京都の街は夏場をようやく越え、徐々に過ごし易い気候に変化しつつあります。三大祭りも時代祭を残すのみとなりました。例年に比べ海外の方々が毎日のように2~3団体必ず京都店へ観光がてら寄られます。ここ京都は国内のお客様にもLPレコードの売れ行きが良いですが、海外の方もCDソフトよりLPレコードにご興味を示される方が多い様です。先日オフの日にEXPOCITY内にあるNIFRELを回ってきました。ショッピングモールは勿論、動物や自然体感ミュージアムのOrbiや夏場から話題のPokémonEXPOジム等、各ブースがもつ敷地自体広く設けられており、ここでも海外の方が多数来場されていました。うちのおチビさんはこの時買ってもらったホワイトタイガーのぬいぐるみと今も一緒にねんこしています。皆様はこの夏いかがお過ごしでしたか。お世話になっております、京都店の近藤です。 |
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毎年夏場のアツい時期にZEST御池・河原町広場にて開催されているレコード祭り。今年も好評だったようですが当京都店自体御池通から近場に位置している為、流れでのご来店も多数お見受けしました。家電量販店でも各有名メーカーの現代レコードプレーヤーシステムが必ずと言っていいほど店頭に並んでいます。そんなLPブームが再燃している今回、お客様からの委託販売品としてあまりお目にかかる事の無い、創業130年を誇る、スイスの名門レコードプレーヤー・メーカーTHORENS社のTD-226ダブルアーム仕様をメンテナンス、並びに販売に携わらせて頂きましたのでそのレポートになります。【ネット参加品】と弊社では謳わせて頂いており、ビンテージから現行ラインナップまで幅広く対応しております。中でも今回のような年代物 且つ繊細なアナログシステムのような製品については、ハイファイ堂にて一旦不具合箇所や、今後劣化するであろう箇所の修繕を行い、代理販売を行わせて頂くシステムになっております。 |
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販売前のお預かり時に、TD-226自体に搭載されているエレベーションリフター(下記画像 木製アームベースから生えているアームレスト)が左右のアーム共に動きが芳しくなく動作しないケースが頻繁で、この部分を弊社サービスにて修繕、調整させて頂きました。このリフター自体は、軸プーリーをゴムベルトでアップダウンさせている構造で経年の劣化により緩んでおり交換と、そのリフター動作を制御するキャビネットに取り付けてあるリフトアップダウンボタン廻りの洗浄を施させて頂きました。最初はカートリッジを乗せていない状態だと昇降していたリフターも、シェルカートリッジを装着するとその一式重量にプーリーモーター回転が耐え切れず動作不具合を起こしていた様です。SME/3009R側はアーム自体のリフターさえ生きていればマニュアル操作で昇降出来ますが、このプレーヤーの主役を担うTHORENS/TP-997(S)は本体のアームリフトコントロール用スイッチのみのアップダウンですのでこれは致命的な不具合です。 |
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内部構造がこちら。左右のアームレスト軸部から伸びている円状のモータープーリーをベルトで駆動させる方式なのがわかります。尚、TD-520シリーズ等に搭載されている、レコードの演奏が最終溝を過ぎると自動的にアームがリフトアップしてターンテーブルを停止させるエレクトロシャットオフ機構(ESOS)は、当製品2本のアームには惜しくも搭載されていませんでした。※深夜帯などに聴きながら寝入ってしまっても安心な、モーターにも針にも優しい機能です。 |
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ESOS機構自体は専用基盤回路から別で設けられたメカ(下記画像 左)があり、ボックス右上のワイヤーがアームが内周に近づくにつれて引っ張られ、レーベル手前で反応して自動でリフトアップされる便利な機能です。元々オイルライター(下記画像 右)やオルゴール等を製造していたTHORENSらしいギミックですが、逆にこの部分が故障した際、ケースによってはこの機構が連動している基盤側のコンデンサ等の影響もあるらしく、もしESOS搭載のシステムオーナーになられた時は少し注意が必要かも知れません。 |
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さて、このレコードプレーヤーTD-226というモデルにはEMTの927プレーヤーシステムに採用されたTP-997がセットアップされているのが本来のようですが、今回の1本はコネクター部分をスタンダードタイプ(下記画像 右)に変更したモデルTP-997(S)でした。あらゆるシェルカートリッジとマッチングする非常に優等生な万能アーム、且つダイナミックバランスですので針圧調整に関してもストレスレスです。加えてもう片側もSME社の3009R、こちらもフロントサブウェイトの有無で30g級のカートリッジが乗ってしまう巷でも人気の高いショートアームを装備。信頼と実績ある1本です。 |
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あと1つこのプレーヤーシステムの扱い易い点は、ツインアームの位置取りがL字でなく平行に配備されているところ。L字配置ですとフロントから奥側のアーム操作時に当製品の様なフロントパネルボタンでリフトアップダウンを行えないプレーヤーが多く、アーム自体のリフター操作での上げ下げを行う形が大半を占め、リフター操作時にダストカバーとのクリアランスもあまり取れず苦労されているユーザー様が多いようです。この点を解消しているのは非常に大きく感じました。様々なシェルカートリッジを選べ、且つロング、ショートの組み合わせ、操作性まで配慮されたグッドなシステムでした。人気も高く、ネット参加品として登場するも1両日中にご成約となり、京都店自体での演奏も少なく終わってしまいました。 |
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ハイファイ堂では今回の様なものによっては修繕を加えてから販売させて頂く委託品もラインナップとしてございます。ホームページのネット参加と記載されているのがその例です。詳細内容は下記となります。 http://www.hifido.co.jp/merumaga/osu_sale/141010/index.html 委託に関しましてはあらゆる製品を取り扱える訳ではございませんが、ご興味のある方は一度最寄りの各支店へご相談下さいませ。今年も残すところあと3ヶ月強となりましたが、秋口にかけて京都観光にお越しの際は是非ハイファイ堂京都店をチェックしてみて下さい。任天堂本社がある京都はポケモン探しも良いですが、こちらは音との新たな出会いがあるかも知れません。スタッフ一同お待ち致しております。 ハイファイ堂 京都店 近藤 弘嗣 |
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