9月になりました。 少しは涼しく、...ならないみたいです。 福岡店 福永 正和です。 |
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突然ですが、スピーカーの見た目、大事ですよね。 いかにも「いい音出します」と言いたげなモニタースピーカー。インテリアとして部屋に溶け込むコンシューマー(一般家庭)向けスピーカー。スタジオやライヴハウスを思わせるPA用スピーカー。 ハイファイ堂では、いろいろなスピーカーを扱うのですが、モニタースピーカーをコンシューマー向けにしたモデルがいくつかあります。 今回は、そのインテリアに優しい(?)コンシューマー向けスピーカーの中から2機種、聴き比べてみました。 |
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YAMAHA NS-1000です。 言わずと知れたNS-1000Mのコンシュマー向けモデル。 エンクロージャーも見直し、完全に別物になっています。少し古目の洋間に合いそうです。 家庭用ならば軽量化してくれればいいのですが、なぜか重くなってますが....。 ハイファイ堂でもよくNS-1000Mと比較されますが、こちのほうがまとまりのある印象です。 |
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もう1機種は、2S-305Dです。 放送局用2S-305をコンシュマー向けにしたモデルです。なんとなくですが、和室に合いそうです。 サランネットも外せます。 音の印象は2S-305とさほど変わりませんが、アッテネーターもありますので、少しお好みに変えられます。 意外と珍しいモデルです。 |
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今回この2機種を取り上げたのは、音質の違いはもちろんですが、周波数帯域の違いが聴感上どの程度変わるものなのかが気になったからです。 YAMAHA NS-1000の再生周波数帯域は、40Hz〜20kHz。 CDの再生周波数帯域が20Hz〜20kHzですので、低域はCDには届きませんが、高域の再生周波数はCDと同等です。 対するDIATONE 2S-305Dの再生周波数帯域は、50Hz〜15kHz。低域も高域も帯域がぐんと狭まっています。 |
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そこで今回は、最近の女性ヴォーカルのCDをとっかえひっかえして聞いてみました。...時の流れは速く、『最近』というとここ2、3年のことのようですが、いいんです。個人的には2000年以降はもう『つい最近』です。そういうことにさせてください。 |
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1枚目は、Dimie Catの同名アルバム。...このアルバムは一般に流通しているものと違う気がしますが。 2012年発売、フランスの方で、声が”ベティちゃん”にそっくりということで、ジャケットにもイラストが入っています。 『エレクトロ・スウィング』と言われるらしいですが、他にそれに該当する曲を知らないので、このアルバムを聴きまくってました。 ディキシーランド・ジャズ風と言いますか、チャールストン風といいますか、明るく楽しいアルバムで、もっと売れてもよさそうなもんですが....。 NS-1000ですと、高音のスピード感があり、踊りたくなるような気分になります。キレがありながら、角が立ったような印象はないのは、このスピーカーの特徴でしょうか。 2S-305Dでは、少し印象が変わり、低音の鳴りっぷりがよくなります。ヴォーカルが前に出てくるのも、NS-1000よりは顕著な感じですね。 この違いがちょっと面白いです。 |
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...なるほど、と思いながら、2枚目はAmy Winehouseの『BACK TO BLACK』です。 若くして亡くなった、エイミーの衝撃のファースト・アルバムです。 彼女の人となりやライフスタイルは置いておいて、歌の上手さ、表現力の素晴らしさは、秀逸。惜しい人が亡くなったと思いますが、その生き様がこの名作を生んだと思えば、致し方ないことかと....。 このアルバムでは、NS-1000での印象はDimie Catとさほど変わりはないですが、2S-305Dだと奥行き感がプラスされ、ライブハウスで聴いているような印象になります。 うんうん、いいぞ!2S-305D。 |
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ここで、ちょっと女性ヴォーカルから少しだけそれて、デュエット・アルバムに。 ハイファイ堂でも毎日流れているNorah Jones。彼女がGreen DayのBillie Joe Armstrongとデュエットした『foreverly』。2012年の作品です。 Everly Brothersの『Songs Our Daddy Taught US』というアルバムをまるまるカヴァーした、カントリーアルバムです。 そもそもGreen Day大好きなので、手にしたわけですが、異色作と言えばそれまでですが、雰囲気は全くGreen Dayとは違います(当たり前ですが)。 とにかく、二人が楽しそうに余裕たっぷりに朗々と歌い上げているのが印象的です。 アレンジもアコースティック楽器中心で、強目のエコーが、なんとなく懐かしい雰囲気を醸し出しています。 そんなアルバムですから、NS-1000では完全なBGM仕様です。とくに弾けることなく、淡々と声や楽器の音を楽しめます。 2S-305Dでは、エコーの強目なヴォーカルが前に出て、優しい歌声が心地よいです。 |
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ここでちょっと遊びで1枚。 乃木坂46の『透明な色』。 ヴォーカルうんぬんよりも、全体的にうるさいです。シャカシャカとメインの音以上に”おかず”てんこ盛りで、うるさいです。ハードロックやヘビーメタルとは種類が違ううるささです。 自分で聴くときは、CDではなく、出来るだけクオリティを落として、AACで圧縮した音源で、低音を上げ気味で聴きます。 これを聴くとどうなるか....。 NS-1000では、バランスよくうるさいという結果に。う〜ん、残念。まあ音源のせいですが。 2S-305Dでは、高音のシャカシャカは抑えめに、ヴォーカルが出てきます。全体的に深みが出て落ち着いた感じですが、無駄にベースの音が大きくなるのはご愛嬌。 どちらか選べと言われたら2S-305Dですが、多分製作者の意図とは少し違う印象ではないでしょうか....。 音と音の間に隙間がない音の塊は、私の耳には向かないようです。 |
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さて、本題に戻って最後にもう1枚。 Christina Aguileraの『Back To Basics』です。 王道のポップ・ヴォーカルですが、このアルバムは'60年代の雰囲気を醸し出す、まさにベーシックな1枚。2006年の作品です。 とくに低音のパワー感が心地よく、それをどのくらい再現できるか期待しましたが....。 NS-1000は、非常にバランス良く出ます。特にベースの音は深く沈み、潰れることなく解像度の高さもまずまず。アナログ的な柔らかさもあり、聴きやすい音です。 2S-305Dは、予想通りのヴォーカル強調型。サックスの震えも全面に出て来ます。低音は、ちょっとドカドカともたつき感がありますが、味わい深い、懐かしい響きです。 |
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聴き比べて、どちらも甲乙つけがたい....。 ざっくりいってしまうと、NS-1000はフラットで音域が広く、2S-305Dは音域が狭く、ぎゅっと詰まった感じで、さらに奥行きが出て丸い印象です。 今回CDを選んだのは、解像度が高く、比較しやすそうだったからなのですが、アナログでもよかったかな、と思います。 もちろん、今回試聴したアルバムがレコードで出てない(持ってない...)ものばかりなので、こういう形になりましたが。 印象としては、モニター用よりも、PA用よりも、コンシューマー向けのものが聴きやすさ、機材を選ばない音の完成度は比較的高いのではないかということですかね。 毎回このメルマガのために、比較試聴をしていますが、音の違いを聴き比べるのは、楽しいですね。 また、やってみたいと思います。 |