cappuccinoのJazz Live Report 第12弾 Fujitsu Concord Jazz Festival 2006 at Takatsuki City 2006.11.1(水) 大阪のMister Kelly'でのルイス・ナッシュのLive Reportから、かれこれ1年ぶりでしょうか。ルイス・ナッシュが参加した待望のジャズ・ライヴを鑑賞しました。全国ツアー中のバンドにはThe Duke Ellington Orchestraも参加されていますが3組揃って演奏するのは3会場だけでした。大会場が苦手な私は大阪の高槻市にあります高槻現代劇場で開催されたコンサートに足を運びました。参加者はルイス・ナッシュ率いるLewis Nash & Be-Bop Great All Stars featuring Frank Wess そしてイタリア出身大型新人女性ヴォーカリストの Roberta Gambarini & Jake Hanna Trioです。 |
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開演前のわずかな時間、会場を見渡すと観客はどちらかというと若い方より年配のご夫婦やお友だち同士のほうが多いように思いました。私の座席は4列目のど真ん中。目にも耳にも最高の場所でした。舞台に準備されたドラムセットがすごくシンプルなのに驚きました。これはルイス・ナッシュではないだろうと予測した通り、1部を飾るジェイク・ハナ・トリオがスマートに登場しました。75歳になるドラムス、ジェイク・ハナ。ピアノ、ジョン・ハモンド。ベース、ジム・ヒュー・アート。 白髪・眼鏡・かっぷくの良さ等3人の容姿があまりにも似通っているのでおかしかったです。おまけに同色の黒のスーツとTシャツで統一。でも彼らの紳士的な振る舞いに好感を持ちました。"Just Squeeze Me"でスタート。歌姫ロバータ・ガンバリーニはキラキラ煌くスパン・コールが美しいエレガントな赤のイブニング・ドレスを身にまとい登場。"Easy To Love"のCDジャケットのゴージャスな女性を想像していたのですがとてもしなやかな大人の女性を感じました。大型新人女性ヴォーカルというキャッチフレーズでしたのでどんな歌唱をされるか楽しみです。 |
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私が好きな"On The Sunny Side Of The Street"は高音域でのスキャットを披露してくれました。会場が乾燥しているのか1曲歌う度にミネラル・ウォーターで喉を潤していました。伸びのある歌声で"Lush Life""Easy To Love"を歌い。"Everything Happens To Me"は管楽器のパフォーマンスをしながらスキャットだけで観衆を魅了させます。肩の力がす〜っと消えるリラックス感、ジュニ・ミッチェル、カーリー・サイモンを彷彿させる懐かしさが距離感をなくし親近感を抱きました。とても気に入ったのが軽快ながらブルージーさを感じる”Centerpiece"でした。ジェイク・ハナ・トリオの好サポート、信頼から与える癒しのパフォーマンスであっという間にステージが終わり、ガンバリーニと「頑張ります」を掛けたのか「ガンバリマ〜ス」とコメントして、手を振りながらチャメッケと南欧の風を残して舞台袖に姿を消して行きました。終演後はサイン会を設けてサービスされていました。これからも益々ご活躍されることを期待しています。 |
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スタッフの人たちが2部の舞台セットやピアノの調律をされていました。ウッド・ベース、舞台前方にはライト付きの譜面台が1本、その横に2本をセッティング。3管編成です。そして1部の時とは違いドラム・セットは増えました。ベースの調律に現れたピーター・ワシントン。続いてスーツ姿のルイス・ナッシュが現れてドラムスの位置確認。譜面台は不要とスタッフにさげるようにコメントされたようです。さすが人気、実力共に絶好調のプロフッショナル・ジャズ・ドラマー、ルイス・ナッシュです。楽譜は頭の中。さて、メンバーが登場しました。皆スーツにネクタイ姿がバシっと決まっています。体格の良いトランペッターのテレル・スタッフォード。温厚そうなアルト・サックスのジェシー・デイビス。大柄で強面のピアニスト、マルグリュー・ミラー。現代のトップ・ベーシストの一人、ピーター・ワシントン。大ファンの超売れっ子ドラマー、ルイス・ナッシュ。そして人間国宝的な存在と言われている84歳になるフルートとテナー・サックスの至宝フランク・ウエスはステッキをつきながらの登場。秀逸なジャズメンたちからどのようなパフォーマンスが飛び出すのか、もうワクワク・ドキドキです! |
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スターティングの"Work Song"。まさにエンジンフル稼働のごとく強烈な勢い。ルイスはがんがん押し進める。全身がリズムで創造された躍動感ある肢体にはいつもながら感動します。活力に満ちたエネルギッシュなパフォーマンスにしょっぱなからやられてしまいました。私は勿論のこと会場は大いに盛り上がりました。ベーシスト、ピーター・ワシントンは派手さはないのですが終始的確なベース音で存在感を表現していました。"Autumn Leaves"は妖艶さを醸し出すドラミングとフランク・ウエスのフルートがとても美しく秋の景色を織り成していました。ルイスがMCをした時に楽曲名が聞き取れなくて会場の反応にルイスも頭をかしげていましたアップ・テンポの"The Midget"。これがグルーヴ感満載ですごくよかったです。後で確認するとジョー・ニューマンの作品だということです。 バラード・メドレーではセロニアス・モンク作"Round Midnight"哀愁漂うジェシー・ディビスのサックスの音色に酔いしれた。続いてH・カーマイケル作"Skylark"。テレル・スタッフォードのトランペットの突き抜ける硬質な音色。終始メンバー皆がとても楽しそうに演奏しているのが大変印象的で幸せのおすそ分けをして頂いたようでハッピーでした。ルイスの目のサインで柔軟に対応。阿吽の呼吸がみごとなまでにナチュラルに決まるのにはお見事の一言です。メンバー一人一人が実力の持ち主だから安心して愉しめるのが最高。"Can't Call Don't Come "はフランク・ウエス自作。彼の芳醇なワインのような円熟味あるサックスの音色は勿論ですが、サックス特有の「ズ〜ズ〜」という音・歌心・間・肺活量は申し分ありません。最高!。これは嬉しい驚きでした。瞼を閉じて聴いていると年齢を感じさせない素晴らしいサックス奏者です。ご自分の出番まではスタンドチェアーに腰掛けてリズムをカウントしながら待機されていますが演奏はというとまだまだ現役!続くビリー・ストレイホーンの"Lotus Blossom"はマリュグリュー・ミラーの優美なピアノの音色やルイスのキレのある卓越したドラミングにとても感動しました。アート・ブレイキー作"Moanin'"も自由な中にも決め技が多々あり格好良い。 予定の演目を終え舞台袖に下がる時、フランク・ウエスのとても微笑ましい老紳士の行動に私は一人で笑みを浮かべていました。サックスの噴出し口に楽譜を突っ込み、サックス・スタンドと一緒に大事そうに抱えて、ピアノに引っ掛けていたステッキをとりゆっくりマイペースで歩いて行きましたがアンコールに応えるため再度ステージに出てスタンバイ。演奏が始まってもフランク・ウエスが楽譜を探している。孫のように心配そうに横で見守るトランペットのテレル・スタッフォード。このような光景に出合せたのもライヴならでは。アンコール曲では、3管編成の醍醐味であるソニー・クラーク作"Cool Struttn'"渋く決まりました。アンコール終演後はなりやまぬ拍手の中演奏者皆が手を繋ぎ深々とお辞儀をされていました。其々のソロでは巧みな技を惜しみなく発揮して会場を湧かせるノリノリ感・聴かせどころ・つぼを心得たサウンド。彼らの質の高いパフォーマンスに大満足。もっともっと聴いていたかった。 |
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ルイス・ナッシュのダイナミック&アーティスティックなドラミングは観衆を魅了します。涌き出るリズム、多彩なブラッシュ・ワーク、マレット、ハンド・ワークはいつもながら素晴らしい。リーダーとしても頼もしく終始にこやかだったルイス・ナッシュ氏曰く「このツアーでは僕たち全員がフランク・ウエスとの共演を愉しませてもらってる」なるほど。今回の彼らのコンセプトは名曲を絵画にたとえて名演で観衆を惹き付けるということ。満足のいく成果を上げたといえるでしょう。Lewis Nash & Be-Bop Great All Starsの演奏はまさしくアメイジング・バンド!!!ビッグ・バンドにも引けをとらないど迫力と繊巧を極めたグレイト・ジャズメンとの再会を心待ちにしています。 写真はHPより引用させて頂きました。 Fujitsu Concord Jazz Festival 2006HP:http://jad.fujitsu.com/event/2006/concord/ |