ハイファイ堂メールマガジンをご覧のみなさま、こんにちは。 大丸東京店の北村です。 冷房必須の暑い日が続きます。エアコンに頼りっぱなしも良くないとは思いますが、それにしても異常な暑さ。子供の頃は真夏でもこんな地獄のような暑さではなかったような…。温暖化の影響なのか、それとも自身の耐久力が衰えているのか。どちらにせよ熱帯地域の如き高温多湿になす術も無く、リモコンの「冷房入」ボタンに手がのびます。冷たい飲み物で水分補給も忘れずに。熱中症にはなりたくないですからね。みなさまはいかがお過ごしでしょうか。 |
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先日、外出先でうっかり手を滑らせてスマートフォンを落っことしてしまいました。ストラップを付けて手を通していたのですが、滑った瞬間反射的に手を動かしてしまったのが裏目に出ました。 非情にもストラップはスルリと私の手を抜け落下するスマートフォン。「ガゴッ」と聴いた事の無いような鈍い音が響き渡る。下はタイルだ。嫌な予感を抱きつつ拾い上げ画面を見ると、ガラスパネルに盛大にヒビ割れが…! 美しい曲線を描き画面の上から下まで四隅に伸びた亀裂を目の当たりにし、「こんなにも綺麗にヒビが入るものなのか」と軽く現実逃避。雨の日だったので手元が滑りやすかったというのもありますが、まったく油断していた自分に反省した次第。修理代もバカにならず、「うっかり」で済ますには泣いても泣ききれない手痛い経験となりました。 オーディオの世界でも「うっかり」は大敵です。不注意な行動が原因で機器の破損に繋がるケースが多く想定されます。中でも被害を被りやすいのがスピーカー。全ての機器は音の出口となるスピーカーへと通ずるので当然といえば当然ですが、スピーカーは正にオーディオシステムの主役です。ここはオーナーである私達がしっかりとお守りしなくてはなりません。 今回のメルマガでは、普段オーディオに接する時にありがちな「うっかりミス」を取り上げてみたいと思います。 |
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●ケーブルの抜き差し時は電源OFF! オーディオに接する時の最も基本的な作法がこれ。必要があってケーブルを抜いたり差し直したりする事があるかと思いますが、その時オーディオの電源は切っていますか? ケーブルを新調したり、比較試聴をしている時にうっかりやってしまいがちなミスNo.1がこれだと思います。ケーブルを抜いた瞬間、「ブツッ!」と大きなノイズが出てしまった経験は誰しもあるのではないでしょうか。特にRCAケーブルの場合がありがちです。 RCAプラグはケーブルを抜き差しする時に端子のコールド(グラウンド)側が接続されていない状態でもホット側が機器に接触できる構造になっているので、差し込み途中など中途半端な状態になると大きなノイズが出てしまいます。このノイズが原因でスピーカーユニットが破損するという悲劇に繋がるのです。 もちろんRCAに限らず、ケーブルというケーブルはすべて、接続作業をする時は安全のため必ずオーディオシステムの電源をOFFにしてから行ないましょう。それでも「うっかり」が心配なら、電源ケーブルを抜いてから作業する癖をつけておくと良いかもしれません。 「そんなの面倒くさいや」という人も、最低でもパワーアンプの電源だけはOFFに!これだけでもスピーカーは守られます。 |
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作業の前に電源OFFを確認。 面倒かもしれないが、機器を守る為には必要な事なのです。 |
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●電源ON/OFFの順番 オーディオシステムには、電源を切るのに安全な順番があるのをご存知ですか? 楽しく音楽を聴き終わり、オーディオの電源をOFFに。スイッチを切った瞬間に「ブツッ!」と大きなノイズが出た経験が一度はあるかと思います。もしかするとその時、パワーアンプより先にプレーヤーやプリアンプなどの電源をOFFにしていたのかもしれません。 オーディオ信号には、川の流れのように上流から下流へと信号の流れる順番があります。CDプレーヤーから出た信号がプリアンプ、そしてパワーアンプへと続き、最後にスピーカーへ辿り着きます。 DACやイコライザーなどを使用しているケースではもう少し複雑な経路になりますが、信号の流れる順番を見極めるのはそう難しくありません。音源となるCD、LPなどのプレーヤーから始まる接続ケーブルを、つながっている順番に辿っていけばいいのです。それだけで上記のように、最終的にスピーカーへと繋がる信号の流れを把握する事が出来ると思います。 |
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上の写真は上からプレーヤー、プリアンプ、パワーアンプ。上から下へ順番に信号が流れるセッティングで手順も分かりやすい。見た目の収まりが美しいのもポイント。 |
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この順番が実はとても重要で、信号の流れに従わずに機器をON/OFFすると、そのノイズを拾ってしまいこれまたスピーカーの破損に繋がります。演奏中にいきなりプリアンプの電源をOFFにしたりするのは大変危険です。上流の機器の電源が切れる瞬間のノイズを、下流にある後段の機器が拾ってしまいます。 ではどうすればいいか?上流の機器を切ってはダメという事は、つまり一番下流、音の出口に近い機器であるパワーアンプを始めにOFFにして、そこから上流の方へ向かっていくのが正解です。そうすれば最後にOFFにするのはプレーヤーとなります。 例えば、「車の運転」のようなものだと考えてみるといいかもしれません。 車で停車する時は、減速し、走行を止め、ギアをPに入れて、サイドブレーキを引いて、ライトを消して、それからエンジンを切りますよね。走行中にいきなりライトを消したり、ギアをPにはしない。手順を守る事によって機器を安全に操作する事ができるのは車もオーディオも一緒です。 電源をOFFににする時に手順があるのなら、当然ONにする時にも安全なやり方があります。これから音楽を聴くため電源をONにするなら、信号の流れる最上流、つまりプレーヤーをまずONにする。そこからスピーカーへ向かって順にONにしていくだけです。つまりはOFFにする時と逆さまの順番という事。ボンヤリしているとうっかり忘れがちですが、これらは大事な手順です。勿論これらの操作をする時は、ボリュームを最小まで絞っておくのが基本。 |
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●機器を移動する際の注意 配置替えや、お掃除の時にオーディオ機器を移動する事があるかと思います。さすがに電源を入れたまま動かす事はないでしょうが、接続ケーブルの事も忘れてはいけませんよ。ラックの中から機器を出そうとして手前に引き出した時に、向こう側からグイッと引っ張られた経験がありませんか。別に反対側から誰かが邪魔をしている訳でも妖怪の仕業でもありません。ケーブルを抜き忘れているのです。機器間で繋がれたケーブルが突っ張ってしまい、引き出せない。これは接続端子やケーブルを傷める原因になるので要注意です。それに、思わぬ反発に機器を落っことしでもしたら大変です。特に、重たい機器だと動かすのに力が入っているので大変危険です。うっかり抜き忘れている配線がないかよく確認して、安全に作業したいですね。 |
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移動の前にケーブルの抜き忘れがないか確認しましょう。 |
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機器の移動といえば注意を忘れてはならないのがCDプレーヤー。 聴き終わった後もディスクをプレーヤーに入れっぱなしにしている人は気を付けてください。 本体が傾くとディスクトレイからディスクが脱落し、運が悪いと内部に引っかかってトレイが開かなくなる事があるようです。場合によってはピックアップ等デリケートな部分に接触してしまい故障の原因となる可能性も…。移動の際は、中にディスクが入っていないか確認してから作業しましょう。 |
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移動作業を始める前にディスクが入っていないかを確認。 「気を付けろ! CDの 入れっぱなしは 事故のもと」なんて標語はどうかな。 |
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最後にもうひとつおまけを。私もついうっかりやってしまう事案がこちら…。 それは・・・「音量の上げ過ぎ」です! 聴いて楽しいオーディオや音楽も、周りの人から見れば気になるものです。 ノリノリな気分でついボリュームノブを右へ回し、右へ回し、もひとつ右へ回し…、ハイ気付けば音量上げ過ぎ。家がお隣さんから100m離れているとか、完全防音室があるなら理想的ですが、そんな恵まれた環境で鳴らしている人はごく一部。 爆音推奨派である私のような人間が言うのもアレですが、他人の聴いているオーディオは時として非常に耳障り。場所や時間帯に十分に配慮して、近隣への迷惑とならないように気を付けましょう!私も気を付けます! |
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真のオーディオ紳士は他人への配慮も抜かり無い。TPOをわきまえた音量設定を身につけましょう。 これが噂に聞く“音のエチケット”である。 |
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以上、ベテランの方には正に“釈迦に説法”でしたが、基本的な作法は何時だって誰だって忘れてはいけません。慣れているからこそ、「うっかり」の魔の手が忍び寄ります。店頭では機器の入替えなんて毎日のようにやっているので、オーディオをあまり触った事が無い新人さんが入った時などは、こういった基本的な扱い方をまずは覚えてもらっています。 今回ご紹介した内容は、ほとんどが取扱説明書に記載されています。操作方法のページばかり読んで、「はじめに」とか「使用上の注意」をすっ飛ばしていませんか。 オーディオに限った事では無いですが、「初心忘れず、ものぐさせず」の精神でやっていきたいですね。 大切なオーディオを守るのはあなたの役目です。良い音を聴かせてもらうだけでなく、こちらからも愛情を持って接してあげてください。想いが通じれば、きっと素敵なハイファイサウンドで応えてくれるはず。うっかりミスを無くして安心・安全なオーディオライフを過ごしましょう。 それでは、今回はこの辺で失礼致します。みなさまのご来店を心よりお待ちしております。 ハイファイ堂大丸東京店 北村 ハイファイ堂大丸東京店 〒100-6701 東京都千代田区丸の内1-9-1 大丸東京店10階 TEL 03-6256-0516(直通) 03-3212-8011(代表) |