようと思います。 |
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アッテネーターはスピーカーに付いているツイーター、ウーファー等の各ユニットの音の大きさを調整できる機能をもっています。 このアッテネーターにより、使用環境によって発生するユニット間の音量差を補正する事ができます。好みのトーンに合わせるというよりは、誤差を補正する役割と見たほうがいいかもしれません。 ユニットがフルレンジ1発のスピーカーでは必要が無いのでアッテネーターは付いていません。アッテネーターが付いているのは必然的に2WAY以上のスピーカーという事になります。 |
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こちらの写真はJBL 4338のアッテネーター。 表示から「高域」と「超高域」の調整ができる事が分かります。 「0dB」の表示があり、基準点が分かりやすくなっています。 |
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ALTEC製ネットワークのアッテネーター。 先ほどのJBLと同じく、基準からマイナス方面への目盛りが多く振り分けられているのが興味深いです。 |
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こちらはハイファイ堂でもお馴染みARDENのアッテネーター。 TREBLE=高域が調整できます。右が音量、左が周波数特性の調整ツマミ。 ユニットが同軸構造でもこういった微調整ができるのはありがたいですね。 |
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これもアッテネーターの一種だと思いますが、表示を見ると特性だけを調整できる機能を持っているようです。 ちなみにアッテネーターは、パーツの中でも比較的劣化しやすい部分。ハイファイ堂では商品化の際に必ずチェックし、必要に応じてクリーニング等のメンテナンスや新品交換を実施しています。 |
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写真はプリメインアンプのトーンコントロール。 このトーンコントロールはスピーカーのアッテネーターとは違い、スピーカーに入力される音“全体”に影響します。 一見似たもののように捉えがちですが、全く別物の機能です。 |
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このように同じアッテネーターでもメーカーによって扱い方にちょっとした違いがあるのがおもしろいですが、今回はJBLのコンパクト3WAYモニター4312M?を使って実際にアッテネーターの操作による音の違いを検証してみましょう。 |
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上の写真が4312M?のアッテネーター。中域用ミッドレンジユニット、高域用ツイーターユニットの音量調整が可能。低域は固定。 調整幅はそれぞれ3段階ですが、基準点の表示が無いのは不親切ですね。 取扱説明書によると中央のポジションが一般的な試聴環境における標準値との事。 試聴の前に4312M?のスペックを確認。 ●周波数特性:55Hz〜50kHz ●クロスオーバー周波数:7kHz/12kHz つまり中域用ツマミが7kHz〜12kHz、高域用ツマミで12kHz〜50kHzの周波数が調整できるという事になります。 まずは標準ポジションからテストしてみましょう。 |
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●中域0、高域0 今回のスピーカー設置位置が壁際という事もあってか、ちょっと低音がふくらみ気味。ボーカルの滑舌というか明瞭度がいまひとつですが、音の定位はしっかりしています。 クラシックはちょっと暗めのトーンに聴こえます。 この音を聴くと、設置環境をそのままとするなら、アッテネーターでの調整は必要と感じました。 |
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●中域-1、高域+1 高域を一番大きくする設定。不思議ですが、若干低域が大きくなったように聴こえる場面が何回かありました。中域をマイナスに振っているのが何らかのかたちで聴こえ方に影響を及ぼしているのでしょうか。 高域+1はほんのさじ加減程度の変化でした。ボーカルの明瞭さはいまひとつ。この結果から、中域ユニットが全体の聴こえ方に対して大きな違いを与えるのではと推測。 |
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●中域+1、高域-1 数値的には基準に対して変化が大きいはずですが、実際に聴いた感じでは±0の基準値とあまり変わりが無いように感じました。 もちろん設置環境によってはこれと同じ結果になるとは限りません。今回の設置環境が、たまたま変化させた周波数部分の影響を受けにくい状態だったという事でしょうか。 |
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●中域-1、高域-1 アッテネーターに低域ウーファー用のツマミはありませんが、他の2ユニットである中高域をマイナスに振る事によって相対的に低域の音量を上げている事になります。 4312M?ではウーファーの受け持ち帯域がけっこう高めまで設定されているせいか、予想した程に音がこもるような事はありませんでしたが、コンパクトスピーカーらしい活き活きとした感じが出ない。ボーカルは引っ込んで聴こえます。男性より女性ボーカルのほうがその傾向が顕著に出ます。 クラシックは全体的に暗く詰まり気味。また、高域がマイナスに振られているので全体の音量が控えめに聞こえます。 |
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●中域0、高域+1 今回の設置条件ではこの値がベストでした。音像がシャキッとして、軽快なサウンドになってきました。 高域を+1、この違いだけで、クラシックは基準値に対してだいぶ見通しの良い音場感が得られました。 が、もちろんこれだけで満足はできません。基準からこのワンポイントの調整だけで収まったという事は、この帯域をターゲットにして設置環境を再調整すれば、アッテネーター補正±0の基準値に持っていく事もできるかもしれません。 こうやってベストポジションを探っていくのもオーディオ趣味の楽しみの一つです。 |
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★おまけ★ アッテネーターは接点が酸化や汚れで接触不良になりやすい。 定期的にぐりぐりとツマミを回し、ガリが出るのを防ぎましょう。 |
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2WAY以上のユニットを搭載したスピーカーでもアッテネーターが必ず付いている訳ではありません。アッテネーターが付いていないモデルもたくさんあります。 それはコストの面から省略したエントリーモデルもあれば、配線経路をシンプルにして音質的観点から省略したストイックな設計のモデルもありますし、さらには「まずはこのスピーカーを正確に鳴らせる環境から用意してください」と言わんばかりのハイエンドモデルまで様々。 有り無しどちらがいいとは簡単に断言はできませんが、もし付いているモデルをお使いになっているなら、活用しない手はありません。調整ツマミの数が多い程興奮するオーディオマニアもいると聞くし、調整できる部分は積極的に活用して更なる高みを目指してください♪ それでは、今回はこの辺で失礼致します。みなさまのご来店を心よりお待ちしております。 ハイファイ堂秋葉原店 北村 ●ハイファイ堂秋葉原店:〒101-0021 東京都千代田区外神田5-3-12清和ビル1階、3階 TEL (03)5818-4751 |