レコマ君のジャズレコード独り言 第65回目「IMPULSE」に関して 2007年5月4日 レコマ君 レコマ君へのお問い合わせはこちらから http://recoma.hp.infoseek.co.jp/ |
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「IMPULSE」レーベルに関して 6回目。 「IMPULSE」の「ラベル」から推察される同レーベルの実態と、疑問に感じる事柄に関して。 |
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まず、このレーベルの誕生のところで述べたことだが、「IMPULSE」は「ABC-PARA」からクリード・テイラーが独立して、創設されたレーベルと認識されている。しかし、「完全に独立したものだったのか?」 資料の通り、ジャケット裏のクレジットに、初期のものから、「A PRODUCT OF ABC-PARAMOUNT RECORD INC.」の表記がされている。このことから「IMPULSE」レーベルの立場は「ABC-PARA」の大きな関与下にあったと考えてよいのではないか。このことで、アルバムの中に「シエリー・マン」、「チコ・ハミルトン」等のウェストコーストのミュージシャンのアルバムが存在することもうなずけることになる。ラベルの下部のほうにも「A PRODUCT OF ABC RECORDS INC.」とクレジットされているのもそれを示しているのかと推測する。 |
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「IMPULSE」のアルバムのジャケットの裏側の下方に記入されている「A PRODUCT OF ABC RECORDS INC.」の文字。 下左はダブルジャケットの裏 下右はラベルにクレジットされている、「A PRODUCT OF ABC RECORDS INC.」の文字。 |
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シエリー・マンの「SHRLLY MANNE' 2,3,4」と チコ・ハミルトンの「PASSIN'THRU」 |
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「JOHN COLTRANE」のアルバムに関しても、発売の順序に「ABC RECORDS」の関与が推察されるものがある。 前回も述べたように、コルトレーンは1965年に大量の録音を残している。この時期、コルトレーンは変化に変化を加え、よりアグレッシブな「フリー」に突き進んでいく。その過程が録音されているのだ。これらの録音はコルトレーンの他界後発売されるのだが、生前に発売されたアルバムは「ASCENSION」A-95、「MEDITATIONS」A-91の2枚が完全な「フリージャズ」と呼べるものだった。多くのものは、後年になって発売されることになる。全てコルトレーンの意志で「未発」になったものとは思えない。ここにも「ABC RECORDS」の意図が感じられる。 |
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ディスコグラフィーからみてみよう。 *印のものがコルトレーン没後にリリースされたアルバム。 1961/5月/6月 「AFRICA BRASS」⇒A-6,AS-6 1961/5月/6月 「THE AFRICA BRASSSESSION VOL-2」⇒AS-9273 * 1961/11月「LIVE AT THE VILLAGEVANGURD」⇒A-10,AS-10 1961/11月、1962/9月、196341月「IMPRESSIONS」⇒A-42,AS-42 1961/11月「THE OTHER VILLAGEVANGURD TAPES」⇒AS-9325 * 1961/5月/11月「TRANE'S MODES」⇒IZ-9361 * 1962/4月/6月「COLTRANE」⇒A-21,AS-21 1962/4月「THE DEFINIITIVE JAZZ SCENE VOL-1」⇒A-99,AS-99 1961/12月、1962/9月/11月「BALLADS」⇒A-32,AS-32 1962/9月「DUKE ELLINGTON AND JOHN COLTRANE」⇒A-30,AS-30 1963/6月「THE DEFINIITIVE JAZZ SCENE VOL-3」⇒A-9101,AS-9101 1963/3月「AND JOHNNY HARTMAN」⇒A-40,AS-40 1963/4月「THE DEFINIITIVE JAZZ SCENE VOL-2」⇒A-100,AS-100 1963/7月、1965/10月「SELFLESSNESS」⇒AS-9161 * 1963/11月「LIVE AT BIRDLAND」⇒A-50,AS-50 1964/4月/6月「CRESCENT」⇒A-66,AS-66 1964/12月「A LOVE SUPREME」⇒A-77,AS-77 |
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「SELFLESSNESS」AS-9161 このアルバムは赤/黒ラベルのコーティングホールドジャケットがオリジナル。 また、裏にタイトルのクレジットのないものが完オリである。 |
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「TRANE'S MODES」IZ-9361 |
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次に問題の1965年をみてみよう。 1965/2月/6月/7月/9月「FEELIN'GOOD」⇒IZ-9345 * 1965/2月/5月「THE CHIM CHIM CHEREE」⇒A-85,AS-85 1965/3月「THE NEW WAVE IN JAZZ」⇒A-90,AS-90 1963/7月、1965/5月「TO THE BEAT OF A DIFFERENT DRUM」⇒IZ-9346 * 1965/5月/6月「TRANSITION」⇒AS-9195 * 1965/6月/10月「KULU SE MAMA」⇒AS-9106 1965/6月9月、1966/2月「INFINITY」⇒AS-9225 * 1965/6月「ASCENSION」⇒A-95,AS-95 1965/6月「ASCENSION」⇒A-95,AS-95 (EDITION-2) 1965/7月「NEW THING AT NEWPORT」⇒A-94,AS-94 1965/7月「SUN SHIP」⇒AS-9211 * 1965/7月「FIRST MEDITATIONS FOR QUARTET」⇒AS-9332 * 1965/9月「LIVE IN SEATTLE」⇒AS-9202 * 1965/10月「OM」⇒AS-9140 * 1965/11月「MEDITATIONS」⇒A-9110,AS-9110 1965年の録音分で、8枚のアルバムがコルトレーンの没後に発売されている。 何か意図的なものを感じざるをえない。 |
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「INFINITY」AS-9225 直輸入盤で国内発売されたもの。 |
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このように相当数の未発表レコーディングがあったのだが、発掘されてリリースされたものの多くはかなりハードな「フリー」なものである。今週の推奨盤に掲載するものも相当アグレッシブなものだ。 1966年以降については次回述べる。 |
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♪今週の推奨盤♪ |
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「TRANSITION」AS-9195 1965/5月/6月録音 このレコードの組曲(B面)のコルトレーンの凄まじいプレイは、感動を呼ばずにはおかない。 |
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「SUN SHIP」AS-9211 1965/7月の録音 この頃から彼は体調を崩していく。このアルバムがをレギュラーカルテットの最後期のレコーディングとなった。この後、ホーン、リズムを複数にしたものになっていくのだ。 このように1965年は自らの最後を予感したように、身を削るようなレコーディングをしていくのだ。 |
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