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こんにちは、京都商品部の真継です。メンテナンス業務に携わって1年が過ぎました。
外装メンテでは、オイルフィニッシュ仕上げを基本に行って来ましたが、次のステップとして、塗装仕上げのステップに入っています。塗装仕上げはオイル仕上げとはまた異なった光沢感のある美しい仕上がりになります。塗装の場合少しのミスが仕上がりに影響してくるので気が抜けない作業になりますが、しっかりステップアップできるよう日々頑張っています。
最近、仕上げたTANNOY Autographの例です。左が施行前、右が施行後です。
さて、今回は外装仕上げの基礎となっているフレンチポリッシュについて紹介したいと思います。
この手法は外装メンテナンスで行っているオイルフィニッシュの基となる手法でアンティーク家具などに用いられていたものです。何回も塗っては磨きの繰り返しによって光沢のある独特な仕上がりになるものです。
何回か塗っては磨きの繰り返しをする面ではオイルフィニッシュも同じ作業がありこの基礎になった
のでは無いかと考えられます。今やっている塗装仕上げにも通ずる作業だなと調べていて感じました。
フレンチポリッシュはシェラックを使った19世紀から伝わる塗装技術で日本ではタンポ擦りとも呼ばれています。これは仕上げの中でも超高級仕上げに属する仕上げです。一般的な塗料は3度塗りぐらいでフィニッシュに対してフレンチポリッシュは200〜300回以上作業を繰り返し行い仕上げるので約100倍以上の時間と労力が必要となります。そうすることでアンティーク独特の深みのある輝きになります。この技法はアンティーク家具のみならず、高級ギター、バイオリン、オーディオで言うと1950年〜1960年時代の蓄音機などでも用いられ美しい深みのある独特な仕上がりになります。
この手法に用いられるシェラックは東南アジア、主に亜熱帯地域に多く生息する虫、ラックカイガラムシという昆虫が原料です。19世紀頃のアンティーク家具と呼ばれる家具たちのほとんどがこのシェラックを使って塗装されています。
フレンチポリッシュはこのシェラックをアルコールで溶かし、シェラックニスにし、綿を布で包んだものにシェラックニスを染みこませて使います。刷毛で塗る塗装やスプレーでの塗装とは異なり、シェラックニスが何ミクロン単位の層しかできないので、数秒から数分で固まります。層がうすいのでその分手間がかかりますが仕上がると何とも言えない良い仕上がりになります。
先輩が試されたので紹介します。
シェラックにも沢山種類はありますが、ラックカイガラムシの色素を残し、油分だけを取り除いたシェラックオレンジです。
茶色の色素を脱色させたシェラックで仕上げ用のブロンズ 塗膜が非常に硬く、テーブルトップなどの仕上げに好んで使います。
アルコールに溶かすと言ってもすぐには溶けず、まる2日かかるようです。
左がブロンズ、右がオレンジのシェラックをアルコールに溶かしたものです。
これをタンポ(綿を布で包んだもの)で塗っては磨き(バミスと言う軽石の粉などを使う)の繰り返しで仕上げます。
回数を重ねることによりこうなります。
左から始まり、右にいくとこの様に変わります。
最後の右端は200〜300回は塗っては磨きを重ねたものです。
手間は非常に掛かりますが、仕上がりは独特の良い仕上がりが現れます。
今、やっているメンテナンスではシーラーなどを使って目止めをしたりしますがこの時代は天然素材を使って仕上げていたことがわかります。
今の仕上げもフレンチポリッシュ(フレンチポリッシュ仕上げは当社では行っていません。)まではいかないものの基本的な作業は変わっていないのでその持ち味が最大限出るようにオイルフィニッシュ、塗装仕上げ頑張っていきたいと思います。また、オリジナルに準じた仕上げをし、その良さを引き出したいと思います。
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