ハイファイ堂メールマガジンをご覧のみなさま、こんにちは。 大丸東京店の北村です。 先日、とある家電量販店で、最近気になっていたスピーカーを試聴していた時の事。日曜で人が多かったので周りの音が騒がしく、うまく聴こえない。オーディオ専門店と違い試聴環境が悪いのは仕方ないかもしれませんが、逆に言えばその時試聴していたスピーカーは音の通りがちょっと悪かった、とも言える…。パワフルな鳴りのスピーカーなら、そういった環境下でもけっこうよく聴こえるものです。意外なシチュエーションでスピーカーの弱点が見えてしまった興味深い体験でした。 |
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改めてよく考えてみる。 音の通りが良いスピーカーって何だろう。 スピーカーから出ている音という事を前提としたら、日常的に耳にしているたくさんの音の中で、いちばんハッキリと耳に届いている音は何だろうか?それに、ひとくちにスピーカーと云っても、用途によって設計の違うたくさんの種類があるし…。 帰りの電車を待ちながらそんなことを考えていると、突然聴こえてきました。ものすごくよく通る音が! 「電車がまいります 黄色い線の内側へお下がりください」 これだ。駅で運行情報や電車が来るアナウンスを正確に伝えるのはとても重要な事。ではその音声を流しているスピーカーは、とてもよく聴こえる音の通りが良い正確な音が出るスピーカーだという事ではないか? そんな訳で今回のメルマガはいつもとはちょっと趣向を変えた内容でお送りします。大丸東京店のある東京駅近隣の駅に設置してある、PA用スピーカーを見てきました。ホームオーディオとは使用目的が違う環境下では、一体どんなスピーカーが使われているのでしょうか!? |
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まず始めはここ、JR御茶ノ水駅。周りに楽器屋さんが多いせいか、ギターケースを持った青年が何人もいる。音楽の道を志す若者の街、といった印象。 人の数がやや多めで騒がしいなか、駅のホームでスピーカーを探します。 |
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ありました。天井に二本一組で設置されたスピーカーは「BOSE」製。見た目はいかにもPA(Public Address=公衆向放送設備)用といったルックスで頼もしい。 形状からするとフルレンジでしょうか。ユニットは12〜15cmくらいの大きさかもしれません。 BOSEのスピーカーは店内BGM放送用など業務用でよく使われているのは知っていましたが、こんなところにもあるとは…。それだけ信頼性のあるメーカーだという事なのでしょうね。 |
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よく見るとビクター製のスピーカーもある。 どう使い分けているのかは不明。 |
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全体的にこの駅のアナウンス音量はかなり大きめ。ヘッドホンでヘビメタを聴いていても、問答無用で耳の中に飛び込んできました。これなら大事なアナウンスを聴き逃す心配はないでしょうね。 スピーカーのサイズはかなりコンパクトですが、この大音量でも聴き取りやすい安定したパフォーマンスはさすがPA用といったところ。ハイファイ系とは違い高域の伸びやしなやかさは無いですが、ちょうどアナウンスをしていた人の声がバリトンボイスだった事もあってか、胸板に響いてくる張りのある迫力のサウンド(?)が聴けました。 |
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お次は大丸東京店に直結している東京駅。写真はいつ見ても壮観な丸の内側駅舎。 |
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中央線の通る1,2番ホームに到着。 天井を見上げると、やけにすっきりしている。 あれ…、スピーカーが無い? |
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いや、よく見るとありました。何と、インウォールタイプ(埋込み式)のスピーカーが設置されていました。駅の改札や通路あたりにインウォールタイプを使っている駅はよく見ますが、ホームに設置されているのは比較的珍しいのではないでしょうか。 さすがにすっきりとしていて見晴らしが落ち着いていますね。整然とした様は東京のイメージによくマッチしています。 音質はややすっきりとしたタッチで、耳に優しく聴こえました。比べてみると、他の駅のようなやかましさはあまり感じない気がします。音量は必要最小限なくらいなのか?それともアナウンスをした人の声量なのか?そこは謎ですが、パワー押しの御茶ノ水とは違いどこか上品な印象を受けました。 そういえばここはホーム周りの雑音が少ないですね。他の駅では外の車の音や隣のホームの音がけっこう聴こえたのを覚えていますが、ここはもっと静か。中央線はホームの位置が外の道路よりもかなり高い所にあるせいでしょうか。 |
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外観にはメーカー名の表記が無い。 駅員さんにあれはどこ製のスピーカーですかと尋ねてみる。 「・・・いやぁ、ちょっと分からないですねぇ〜」 そりゃそうですよね。 お邪魔しました…。/// |
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お次は神田駅。平日朝の通勤時間帯でしたが意外と人の数は少なめで、やけに静かでした。 早速ホームへ上がり、スピーカーを探す。 |
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こちらが神田駅のスピーカー。メーカーロゴの代わりに、「JR」のロゴが付いているおもしろいスピーカーが見られます。形状からするとBOSE製かな? 柱への取付金具の他に、落下防止用ストラップのワイヤーが見えます。こういった安全対策も公共の場ならでは。スピーカーが頭の上から落ちてきたら、痛いじゃ済みませんものね。 音質は極めてオーソドックス。ごく普通のアナウンス音声として安心して聴いていられます。 そういえば、見たところこういったスピーカーの接続端子は普通のスピーカー端子ではなく、スピコン端子等が使われているようです。確かに、強固に固定できる端子でなければこんなタフな環境下では信用できません。駅でもケーブルを変えると音質が変化するのかしら。ちょっと試してみたい…。 |
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取材した日はとてもお天気が良かったので、健康のため徒歩で次の目的地へ向かいました。 神田駅を出て、中央通りを北上します。 |
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道中、街なかにも様々なスピーカーが目に入りました。 お店の店頭放送用や… |
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信号機の上にも。このメガホン型はものすごく音がよく通ります。 信号機の下へではなく、向かい側へ向けて設置されているのがポイント。 |
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さあ、目的地が見えてまいりました。 |
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最後は“電気の街”秋葉原の、秋葉原駅です。 電気の街というくらいだから凄いスピーカーを使っているんじゃないかなんて期待してしまいますがどうでしょうか。 |
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秋葉原駅では山手線、京浜東北線、総武・中央線のホームをチェックしました。 天井にはBOSEと、Victor製(おそらく御茶ノ水と同一モデル)のスピーカーが設置されていました。さらに神田駅にあった「JR」ロゴ付きのスピーカーもあり、なんとも天井が賑やか。アナウンス音声が聴こえたのはVictorの方からだと思いますが、用途により使い分けているのかもしれません。 音量は御茶ノ水に次いで大きい。音質も御茶ノ水に似てよく聴こえるのですが、ホームの形状が複雑なせいか反響音が大きく、試聴位置によってはやや聴きづらくなるところがあったのが惜しい。Victorがやや下向きに角度をつけて設置されていた御茶ノ水と違い、秋葉原では真横に向けて設置されている点も見逃せない。 |
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1・2番ホームは天井高が低めでスピーカーがよく見えます。Victorの型番が特定できました。 14cmフルレンジ全天候型スピーカー「PS-S102」(生産完了品)。 |
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今回ご紹介した他にも、JVC製やら他のメーカーを使っている駅も見たことがあります。街なかではPanasonicやTOA製も。もしかしたら探せばJBLのスピーカーなんかもあるかも!? あと気づいたのは、こういったシチュエーションで使われているスピーカーはフルレンジ一発のスピーカーが多いという事。マルチウェイだと配線経路が増えるのでトラブルの可能性が高まるから?なんてマニアックな想像をしてしまいますが、使う側はそこまで考えてはいないでしょうね。中には横長のサウンドバータイプ(小型ユニットが横並びで複数個配置されている)のスピーカーが設置してある場所もありました。 とにかく、同じJRでも駅により使用するスピーカーのメーカー、モデルがこれだけ多種多様であるというのは興味深いですね。 |
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こちらがあまり見かけないサウンドバータイプ。 蜘蛛の巣付きハロウィン仕様。(←ウソ) |
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写真ではなるべく綺麗な物を撮影しましたが、これらのスピーカーは設置場所が場所だけに長期間掃除されていないなというのがよく分かります。どこの場所でも細かいゴミやら埃やら蜘蛛の巣が付着していて、見た目はかなり痛々しいのですが(中には鳥のフンで白くストライプが入った強者も)、そんな環境を物ともしないタフネスぶりはさすが業務用。 街なかでこういう隠れた働き者のスピーカーを見つけると、「がんばれよ」と応援したくなる感情を禁じ得ないのは私だけでしょうか…。 |
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今回改めて、PA用スピーカーは丈夫で、そしてとにかく音がよく通るという事が分かりました。この種のスピーカーはオーディオ屋さんではあまり聴く機会が無いかと思いますが、直球勝負の勢いあるサウンドは魅力大。ホームオーディオのハイファイ系とはひと味違った楽しさがありますね。一度でいいから、駅のホームでお気に入りの音楽を爆音で流してみたい!なんて思いました。 みなさまも、街なかで隠れたスピーカーを探してみてください。意外な発見があるかもしれませんよ♪ それでは、今回はこの辺で失礼致します。 ハイファイ堂大丸東京店 北村 ハイファイ堂大丸東京店 〒100-6701 東京都千代田区丸の内1-9-1 大丸東京店10階 TEL 03-6256-0516(直通) 03-3212-8011(代表) |