2010年05月07日 おすすめCDは下記の店舗で試聴できます。 コンのおすすめCD 山中千尋 「ランニング・ワイルド・トリビュート・トゥ・ベニー・グッドマン」 オーディオビギナーズ カプのおすすめCD 上妻宏光、塩谷 哲 「AGA-SHIO」 秋葉原店 |
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コンのおすすめCD 山中千尋 「ランニング・ワイルド・トリビュート・トゥ・ベニー・グッドマン」 山中千尋(p)、ジャネル・ライヒマン(cl)、アビ・ロスバード(g)、ティム・コリンズ(vib)、脇義典(b)、ルカ・サンタニエロ(ds) 2009年7月NYで録音 ユニバーサルクラシック&ジャズ UCCJ-2077 2009/10/7発売 曲名 1)イフ・アイ・ハッド・ユー 2)エアメイル・スペシャル 3)バッド・ガール 4)グッド・ボーイ 5)スプリット・ディスク 6)メドレー:サボイでストンプ〜ラスト・コール 7)ゲット・ハッピー 8)煙が目にしみる 9)ティコ・ティコ 10)ローズ・ルーム 11)レイチャールズ・ドリーム 12)ディーズ・フーリッシュ・シングス 13)ランニング・ワイルド 14)イフ・アイ・ハッド・ユー |
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アルバムが発売される度に充実が著しい日本人ピアニスト、山中千尋がまたしてもトリビュートアルバムをリリースした。あのスイング王ベニー・グッドマンに捧げる傑作アルバムである。ベニー・グッドマンといえばクラリネットだが、オーソドックスな古典スイング・ジャズを想い溢れる山中のピアノが綴っていく。グッドマンほどの個性はないがジャネル・ライヒマンのクラリネットもよくスイングし、たまらなく癒されるようだ。往年のベニー・グッドマンの演奏を聴けば、スイング・ジャズの明るく楽しい演奏に皆が聴き入り、誰もが好きになったものだ。ベニー・グッドマンの圧倒的な存在感とスイング・ジャズの表現力においても素晴しい作品に仕上がっている。山中千尋もベニー・グッドマンのスイング・ジャズをこよなく愛していたということで、このようなアルバムを作りたいと以前からの念願していたそうだ。グッドマンに敬意をはらい、熱き思いを込めた“ベニー・グッドマン”へのオマージュ”となる作品で、演奏にもいっそう力が入る。 非常に懐かしい1)「イフ・アイ・ハッド・ユー」で始まり同じく「イフ・アイ・ハッド・ユー」で終わるのも実にいい。3)「バッド・ガール」、4)「グッド・ボーイ」、6)「メドレー:サボイでストンプ〜ラスト・コール」などは、まさにベニー・グッドマンに捧げたオリジナリティ溢れるメドレーで綴っていく。ジャネル・ライヒマンのクラリネットもよく歌い、アビ・ロスバードのギターや、美しい響きを聞かせるティム・コリンズのバイブが雰囲気を遺憾なく発揮しているのも素晴しい。ピアノとクラリネットが、お洒落な表現力と、豊かな色彩感を残しながら、それでいて現代的で軽快なリズム感で淡々と刻んでいく。またアビ・ロスバードのギターの音色も研ぎ澄まされたような清らかな流れに沿って、美しいサウンドに溶け込んでいる。8)「煙が目にしみる」などは代表的な曲で、美しくスイングするピアノには粋なメロディと穏やかな上昇感を描く心地よい響きは素晴らしく、彼女をサポートするリズム・セクションは聴き応え十分といえるものだ。そして13)「ランニング・ワイルド」でも、ダイナミックなピアノ・ソロはメロディックそのものでので、アレンジも抜群だと言わしめる。力強い演奏に最後まで魅せられっぱなしだった。 サウンドにおいても、ドラムスのドライブ力、艶のあるピアノ、しなやかに響くギターと、エネルギッシュにリズムを刻むベースが自然に溶け合った演奏がとても心地よいものだ。楽器のバランスもよく、全体的に臨場感豊かに捉えられていて、実にいい響きに仕上がっている。高音質録音が山中千尋のピアノの輝きを、いっそう引き立てているようでもある。 |
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カプのおすすめCD 上妻宏光、塩谷 哲 「AGA-SHIO」 上妻宏光(三味線、ヴォーカル)、塩谷 哲(ピアノ、パーカッションon.1/2/8) 2009.8. 13-15.東京 録音 曲名 1)ラプソディー 2)秋田馬子唄 3)バロック風狂奏曲〜三味線とピアノの為の 4)佐渡おけさ 5)田原坂 6)じょんから 7)shufflin’city 8)涙の記憶〜舞台「その男」エンディングテーマ 9)小夜時雨 |
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今年の大型連休はお天気に恵まれ、気持良く過ごせましたが、皆様は如何お過ごしでしたか?先週号で宣伝させて頂いた高槻ジャズ・ストリートも大盛況に終えたようです。個人的には津軽三味線のユニットグループに興味津々。という訳で今回のおすすめCDは津軽三味線奏者:上妻宏光とジャズピアニスト:塩谷 哲によるユニット、AGA-SHIOのアルバムです。 AGASHIO?OGUSHIOと違うん?ネーミングだけではなく、作品を聴き「目から鱗が落ちる」衝撃を受けました。違う分野の音楽を習得されたお二人は、技量・知識・才能とあらゆる面に亘り高い評価を受けています。最近の傾向なのか、ご本人たちがライナー・ノーツを手がけておられますので説得力十分。ですが、・・・一応私なりに感じたことを書かせて頂きます。三味線は弦楽器でもあり打楽器でもあるのです。「弾く」という感じに思われるかもしれませんが、実際に演奏する時は打楽器のように、撥で三味線の胴を「叩く」という感じなんですね。ですから、軽快で流麗に奏でられる早弾、繊細な音色や色彩豊かな表現に魅了されました。プロ同士のぶつかり合いから生まれた作品ですが、特にアレンジのすごさに圧巻です。では、アルバムのご紹介とまいりましょう。 スターティングの1)「ラプソディー」はアレンジに長けた上妻氏の作品です。聴き手の心を鷲掴みする楽曲とパフォーマンスをご堪能下さい。2)「秋田馬子唄」、4)「佐渡おけさ」、5)「田原坂」6)「じょんから」はお馴染みの民謡曲です。2)と5)で上妻氏の唄を初めて聴き、「味わいのある、ええ声なぁ〜」と思いました。5)「田原坂」は西南戦争を題材としたとても切ない旋律の民謡です。戦で儚く散って逝った「男の夢」を表現するがごとく、三味線の「しなり」具合の表現にぐっとくるものがありました。時空を越えた自然との語らいや生命を感じた次第です。何度も繰り返し聴いてしまったcappuccino。平和へ感謝。3)「バロック風狂奏曲〜三味線とピアノの為の」はバッハのような対位法的手法によって、まず三味線とピアノを対等な旋律楽器と定めて作曲したそうです。これも面白い試みだと思いました。(ライナーノーツ引用)6)「じょんから」は津軽民謡の代表曲「津軽じょんがら節」を上妻氏が力強く奏でます。手に汗握る迫力満載の邦楽版「おとこ前」に脱帽です!7)「shufflin’city」はファンキー・ジャズならぬファンキー三味線です。カッティング表現にノリノリ気分です。 津軽三味線とピアノから創作された「東洋と西洋」、「邦楽と洋楽」、「民謡とジャズ」等、対比から其々の旨味を見出せるように両者の上質なアレンジを活かして二人の名手が表現します。あなたもきっとはまってしまうでしょう。すべての音楽ファンやオーディオファンにお薦めします。ご試聴ご希望の方はご遠慮なく店頭スタッフにお申しつけください。お待ちしております。(^^) |