「ライブの余韻」 CDを聴きながら 今週のおすすめはCD2枚です。ご応募いただいた皆様から抽選で各1枚ずつプレゼントします。お名前、送り先、ご希望のCD(「Ub-X」か「バット・ビューティフル」)を明記の上、下記メールアドレスまでご応募ください。 mailto:merumaga@hifido.co.jp 締め切り日時は12/21(木)21:00です。当選者の発表は賞品の発送をもって替えさせていただきます。 |
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コンのおすすめCD 橋本一子Ub-X 「Ub-X」(橋本一子サイン入) 橋本一子(p,vo)、井野信義(b)、藤本敦夫(ds,vo) イーストワークス・エンタティメント EWSA-0115 (ハイブリッド盤) 曲名 1, Li-mo 2, Parallel 3, Lara 4, 凛(Rin) 5, Ubique 6, Monolith 7, Laiseca 8, Mars-Brasileiro 9, Entrance 10,Lapin 11,Bona Dea |
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去る12月7日(木)ピアニスト橋本一子のジャズ・ニューアルバム「Ub-X」発売記念して、ツアーでのライブコンサートが「京都 Live Spot RAG」で開催された。橋本一子(p,vo)、井野信義(b)、藤本敦夫(ds)から編成されたUb-Xのライブ。この3プレーヤーは以前からレギュラーで演奏しているということだが、「Ub-X」と名乗り出したのはまだ最近のことときいている。以前雑誌でこのアルバム・ジャケットを見た覚えがあると思うのだが、実際のところ橋本一子の音楽は聴いていなかったし、ましてジャズ・ピアノ演奏も聴いたことはなかった。どちらかと言うと普段あまりライブには行かない方だが、今回「京都Live Spot RAG」でライブを聴ける機会を持った。ニューアルバム「Ub-X」発売記念ということもあり、会場は客席が全部埋まるほどの盛況なライブだと思っていたが少し空席があった。今まで橋本一子のCDも聴いたことがなかった。ましてライブなどは見たことがないので、知らないメンバーばかりだった。しかしLive Spot RAGには過去2回出演した実績があるということだった。 |
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いざ実際ライブで聴いていくと、普段聴きなれているピアノ・トリオとは少し違った雰囲気だ。橋本一子のピアノが先人をきり、ダイナミックに奏でていく。井野信義のベースと藤本敦夫のドラムスもそのあとを追うようにビートを強調しながら演奏していく。初めて聴く橋本一子のピアノのビートは聴いた瞬間、山下洋輔的でもあり、チック・コリア風でもあるようだ。かなりハードで明快な音色であった。また豪放で破壊的魅力に溢れた音は何ともクールに今を感じさせてくれるようだ。演奏曲で印象に残ったのは「イパネマの娘」「マシュ・ケナダ」である。ボサノバの軽快なリズムタッチで紡いでいくメロディに魅せられた。 橋本一子Ub-Xを聴く限り、本来ジャズ・ピアノ・トリオが持っている4ビートの効いた躍動感あるスイングするジャズの世界ではないと感じた。またフォローでの井野信義のベースはウッド・ベースではなく、写真のようなアップライトベースであった。藤本敦夫のドラムスは少しハイアットのシンバルの響きが強く感じた。二人のビートが少々強調され気味の感が否めなかった。やはりライブでの音調感は難しい。聴く人の捕らえ方がそれぞれで異なってくるのだ。演奏するステージの大きさにも影響されてくるだろうし、まして今回のRAGでは会場も小さいので、ミキシング(音響調整)が一番大きな役割を担ってくるのではないかと思った。どうしてもオーディオ的に捉えて判断することもあるが、今回のライブではライブの音量について考えさせられた。 |
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一方、「Ub-X」のCDアルバムを聴くと、スタジオ録音と思われるが、ライブで聴くのとは違い、それほど強調されているとは感じ取れない。適度な張り出し感があっていいのではないかと思えるくらいだ。サウンドも静寂感を上手く使い繊細さがあるところから徐々にテンションを盛り上げていき、さらに最高潮に達する音源感など心憎いばかりだった。それは(1)「Li-mo」、(2)「Parallel」、(3)「Lara」では歌詞が不透明な橋本一子の囁くようなボーカルが独特の雰囲気を醸し出していく。ピアノのあとを追いかけるように張りのある分厚いベース・ソロが弾き出されていく。(5)「Ubique」ではゆったりした、ピアノとベースが独特な世界を描き出して行くようで、神秘な世界に引き込まれるようだ。また (6)「Monolith」では代表的なピアノのダイナミックで躍動感のあるリズムに酔いしれるであろう。思わず元気がわいてくる演奏で、自然に身体が動くようなリズム感である。 |
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いずれにしても全曲聴き終わって、静、動の激しいリズム感、正にこれが橋本一子独自の世界でもあるのだと感じ取った。 |
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ジョージ・ケイブルス・トリオ 「バット・ビューティフル〜シェイズ・オブ・アート〜」 ジョージ・ケイブルス(p)、ジョージ・ムラーツ(b)、ルイス・ナッシュ(ds) 2006.6.29,30 NY 録音 1)マイ・アイディアル 2)バット・ビューティフル 3)煙が目にしみる 4)ベサメ・ムーチョ 5)マイ・ワン・アンド・オンリー・ラブ 6)スター・アイズ 7)ルッキング・フォー・ザ・ライト 8)テテ・ア・テテ 9)虹の彼方へ 10)風と共に去りぬ |
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ジョージ・ケイブルスの演奏を聴くのは初めてですが、このアルバムを聴き一発で好きになりました。珠玉のピアノ・タッチと表現しましょうか。温かさ、歌心、スイング感、バラードもの、アップ・テンポも難なく弾きこなす巧みさに加えてなにより聴いていて愉しい。これが一番。"My Ideal"一日の始まりにこの曲を聴くのが好きです。いや、いつ聴いても心が和む。続くは意表をつくアップ・テンポの"Smoke Gets In Your Eyes"ではナッシュのソロ・パートでスティック捌きを堪能。しっとりと鍵盤が歌いとても素敵な"But Beautiful"。"My One And Only Love"。お馴染みの"Besame Mucho"。ころころと流麗に奏でる"Looking For The Light"と面白い旋律の"Tete A Tete"はジョージ・ケイブルスのオリジナル曲。"Somewhere Over The Rainbow"ジュディー・ガーランドが「オズの魔法使い」で歌った余りにも有名な曲。来日中のロック・ギタリストである燻し銀エリック・クラプトンもアコースティックで歌っております。余談でしたね。 さて、本アルバムのバックを努めるのが言うまでもなく実力の持ち主、長年トミー・フラナガン・トリオで活躍していたベーシストのジョージ・ムラーツとドラマーのルイス・ナッシュ。ジョージ・ムラーツ氏とナッシュ氏はJazz Club Over Seasのオーナー兼ジャズ・ピアニスト寺井尚之氏とは長年親交をお持ちということもあり、ムラーツ氏はテッド・ローゼンタール(p)&クラーク・テリー(ds)とライブを今年の6月7日に開催されました。私もお邪魔致しましたが大満足のライブでした。身近でムラーツ氏の生ベースを聴き大変感動しました。その低音域が響くムラーツのベース、ブラッシュ・ワークは定評のナッシュのドラムスで二人は伴奏に徹しています。安心して聴ける愉しく癒されるピアノ・トリオです。CDプレゼントに応募お待ちしています。(^^) |
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2006年6月7日に大阪・堺筋本町のジャズクラブ「Over Seas」で行われたジョージ・ムラーツ・トリオのライブレポートはこちら http://jazzclub-overseas.com/report/mraz2006/mraz_%20report/georgemraztrioreport_2006.html |