レコマ君のジャズレコード独り言 第35回目「プレスティッジレーベルのこと 12回目」 2006年10月6日 レコマ君 レコマ君へのお問い合わせはこちらから http://recoma.hp.infoseek.co.jp/ |
|
今回は「PRESTIGE」レーベルの音の特色。 |
|
ジャズサウンドで最も特徴的な音とされる「BLUE NOTE」の「少しエコーのかかった音」は派手なサウンドと評価されていた。特に4000番台のアルバムにその特徴がみられた。 「BLUE NOTE」の他「PRESTIGE」含め数多くのレーベルで、レコーデイングからミキシング、カッテイング等のエンジニアリングを受け持っていたルデイー・バン・ゲルダ−のサウンドがそのレーベルの「特色」を構成していたといえる。しかし、レーベルによりサウンドの質が異なることが「PRESTIGE」の音を聴くと理解できる。「BLUE NOTE」でも「LIBERTY」時代には「エコーのかかった音」が消えてくるのだが、「サウンドの好み」によって評価は変わる。「PRESTIGE」においてラベルの住所が「N.Y.C.」時代のものでも、前半と後半ではサウンドが異なる。「N.J.」時代になると、また異なってくる。最も特徴的なものは「ウッドベース」の音でサウンドの違いを聴くことが出来る。「PRESTIGE」の「N.Y.C.」時代のアルバムのサウンドは「地味な音」と言われる。「PRESTIGE」のサウンドなのだ。ただ、ピアノの音については、コロコロと転がる、ジャズフアンの心をくすぐる音で構成されている。「GROOVY/RED GARLAND」などはその特徴的なアルバムになる。 「N.J.」時代の'60年頃からは演奏の種類からして地味さはなくなり、サウンドも少しずつ変化していくが、ピアノの音に関しては「BLUE NOTE」とは確実に異なるものになっている。 |
|
|
|
「GROOVY/RED GARLAND」 「PRESTIGE」 7113番 |
|
「PRESTIGE」はブルーラベルに移行していくが、(「PRESTIGE」7320番頃から)バンゲルダーの手になるものはやはり迫力あるメリハリのついたサウンドになっている。その後、「疑似ステ」といわれる「丸ロゴ」のラベルのものになると、バンゲルダーの刻印が入っていないものが多い。 「丸ロゴ」ラベルのものは基本的には再発盤である。マスターが複数のマイクでマルチ録音されている場合はよいのだが、そうでないものは「疑似」といわれるようにバランスのよい「STEREO」でないものもある。これらの盤はあえて「MONO」カートリッジを使用するとよい音が再現できることがある。 |
|
ブルーラベルがオリジナルであるもの。 |
|
「丸ロゴ」ラベル 「7020」の再発である。 |
|
7752番 「THE P.C.BLUES/RED GARLAND」 |
|
ただ「丸ロゴ」がオリジナルであるものでは、バンゲルダーの刻印入りアルバムがある。例えば、7752番の「THE P.C.BLUES/RED GARLAND」は「丸ロゴ」がオリジナル。また、以前にも述べた、「7632番」の「OVERSEAS」は名盤「7134」の再発であるが、バンゲルダーの刻印入りで、素晴らしいサウンドを再現する。 「丸ロゴ」のラベルには紫色のラベルのものがある。7632番にも2種類の色のラベルが存在する。どちらもバンゲルダーの刻印がある。下記の右のラベル。 |
|
|
|
「PRESTIGE」の上記の「丸ロゴ」の「疑似ステレオ」については、バンゲルダーは基本的に関与していなかったか、または、ポリシーに反しているため、刻印を使用しなかったのではないかと考えられる。この時代は「STEREO」が普及し始め、セールスポイントになった頃だ。したがって、正式なステレオでなくても、STEREO表示で、セールスしたのだと考えられる。コマーシャルだったのだろう。 |
|
「PRESTIGE」もこのような経過を経て「FANTASY」に移るが、国内盤がこれらの音をどの程度再現し、表現しえたかは、それぞれ個人の好みで評価も異なり、再生装置の違いによっても異なるのは、又、面白いところと考える。前回述べた、国内のレコード会社「東芝音工」「ビクター」等々の各種シリーズでも異なる。また、これらの音造りに携わるエンジニアの好みや、アイデンティティーによっても違ったサウンドが造られたと考える。 エピソードだが、10年ほど前、ブルーノートが"バンゲルダーのリマスター”を売りに「CD」を紙ジャケで発売したシリーズがある。聴いて驚いたのは、ピアノの音が「プレスティッジ」の音になっていたこと!多分、バンゲルダーに対して、日本からリクエストした音が、そのようなサウンドだったのだと思える。これらの音は、雑誌の批評や、カタログの表示だけでなく、実際に音を「聴いて」判断されることをお奨めする。オリジナル含め、レコードの音は、ライブのサウンドと明らかに異なる。今では少なくなったジャズ喫茶でレコードを聴いて、チョイスするのがベターと考える。 国内盤も輸入再発盤も、音の良否は別にして、「音源の入手」として、大きな意義を評価できるアルバムも沢山ある。ぜひ色々なマイナーなアルバムも聴いていただきたいと思う。 次回からは「RIVERSIDE」について。 |
|
♪今週の推奨盤♪ |
|
「LONG 3部作」 プレステッジのジャムセッションシリーズといえますが、3枚共オリジナルは「N.Y.C.」ラベルのもので、1956年、1957年の録音。 この時代を代表するメンバーのグルービーな演奏を収録。 |
|
「ALL NIGHT LONG」 PRESTIGE 7073 HANK MOBLEY ts DONALD BYRD tp KENNY BURRSLL g MAL WALDRON p 他 |
|
「ALL DAY LONG」 PRESTIGE 7081 KENNY BURRELL g DONALD BYRD tp T.FLANAGAN p 他 |
|
「ALL MORNIN’LONG」 PRESTIGE 7130 RED GARLAND p J.COLTRANE D.BYRD tp他 |
|
メールはこちら。 mailto:mifumi@tb3.so-net.ne.jp レコマ君へのお問い合わせはこちらから http://recoma.hp.infoseek.co.jp/ |