「秋の休日に」 よくばりスタンダードとじっくりオリジナル 今週のおすすめはCD2枚です。ご応募いただいた皆様から抽選で各1枚ずつプレゼントします。お名前、送り先、ご希望のCD(「アローン・トゥゲザー」か「ライヴ・アット・ケネディー・センター」)を明記の上、下記メールアドレスまでご応募ください。 mailto:merumaga@hifido.co.jp 締め切り日時は10/25(木)21:00です。当選者の発表は賞品の発送をもって替えさせていただきます。 |
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コンのおすすめCD 松尾 明 「アローン・トゥゲザー」 松尾 明(ds)、寺村容子(p)、嶌田憲二(b)、MAYA (vo)、西田幹(b,tb) 2007年5月横浜で録音 ディスクユニオン(寺島レコード)TYR-1001 2007/8/24 発売 曲名 1) ハンクス・ムード 2) アローン・トゥゲザー 3) ノー・ベース 4) テネシー・ワルツ 5) トランジェント・イスキーミック・アタック 6) 哀しみのダンス 7) テイク・ミー・イン・ユア・アームズ 8) 枯葉 9) ウイズアウト・ユー 10)ティコ・ティコ 11)バイバイ・ブラックバード 12)ソノーラ 13)アローン・トゥゲザー (別テイク) |
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東京吉祥寺の有名なジャズ喫茶「MEG/メグ」のオーナーが寺島靖国氏だ。JAZZ&オーディオ大好き人間でもあり、独特の評論が災いしてかジャズ雑誌等でよく論争を繰り広げている。氏の評論は自分の個性を強く打ち出しているのであまり好きになれないが、オーディオの音の好みは一致するところが多々あるように思う。その寺島氏がプロデゥースした新レーベル第1弾アルバムである。さすがオーディオ好きである。自分の気に入った音質でジャズCDの録音まで手がけて新レーベルまで立ち上げた。これは凄いと思う。オーディオファンであれば既にご存知であろう「オーディオのために電柱を立てた男」で有名だ。自宅の庭に電柱を立て、オーディオ専用の柱上トランスを導入したのである。氏いわく「美味しい電流を食べさせてこそオーディオは喜々とさえずり始めるのだ!」と。いや!これには全く脱帽だ。 ジャズについて以前から寺島氏について認識していたのは、50〜70年代にかけての4ビートの効いたあのスイング・ジャズが大好きということだ。そのことからもフリー・ジャズは聴かないということで、「フリー・ジャズはもうたくさんだ!」ともいっている。このアルバムもジャズの典型4ビートを効かせ、よくスイングする曲を多く取り上げていることからも分かるようだ。寺島氏はオーディオの音質もゴリッとして骨太で分厚い低音、繊細で透明感がある高音を特に好むということで、シンバルも「シャーン!」じゃなくて「ジャーン」だという。だから氏の自宅でのスピーカーは独特の形をした本格的ホーン型の、あの「アバンギャルドDUO」ということだ。そしてジャズ喫茶「MEG」においてもアバンギャルドを設置しているということだ。オーディオにもますます力が入っているようだが、氏は人のやらない事をやる人なので、お節介のようだが、ここはいっそうのことジャズ喫茶「MEG」には超弩級アバンギャルド「TRIO+BASSHORN」を導入してみては!と思う。しかしジャズ喫茶「MEG」には少々大きすぎるかもしれない。 そこで本題のジャズアルバムであるが、1)「ハンクス・ムード」を聴いた瞬間、まさに寺島靖国氏好みの音質であると判断できる再現性である。リーダー松尾明のドラミングは実に繊細で、目の前に見えてくるような迫力があり、強く叩くドラムスに魅せられる。はじけ飛ぶシンバルの音色は今までのヴィーナス盤でも味わうことのできない究極の透明感と豊かな響きである。また寺村容子のピアノも抜群で、ピアノの弦が全身で反応する音は生々しく響き、聴く者をグイグイと引きつける素晴らしいスインギーなプレイで迫ってくる。それにも増して嶌田憲二が弾くベースのゴリッとした骨太感には、思わず我がリスニングルームもグラッと来そうなぐらい見事である。続く2)「アローン・トゥゲザー」3)「ノー・ベース」4)「テネシー・ワルツ」5)「トランジェント・イスキーミック・アタック」以下どの曲を聴いても、オーディオ&JAZZマニアにはたまらない絶品の演奏ばかりが続く。6)「哀しみのダンス」ではMAYAの気だるい味わいあるボーカルに好感を持った。8)「枯葉」にいたってはこれ以上ない図太いベースと厚いピアノでドラムスはより弾け飛ぶ。「これがオーディオの楽しみの醍醐味でもある」と思った。9)「ウイズアウト・ユー」では珍しく西田幹のトロンボーンの音色にも配慮がなされているようだ。寺島氏自らも自己流でトロンボーンを吹くということだ。そのことからもここで西田幹のトロンボーンを一曲入れ、自分の姿を映し出しているようでもある。特にベースは弦が張った凄みのある唸りというより悲鳴のようにも感じ取れる。またシンバルの生々しく弾け飛ぶ再現性はまさに生唾ものだ。これは寺島氏の意向に沿った一枚だ。 このアルバムはジャズファンだけでなく、オーディオファンにとっても大変優れた録音で申し分ない。一つ一つの音がしっかりと捉えられており、豊かな立体感があって、全体的に心地よい。大きなスピーカーJBL4348で聴くと断然気持ちがいい。ついつい音量を上げて聴きたくなってしまう。残念なのは各曲の演奏時間が短すぎることだ。「もう少しこの曲を聴いていたい!」と思った途端に終わってしまう。1曲が約3分そこそこで軽快によくスイングしているが、曲数を減らしてでもやはり5〜6分は各曲とも欲しいところだ。次回作ではこの点をご配慮願いたい。 |
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カプのおすすめCD マルグリュー・ミラー 「ライヴ・アット・ケネディー・センター/ヴォリューム・ツー」 マルグリュー・ミラー(p)、デリック・ホッジ(b)、ロドニー・グリーン(ds) 2002.9 ジョン・F・ケネディー・センター・ライヴ録音 曲名 1) Song For Darnell 2) Grew's Tune 3) Farewell To Dogma 4) Old Folks 5) Eleventh Hour |
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マルグリュー・ミラーは1955.8.13ミシシッピー州グリーンウッド生まれ、クラッシックを学び教会・R&B・ダンスバンドで演奏する。メンフィス州立大学で音楽性を広めたそうです。多数・多ジャンルのグループに参加。350本以上のリーダー、サイド・マンとして収録。昨年、富士通コンコード・ジャズ・フェスティバル2006でルイスナッシュ率いる「ルイス・ナッシュ&ビ・バップ・グレート・オールスターズ」のメンバーとして参加、来日されていたので記憶に新しいかと思います。一見、強面なのですがはにかむ様な笑顔が印象に残っています。 さて、今回ご紹介するアルバムはジョン・Fケネディー・センターでのライヴ収録です。スターティングの"Song For Darnell"デリックの弾むベース、ロドニーのブラッシュ・ワーク、マルグリューの研ぎ澄まされたピアノタッチが美しい旋律と共に聴く者の心に新風を吹き込み解き放してくれます。三者卓越された演奏に魅了されます。鍵盤を自在に奏でるマルグリューのスインギーな"Grew's Tune" は季節の移ろいを感じながらウォーキングしたくなります。"Farewell To Dogma"は長いイントロは哀愁漂うメロディーでピアノソロから始まリ、エレガントなトリオ演奏でまとめています。"Old Folks"穏やかな時間の流れをかんじます。大切な人と過ごされてはいかがでしょうか。アルバム最後を飾る"Eleventh Hour"はピアノ独奏かと思いきや意表をつかれてしまいましたがcappuccinoのお気に入りなんですね。5曲中4曲がマルグリューの作品。中だるみのない楽曲と演奏はさすがと言うべきで、「アメイジング!」。ダンディーで気品ある大人のジャズ。緩急を上手く使い分けてスインギーに奏でるマルグリューのピアノの世界に引き込まれます。卓越したジャズのセンスがまさにトリオで融合されています。秋の気配を感じる今日このごろ、夏の疲れが出るころです。ジャズでも聴きながら心身共にリラックスさせてください。CDプレゼントのご応募お待ちしております。(^^) |