レコマ君のジャズレコード独り言 PART-3 第68回目 今週は「PRESTIGE」の「グリーン・ラベル」のこと。 2010年4月16日 レコマ君 レコマ君へのお問い合わせはこちらから http://recoma.hp.infoseek.co.jp/ |
|
今回は、「PRESTIGE」の後期の「ラベル」について述べます。 |
|
前回、「PRESTIGE」の後期の「ブルー・ラベル」においても、「ダーク・ブルー」と「濃紺・ラベル」に関して述べましたが、簡単に整理してみよう。 |
|
|
|
「7325」番前後から始まる「ブルー・ラベル」のオリジナルは「ダーク・ブルー」の「右・トライデント」のラベルがオリジナルとされる。年代的には「1964年」ごろから。 このものも後に「再発」されるおりには「濃紺・ラベル」の「上・トライデント」のラベルでリイッシュされていると考えてよい。 |
|
これらのもので「ルディー・バン・ゲルダー」の手になるものは「VANGELDER」の刻印が入るスタンパーになっている。ただこれらが上記のように「上・トライデント」の「丸・ロゴ」ラベルでリイッシュされる折に入らないことが多い。 「丸・ロゴ」ラベルには地色が「紫色」のものがあり、「VANGELDER」の刻印の入ったものもある。 これらは「ブルー・ラベル」の次期ラベルで、次の「グリーン・ラベル=草色・ラベル」との間に位置するものと考える。 |
|
この時代はまだ、インディペンデント・レーベルとしての立場にあったが、徐々に新録音が減少していく。 内容的にも「7400番」前後以降は「ジャズ・ロック」的な演奏が多く、「オルガン・ジャズ」が主流になっていく。 この次期は「丸・ロゴ」ラベルがオリジナルになっていると考える。 その後、1971年に「ファンタジー社」に吸収されることになるが、この時代の前後に「草色・ラベル」がリリースされていると思われる。 |
|
「草色・ラベル」がリリースされる時期の検証だが、「PRESTIGE」が最終次期にリリースをする「ラベル」と考えられる。これは「PRST 10000番代」のオリジナルと思えるものに使用されている。 だが、'71年の「ファンタジー社」に吸収された前後、「ファンタジー」のディストリビュート盤として、「草色・ラベル」モノがリリースされている。 「ルディー・バン・ゲルダー」は基本的に「ファンタジー社」との関係はなくなっている。これは「BLUE NOTE」の時でも同様に、権利が東海岸の「UNITED ARTISTS」に移管した時は契約をしていない。 このように「ルディー・バン・ゲルダー」は「ファンタジー社」とも契約をしていない。「草色・ラベル」で「VANGELDER」の刻印モノがでてくるのは、先に製作された「ディスク」に同ラベルを使用したか、残っていた「旧スタンパー」を使用したかによって発売されたものと考えられる。 |
|
「VANGELDER」の刻印モノ |
|
|
|
「草色・ラベル」盤のこれらに、2種類のものがある。「ラベル」の外周部にクレジットされている文字が、「PRESTIGE」になっているものと、「ディストリビュート・バイ・ファンタジー…」とクレジットされているものがある。この事象は「ラベル」が残っていただけなのか、「使いまわし」なのかは判らない。「アメリカだから…」か!? |
|
「ファンタジー」からの「OJC=オリジナル・ジャズ・クラシック」シリーズで賦活した「イエロー」のラベル。 レコードNO.に「OJC−XXX」とクレジットされている。 |
|
これらの「草色・ラベル」が「ファンタジー社」の初期の「PRESTIGE」の発売に使用されていたが、その後の「OJC=オリジナル・ジャズ・クラシック」シリーズの発売が開始されたのと同時に「草色・ラベル」はなくなるのだ。 |
|
次回は「音質面」での考察をしたいと考えています。 |
|
♪「今週の推奨盤」♪ 今回は「国内盤でもこんなことがある」を紹介します。 |
|
アルバムは「THE THINKING MAN'S MUSIC / RALPH SHSRON」。 このアルバムは国内盤で「日本コロンビア」から'84年に発売されたもの。「BETHLEHEM」はこの以前に「トリオ」からと後の「東芝EMI」から「10インチ」が発売されたのみで、そのほかからはリイッシュされていない。 この「日本コロンビア」からは2回発売されている。今回の「トピックス」は1回目の「ベツレヘム・ジャズ・コレクション」シリーズで発売された時のもの。レコードNO.は「YP-7125」のアルバム。 |
|
|
|
このアルバムは内容的にも素晴らしい選曲と、ラルフ・シャロンの代表作ともいえるほどセンスの良いピアノが聴ける評価の高いアルバムだ。「日本コロンビア」からのみの発売になっている。 |
|
ことの始まりは「リスナー」の方から、ジャケットの「曲のクレジット」と「ディスクの曲」に「違和感がある」とのことがきっかけで、3枚並べて調べて判ったものだ。 |
|
|
|
「YP-7125」の指摘の有ったものと、もう一枚の「YP-7125」盤共、「SIDE-1」、「SIDE-2」のラベルは資料の通り同じだった。又、ディスクに刻まれている「スタンパーの文字」の「A」、「B」共まったく同じなのだ。 ただよく観ると、「ディスク」の状態が異なっているのだ。ご存知の通り、「演奏時間」の長いものはディスクでの「曲間の幅」が広い。したがって収録曲が均一でない場合はディスク面での「曲間の幅」が広いものと、狭いものとが混在している。 ほぼ均一の場合、「幅」もほぼ同じ程度で刻まれている。このような状態が「A面」、「B面」に有ると、盤面の形状が異なっている。 |
|
特に今回の場合「B面-3」の「エンジェル・アイズ」、「B面-4」の「夢から醒めて」はよく知られた曲だが、「YP-7125」の2枚を視聴する。 すると、指摘の有ったものは、「A面-3」と「A面-4」で両曲が聴こえる。 で、本来「A面-3」の「時さえ忘れて」(6’29")がB面の3曲目になっていたのだ。 もう一枚の「YP-7125」はこれが「クレジット」の通りになっていた。 |
|
|
|
A面の曲名と曲のタイム B面の曲名と曲のタイム |
|
|
|
上の左はエラー・ディスクのA面の形状 上の左はエラー・ディスクのB面の形状 |
|
|
|
上の左は正規のディスクのA面の形状 上の左は正規のディスクのB面の形状 |
|
|
|
このことから、「スタンパー」、「ラベル」は合致しているのだが、「ディスク」そのものが「裏と表が逆」になっていたのだ。 輸入盤ではこれらのことは普通だが、国内盤でこのようなことが存在するのはほとんど知らない。「日本コロンビア」ではすぐに修正をかけたのではないかと思われる。このことは「資料」の通り、ジャケットの「背」の色で想像できる。右の写真のように「背の色」が「赤」いものになっている。 |
|
しかしこんな希少なものが手に出来たこと、又、指摘を頂いた「コレクター」のかたはこの「曲」が好きで、よくご存知だったことで、今回のようなハプニングを知ることが出来たわけです。 |
|
メールはこちら。 mailto:mifumi@tb3.so-net.ne.jp レコマ君へのお問い合わせはこちらから http://recoma.hp.infoseek.co.jp/ |