ハイファイ堂メールマガジンをご覧のみなさま、こんにちは。 大丸東京店の北村です。 新年です!あけましておめでとうございます。 昨年はハイファイ堂丸の内店オープンや、屋外でのレコードコンサート開催など、ワクワクする出来事にたくさん参加させていただきました。 2016年も、みなさまのオーディオライフを楽しく盛り上げていけるよう、気持ちを新たにがんばってまいります。本年もよろしくお願い致します。 |
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★スピーカーの上には何かを乗せていますか? テレビを見ていたら、とある番組でインタビュー映像の背景に大きめのスピーカーが映り込みました。形は天板が平らの、ごく一般的な長方体デザイン。 「おおっ、どこ製のスピーカーだ?」と身を乗り出しましたが、何か違和感が…。 一瞬、間を置いて気がつく。「スピーカーの上に何も乗っていない」 スピーカーの天板は平らな台。見るからに「さあ、何か置いてくれ」と主張しているように感じるのは私だけではないはず。特に大きめのスピーカーとなると場所を食うので、あぶれた物を上に置きたくなるのは必然。何も置かないとガランとして空間が寂しいというのもあるかもしれません。 件の番組は「シェアハウスに住む若者たちの生活」という内容でしたが、その一点だけがどうしても気になってしまい、個人的には何だか生活感のリアルさが感じられない映像でした。 私の知る限りでは殆どのケースで、スピーカーの天板上には何かを置いている人が大多数です。今回のメルマガでは、あまり話題にならない「スピーカーの天板」をテーマにお話をしてみようと思います。 |
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※本題に入る前に、無責任な事は言えないのでお断りしておきますが、スピーカーの天板に物を乗せて大丈夫かどうかは、取扱説明書を御覧下さい。常識的な範囲の物でしたら問題ないと思いますが、重量物や不安定な物等は基本的にNGとお考えください。また、万が一事故や破損に繋がっても自己責任となりますのでご注意ください。 |
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●天板の素材 スピーカーのエンクロージャー(=箱)は多くのモデルが木製。使われている木の種類はたくさんありますが、板の厚さや密度は天板・側面を「コンコン」とノックしてみれば何となく分かります。軽く高い音がすれば、比較的薄い。逆に響きの少ない音がしたら、密度が高く厚みを持たせた設計になっている場合が多いようです。 どちらが良い悪いという訳ではなく、板の厚さによる響きを計算して音作りに活かした設計になっています。お使いのスピーカーはいかがでしょうか。 もちろんプラスチック等、木以外の素材で仕上げられたり形作られたスピーカーもあるのですが、そういったモデルは丸みを帯びた特殊なデザインが多く、上に物を乗せられないような形状になっている物が多いようです。 |
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写真は薄型設計が特徴のコンデンサータイプスピーカー、QUADのESL。 ここまで薄いと「天板」とは呼べないですね…。 |
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特殊素材といえばFISCHER&FISCHERのSCHIEFER SN-120は一度見たら忘れられないスピーカーのひとつ。エンクロージャーは粘板岩という石材。 超硬質、超重量。天板をノックしても全く鳴かない。そして叩いた指が痛い。 |
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JBL L101 Lancerの天板は大理石。 箱鳴りを押さえ、最低共振周波数を下げる役割を果たしているそうです。 見た目のゴージャス感が良いデザインですがこれこそ、上に何かを飾りたくなるような雰囲気ではないでしょうか。 |
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●天板に物を乗せる 傷の原因となるので、基本的には天板には何も置かない方がいいです。しかし実際問題、軽めの置物程度なら負荷でスピーカーが壊れるような心配は無いかと思います。 いくつかスピーカーの取扱説明書に目を通してみたのですが、意外にも「上に物を乗せるな」と書いてあるものはありませんでした。常識的な範囲内の物であれば、ある程度は容認しているという事なのか?それとも当たり前すぎて書いてないのか? 一方、「水まわりや水槽など水気のある場所には設置しない事」というのは必ず書いてあったので、スピーカーの上に鉢植えや水槽など水漏れのもととなる物を置くのは危険という事になります。また、極端に重たい物や、倒れやすい物も安全上問題があるので避けましょう。 |
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天板はたいへん傷つきやすい。 隣の写真はウチにある棚の天板ですが、材質はスピーカーとそう変わらない。イタズラ猫の爪とぎ跡がはっきりと残っています。 当然、一度付いた傷は補修しない限り直る事はない。 |
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とっさのメモをスピーカーの天板を台に書いてしまい、文字の跡がついてしまったという話しを聞いた事があります。やはり木製なので傷や凹みの心配からは逃れられません。 傷を付けず大事に使いたいなら、天板の上にシートや敷物を敷いて、物が直接触れないような工夫をお勧めします。ちょっとした角が当たっただけでも、エンクロージャーに傷が入ってしまうかもしれませんからね。 例にあげた、上でメモを書くなんていうのは即ダメージにつながるのでご注意を。高校時代、サブウーファーの天板を机代わりにして育った私が言うのだから間違いない(←無論、天板は凹みだらけに)。 |
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●防磁タイプ スピーカーの中にはAV用途として、防磁対策が施されているモデルがあります。スピーカーから外に漏れる磁力が、テレビ等の映像機器に悪影響を与えるのを防ぐ設計です。 昔試した事があるのですが、非防磁タイプのスピーカーをブラウン管テレビに密着させてみた結果、画面上の色に滲みが発生しました。スピーカーマグネットから発生する磁力というのは、これ程強力なものなのかと驚いたのをよく覚えています。 と言うことは当然、外部からスピーカーに降り掛かってくる磁力の影響というのもあるでしょう。 例えば非防磁タイプのスピーカーを2モデル使っている場合、小型だからといって安易に上積みしたならば、その相互の影響は計り知れません。市販の防磁シート等で対策をとった方が良いでしょう。磁力は目には見えないので忘れがちですが、音質を重視するなら侮ってはいけません。 |
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スピーカーのマグネットは、言ってみれば強力磁石のようなもの。 ドライバーに金属製キーホルダーを近づけると、この通り。すごい力で引っ張られます。 |
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目に見えない影響と言えば、強力な電波を発する物も避けた方が良いようです。 これはおそらく殆どのオーディオ機器の取扱説明書に記載されている事と思います。近年では無線LANのような電波が家庭内を飛び交っているケースが多いと思いますが、そういった電波の送受信機をスピーカーやオーディオ機器に近づけるのはやめた方が良い。 最近のオーディオ機器では、取扱説明書に「強い電波を発する物は近くに置かないように」と必ず書いてあります。これは、昔よりも電波の影響によるトラブルが深刻化しているという何よりの証拠でしょうね。 例えば、ひと昔前のワイヤレスヘッドホンなんかは、無線LANの電波影響をもろに受けてしまい、音が途切れてまともに聴いていられないなんていう話も聞きます。 以上の理由から、強い電波や磁力を発するものはスピーカーの上には乗せない方が良いでしょう。 |
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無線LANルーターが置いてある家は今どき珍しくないと思います。 写真には写りませんが、電波出てます。 オーディオ機器の天板に設置するには適さないかもしれません。 |
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●音質の変化 知人数人に聞いてみたところ、スピーカーの上に何も乗せていないのは1人だけでした。なんでも、趣味の作曲に使うモニタースピーカーなので、極力「素の状態」で鳴らしたいというのが理由だとか。ストイックだなぁ。 インシュレーターを使いスピーカーの脚部分で音質を調節する事はよく知られていますが、逆の「天板」を利用してチューニングされている方はあまりいないようです。 ボリュームを上げて大きな音を出すと分かりやすいですが、エンクロージャーはけっこう振動します。当然天板も振動する訳で、それが音の聴こえ方にも影響を与えているのです。先ほどご紹介したFISCHER&FISCHERのスピーカーはエンクロージャーの箱鳴りを抑えこむ設計の最右翼でしょう。 天板に物を乗せると振動が抑えこまれるので、エンクロージャーがボワ〜ンと響くのを軽減する効果がねらえます。経験的には、天板などエンクロージャーの振動を押さえ込むと音像がクッキリする事が多いと感じます。 また、もともとエンクロージャーの鳴きが少ないスピーカーであればあるほど、物を乗せた時の影響は少なくなると思います。 |
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●スピーカーの天板には何を乗せる?・・・音質重視編 音質にメスを入れるという点では、一番多いのは「スーパーツイーター」でしょう。スーパーツイーターはメインスピーカーの再生帯域を拡張するための外付けスピーカーです。 メインスピーカーとの距離が近い方が音質的にはまとまりが良いので、可能な限りメインスピーカーの高域ユニット近くに設置するのが理想。そうなると、一番手っ取り早い設置場所はメインスピーカーの上という事になります。 スーパーツイーターは基本的には小さい形状で設計されており、メインスピーカーの上に設置する事を想定していると思われます。 矛盾しているようですが、これは「スピーカーの上に乗せる」事が推奨されている例のひとつとなります。 |
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スーパーツイーターTakeT BEEPUREの設置例(公式ホームページ図面より)。 |
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スピーカーの持つ音質、設計思想、使用方法を重視して「何も乗せない」というのが基本ですが、設置環境によっては箱が鳴りすぎて音像が濁る場合もあります。そういった場合には天板に重しを乗せて箱鳴りを抑えるチューニング方法があります。 私個人はスピーカーの上には何かを“置く派”ですので、私のシアタールーム(兼オーディオルーム)での実例をご紹介致します。 |
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私が家で使用しているElectro-Voiceスピーカーのエンクロージャー上には、ホーンに繋がるドライバーの台座として煉瓦を乗せています。同時に、箱鳴りを抑える役割も担っています。 煉瓦の下にはゴムシートを敷いてエンクロージャーが傷まないようにしていますが、これは音質を比較試聴して、ゴムを敷いた方が共振が無かったためであるので、傷云々というよりは音質を重視した結果です。 実を言うと私は傷が入っても全然気にしない人間でして、むしろ傷が入っていたほうがカッコいい…なんていうマイノリティです。工具なんかも平気で天板に置いちゃいます(もちろん、プライベートでの話ですのでご心配なく!)。 さらにエンクロージャー内部(底面)にはダンベルを設置し、箱鳴りを強く抑えるチューニングが施してあります。スピーカーがシアター用モデルなので、本来想定された環境とはだいぶ違った狭い部屋で鳴らしているという事になります。そのギャップを踏まえて上手く鳴らすにはこういった工夫が必要と判断したためです。 私のケース同様に、スピーカーの上に鉛などの重しを乗せて音質を調整されている方もいます。 |
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●スピーカーの天板には何を乗せる?・・・ビジュアル重視編 配達等でお客様のオーディオルームへお邪魔させていただく機会があるのですが、そこではやはり“個人の趣味”が炸裂しています。 スピーカーの上にお気に入りのCDやLPを飾っている方が多いですが、木彫の置物や造花も人気。他にも模型やフィギュア、ぬいぐるみを置いてらっしゃる方もいましたね。ぬいぐるみはかわいいだけでなく吸音効果があるので、使い方によっては調音にも役立つかもしれません。 お花や植物を乗せている方もけっこう多いです。その場合、水漏れには十分配慮されていると思いますが、他にも花粉の落下・飛散にも要注意。木材に色が付いてしまわないよう気を付けてください。 |
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ぬいぐるみなら「もふもふ」していて傷がつかないので安心♪ それにしても かわいいなぁ。 |
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他にも色々ありましたが、今まで見た中で特に印象に残っているのが「テレビ」と「目覚まし時計」。 けっこうな高級スピーカーの上にテレビが乗っているのを見た時は驚きました。確かにちょうど見やすい高さになっていましたが…。スピーカーが傷まない事を祈っております。 目覚まし時計は何て事ない物ですが、こういう生活に密着した物が乗っていると、スピーカーが“生活の一部”としてとけ込んでいるようで、何だか心が暖かくなってくるのです。 |
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我が家のサブウーファー上にはシアタールームの守護神として怪獣王ゴジラが鎮座! あ…、今日は正月休みでお昼寝中のようですね。 |
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オーディオ部屋は、いわばオーナーのマインドが支配するひとつの宇宙。もう、スピーカーの天板に何が乗っていてもおかしくはないのですが、各々の個性に染まったスピーカーはとても輝いて見えます。安全に配慮した上で、適度にスピーカーの上を彩るのも悪くはないでしょう。お正月なら鏡餅なんてのもアリかも!? それでは、今回はこの辺で失礼致します。 ※繰り返しになりますが天板は傷つきやすいので、物を乗せる等の取り扱いには十分注意してください。上に物を乗せる時は取扱説明書をよく読み、メーカー推奨の使用方法を確認の上、自己判断で行なってください。万一、事故や破損が生じた場合も自己責任となりますのでご注意ください。 ハイファイ堂大丸東京店 北村 ハイファイ堂大丸東京店 〒100-6701 東京都千代田区丸の内1-9-1 大丸東京店10階 TEL 03-6256-0516(直通) 03-3212-8011(代表) |