秋の深まりを見せる京都ですが、紅葉のシーズンはまだ少し先のようです。京都商品部の朴 高史です。 少し前のことなのですが、書店へ行くと、どうしても手に取ってしまう本がありまして、三度目に買ってしまったのがこちらの本。 |
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「ボブ・ディランは何を歌ってきたのか」 萩原健太 Pヴァイン ということで、今回はボブ・ディランのお話などです。 実は、こちらも買ってほったらかしになってました。 「ボブ・ディラン ロックの精霊」 湯浅 学 岩波新書 |
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ディランについての本がここ最近、立て続けに出版されております。 (中山康樹氏の「ボブ・ディラン解体新書」もあります。) 3月〜4月、ボブ・ディランの来日公演があったからかとも思えますが。 ほぼ同年代の、二人の日本を代表するポピュラーミュージック評論家が、 ボブ・ディランをどう書き表してるか、読み比べたくなりました。 (両氏とも、あまりディランのイメージがなかったので。) |
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まずは、萩原氏の「ボブ・ディランは何を歌ってきたのか」からです。 ディスクガイドの体裁でアルバムを年代順に取り上げて、背景や状況を実に細かく描かれております。 「プラネット・ウェイヴズ」の項では、ご自身がお気に入りのようで、萩原氏らしいノリノリの文章になってます。 ディランがその都度、誰に、何を、どう伝えようとしたのかを、 又、周りがどう受け取ったかを、大量のアメリカンミュージックの情報と、 ご自身の考えや、過去のディランのインタビューなどを交えて、 ディランの波乱万丈の半生を描こうとされております。 自身で行かれたライブでの雰囲気や、各アルバムの自身の評価など、(中には否定的な内容もあります。) リスナー(大ファン)の目線の、実に面白く又、勉強になる内容です。 書かれている、ディランの曲と引用元の曲との聴き比べなども試してみたいのですが、大変そうです。 |
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そして、湯浅氏の「ボブ・ディラン ロックの精霊」です。ついさっき読み終えました。(なぜか、出版順序とは逆に読んでました。) こちらは、ディランの内面を「ボブ・ディラン自伝」などの過去に書かれた書物や雑誌、映像などの情報を交え、より深く描こうとされてます。 ディランが、どういう風に音楽に目覚め、どうフォークの貴公子と呼ばれるようになり、 何故ロックに移行し、何故サマー・オブ・ラブの時代にほぼ隠遁状態だったのか、 ・・・そして、現在何故現役バリバリなのかを、自身独特の感覚で見事に描かれております。 この本の特別なところは、ディランの全てを肯定的に描かれているところです。 ご存知のようにボブ・ディランの一般的なイメージは、「気まぐれで、嘘つきで、面倒くさそうな人物。」というものがほとんどですが、 湯浅氏は、全てを弁護しています。(副題もロックの精霊ですから。) キリスト教への改宗時のアルバムやライブしかり、多大な負債を抱えることとなる映画「レナルド&クララ」しかり。 終章のトゥゲザー・スルー・ライフでは、現在のディランの活躍ぶりと、そこへ至るこれまでの心の変化を、 様々なディランについての文章と持論を交えて語られます。 ディランの全てを認め、精霊とまで言ってしまうところに、湯浅氏の意図が読み取れます。すごくおもしろかったです。 |
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と、こんなに読んでしまうとディランが聴きたくなります。実は、私ファーストは飛ばして、 「フリーホイーリン」から「ナッシュヴィル・スカイライン」までは一応聴いておりましたが、 「ナッシュヴィル・スカイライン」で引っかかりそのまま以降のアルバムは聴いてませんでした。 (「ブロンド・オン・ブロンド」と「ジョン・ウェズリー・ハーディング」は愛聴盤でもあります。) で、今回は、「ナッシュヴィル・スカイライン」から、70年代の作品の1970年の「セルフ・ポートレイト」から、1976年の「激しい雨」までを聴くことにしました。 (以降の作品【80年、90年代の低迷期】は、私にはまだ荷が重いです。) (ブートレッグ・シリーズの「アナザー・セルフ・ポートレイト」と「ローリング・サンダー・レヴュー 」を含めますとなかなかのボリュームです。) 結果、「ナッシュヴィル・スカイライン」は愛聴盤となり、 「ローリング・サンダー・レヴュー 」は生涯のベストライブアルバムと成りました。 (アーティストのピークのパフォーマンスが聞けます。) やはり、聴く態勢を整えると、聴こえ方が違ってきます。 |
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70年代のアメリカオーディオ界の最大の事件はと言いますと、やはり、1973年のAESに出展された、マークレビンソンのLNP-2でしょう。 自身のフルネームを使ったブランド名、値段が1750ドル(日本円で630000円)、抜群の性能。ハイエンドオーディオのはしり、この後、新興ブランドが続々と出てきます。 「1973年暮れにとどいたアメリカのオーディオ専門誌に、従来の常識を破るような新しいデヴァイスを使った斬新な設計と見事なコンストラクションのプリ・アンプについてのテスト・リポートが載っていた。測定データも立派なものだったが、一番びっくりしたのは、値段だった。当時の最高級のプリ・アンプが600〜700ドルぐらいだったのが、これは何と1750ドルである。」 1992年、中央公論社 別冊 暮しの設計 20号「オーディオ〜ヴィジュアルへの誘い」より |
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初期のレビンソンのモデル名に、JCが付くモデルがあります。JC-1やJC-2などですが、 これは設計者のジョン・カール氏の頭文字から付けられております。 Burwenモジュールを元にした、オリジナルモジュールの設計もこの人に依るものです。 実はJC-3というパワーアンプも計画されてたようですが、ジョン・カール氏がレビンソン社を離れたため、 製品化はされませんでした。 そのJC-3の回路図を元に後任のトム・コランジェロ氏により設計されたのがML-2Lです。 JC-2を元に設計変更されたのがML-1Lです。 当時のモデルラインナップにJCの付くモデルはJC-1だけになりました。 オリジナルモジュールは1979年のML-6まで使われます。 音質の変化はこのあたりにもあるのでしょうか。 |
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最近は、1997年の「タイム・アウト・オブ・マインド」から最新作の「テンペスト」をのんきに聴いているのですが、 この11月にはブートレッグ・シリーズの第11弾となる『ザ・ベースメント・テープス』完全版が発売されてしまいます。 デラックス・エディションはCD6枚組の曲数が138曲とあります。大量です。 それと、最近発見された、地下室セッション時にディラン自身により書かれた歌詞に新たな曲を付けるプロジェクト 「ザ・ニュー・ベースメント・テープス」の「ロスト・オン・ザ・リヴァー」と言うアルバムも出ます。 こちらのプロジェクトは、監修にTボーン・バーネット、メンバーは、エルヴィス・コステロ、マーカス・マムフォード(マムフォード&サンズ) 、リアノン・ギデンズ(キャロライナ・チョコレート・ドロップス)ほかです。 興味深いです。 |
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ボブ・ディランを追いかけるのは大変です。 それでは、失礼します。 |