レコマ君のジャズレコード独り言 第66回目「IMPULSE」に関して 2007年5月11日 レコマ君 レコマ君へのお問い合わせはこちらから http://recoma.hp.infoseek.co.jp/ |
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「IMPULSE」レーベルに関して 7回目。 「IMPULSE」の「ラベル」から推察される同レーベルの実態と疑問に感じる事柄に関して(続) |
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1966年からのディスコグラフィーもみてみよう。 この中の*印のものがコルトレーン没後にリリースされたアルバム。 1966/2月「COSMIC MUSIC」⇒AS-9148 * 1966/5月「LIVE AT THE VILLAGEVANGURD AGAIN」⇒AS-9124 1966/7月「SECOND NIGHT IN TOKYO」⇒日コ YB-8508-10 * 1966/7月「COLTRANE IN JAPAN」⇒日コ YB-8501-3 * 1967/2月「INTERSTELLAR SPACE」⇒ASP-9277 * 1966/2月、1967/3月「JUPITER VARIATION」⇒LA-9360 * 1967/2月、3月「EXPRESSION」⇒AS-9120 * <参考文献:ジャズ批評> |
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上記の「EXPRESSION」が遺作と認識されている。その後にも数曲単発の録音があったように言われているが、「IMPULSE」での「JONE COLTRANE」の録音は1967年3月のものを最後として、同年7月17日に他界する。これからみても、1965年の録音の多さは桁はずれたモノであったことが判る。特に1965年中頃から1967年の2年間については「COLTRANE」の変遷の時期で、この後「何処へ進もうとしていたのか?」誰も判っていない。この時期のアルバムのリリースが大変少ないことは、かなりハードな「フリージャズ」の時期で、「COLTRANE」に対する賛否が渦巻いていたときだったことにあるのか。 |
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「LIVE AT THE VILLAGEVANGURD AGAIN」 A-9124 MONO盤 ジャケット |
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「LIVE AT THE VILLAGEVANGURD AGAIN」 A-9124 オレンジのMONOラベル この時代には「ツヤなし」になります。 |
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これらの中で「LIVE AT THE VILLAGEVANGURD AGAIN」⇒AS-9124だけがレギュラー発売されているのだが、これも「ABC-PARA」の意向を感じる。レギュラーカルテットから、マッコイ・タイナーと、エルビン・ジョーンズが抜け、ピアノにアリス・コルトレーンと、ドラムにラシッド・アリにファラオ・サンダースが加わったクインテットになっており、スタイル的にもそれまでの咆哮するフリースタイルからまた変貌をしていたことによるものが、発売になったのかと。 |
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ここで判明している事柄。 「IMPULSE」は1961年、設立者の1人「クリード・テイラー」から「ボブ・シール」にプロデューサーの変更がされているのだ。 「ボブ・シール」は「コルトレーン」のよき理解者でもあったが、「ABC-PARA」の意向にも敏感であったと考えられる。彼は「ABC-PARA」から送られたプロデューサーであったことでも理解できる。 |
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「バンゲルダー」の刻印がなくなること。 「IMPULSE」のラベルで「オレンジ」ラベルと「赤黒」ラベルのオリジナル、「赤黒」の再発には「RVG」(初期)「VANGELDER」刻印があるが、「コルトレーン」没後にリリースされたものでは「バンゲルダー」の録音でありながら、刻印の入らないものが出てくる。 考えられることは、1967年の「コルトレーン」他界後、バンゲルダーは長期間関与することなく、「IMPULSE」から去ったものと推察される。 |
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「ボブ・シール」プロデュースをジャケットに明記したもの。 アルバムは「AS-9140」の「OM」のジャケット裏側。 |
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「ボブ・シール」プロデュースをジャケットに明記したもの。 アルバムは「AS-9161」の「SELEFLESSNESS」のジャケット裏側。 |
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「ボブ・シールの去就」 '68年頃になると「ボブ・シール」プロデュースをジャケットにも明記するようになる。その後、「COLTRANE」の版権は「アリス・コルトレーン」が主宰する「COLTRANE RECORD」に移管する。未発表モノの発売を「COLTRANE RECORD」がプロデュースしていくのだ。 結局、「ボブ・シール」は「IMPULSE」との意見の相違が深くなり、'69年に「IMPULSE」を去ることになる。彼の回顧録からも、レコーディングに関しては意志を通したしたものの、マネージメントに納得の出来なかったものがあったことが覗える。 ボブ・シールのあとエド・ミッシェルがその席に着くが、結局「ABC-PARA」に吸収され終焉を迎えることになる。 |
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「COLTRANE」の版権は「アリス・コルトレーン」が主宰する「COLTRANE RECORD」に移管して未発表モノの発売を「COLTRANE RECORD」がプロデュースしていくのだ。 |
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「COLTRANE RECORD」にはボブ・シールも深く関与したと思える。 このアルバムは、元のテープに、アリスがハープを被せて製作されたもの。 |
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ディスクの形状。 以上のように「ABC-PARA」の関与が大きかったことはレコードの製作面でも解明される。通常、イースト系のレーベルにみられる「溝」なるものがない「盤」であること。これは「キャピトルプレス」と称される、ウェスト系の類になる。実際に「ベルサウンド」刻印の盤は西海岸のプレスだ。 また、「STEREO」を最初からメインにした戦略と良い材質で製作していることもグレードの高さを主張したものだろう。 |
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ジャケットのこと。 二つ折りの「コーティングされたダブルジャケット」はイースト系と一線を画す意味を有していたと思える。これらの事象も「IMPULSE」レーベルの持っていた不思議をいくらか解決してくれるものと考えている。 |
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もう一つ残った不思議は「ラベルのツヤ」だが、これにも2種類の形状がある。 次回、この「ツヤ」に関して書く。 |
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♪今週の推奨盤♪ このアルバムは数種類あるのだが、その中の「本物」と称されるものを掲載します。 |
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「SELEFLESSNESS」 IMPULSE AS-9161 このアルバムの本物と称されるのは、コーティングのホールドジャケットで、上記右のように、ジャケット裏側に、タイトル等のクレジットのないモノがオリジナルの中の本物といわれる。 A面の「My FAVORITTO THINGS」と。 B面1)のの「I WANT TO KNOW ABOUT YOU」の2曲が1963年7月の録音。 レギュラーカルテットの演奏。 B面 2)「SELEFLESSNESS」は1965年10月の録音。 レギュラーカルテットにファラオ・サンダース、ドナルド・ギャレットの参加の演奏。 「無我」をテーマにした素晴らしい演奏が未発表になっていたのだ。 この時期にはバンゲルダーの刻印のないものが発売されているのだ。 |
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