この秋の京都は、若冲みたいです。京都商品部の朴高史です。 今年、生誕300年の伊藤若冲展が、生誕地の京都にもやってきます。 (一部は、相国寺承天閣美術館で始まっていたのですが、京都市美術館でも10月から始まります。) 東京では大混雑だった様なので、年末に行こうと思ってます。 今回は、先日終了したNHK朝の連続テレビ小説「とと姉ちゃん」 (雑誌「暮しの手帖」の創業者 大橋鎭子の半生を描いたドラマ。) で、ドラマ以上に興味を抱いたのが、雑誌「暮しの手帖」。 (存在は知ってましたが、主婦向けの生活情報誌かなぁ..くらいの認識でした。) についてです。 |
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戦後間もない 昭和23年に創刊された家庭婦人を対象とした生活総合情報誌。 (創刊時から記事の公正性の為、広告を掲載せず発行されます。) 昭和28年、社内に「暮しの手帖研究室」という部署が作られ、 日用品や家電用品を徹底的に比較する「商品テスト」の連載が始まり、話題となります。 その、徹底した比較内容で、数々のエピソードが残されています。 (ドラマの後半では、これらのエピソードが物語の中心として描かれておりました。) 有名なエピソードがこちら |
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昭和36年 第56号 「ベビーカーをテストする」 ベビーカー7種を子供が乗っている想定の重りを乗せ、数日かけて、様々な条件の道を100キロ実際に押し歩き、状態をチェックする。 |
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昭和41年 第87号「火事をテストする」 石油ストーブ、アイロン、コンロなどの出火原因で、様々な条件で出火実験を行い、 燃焼状態や消火検証を実際の家屋を使って行ってます。 |
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昭和44年 第99号 「自動トースターをテストする」 33台のトースターで一台につき2000枚のトーストを焼き続ける。焼かれたトーストの合計が43088枚になったそうです。 |
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読者である消費者、製造するメーカーに多大な影響を与えたようです。 (ジャパンクオリティーが築かれる礎になったのかなぁと思われます。) そんな雑誌の現物が見たくなり、数冊入手しました。 編集長の花森安治デザインのモダンな表紙をめくると裏表紙には有名な挨拶文、 次の目次にも花森による装画が施されてます。 そしてカラーの特集ページと続き、料理のこと、衣類のこと、 DIYのページ、薬の事、海外の話題、などなどみっちりと詰め込まれております。 (ページの片隅に、簡単なレシピが延々と載ってたりします。) 広告がない為、他の雑誌にはない雰囲気が感じられます。 (花森安治の意思を強く感じます。) |
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で、「暮しの手帖」でオーディオはどう書かれたか…というのが今回の本題です。 女性向きの生活情報誌ですから 実際あまりオーディオ関連の記事はないのですが、 豊かな生活には音楽が必要との考えから少し見られます。 |
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昭和31年 第36号 172ページ 「ドーナッツへのいざない」 銀座おすき屋 藤井 司 |
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LP、EPレコードが出始めた頃のようです。 まずは、国産で出た3スピードプレーヤーの紹介から。 プレーヤーだけでは音が出ないが、 アンプやスピーカーを買うと高くつくので、 家にあるラジオに繋げれば聴けるとのことや、 LPは高くて、音が悪いので、 音が良くて、安いシングル盤を 専用のオートチェンジャープレーヤー ( アメリカRCA製の中古品)で、音楽を楽しみましょう という様な内容です。 |
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昭和34年 第48号 108ページ SHOPPING GUIDE 「ステレオは、いま買うべきか、もっと待ったほうがよいか」 |
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ステレオレコードが出た頃です。 ステレオレコードを聴くには、ステレオ用のシステムが必要で、 それは、大変高くつくので、もう少し待って、 ステレオが主流になってからにしようとのことです。 もし、それでもステレオが聞きたければ、 ステレオテープレコーダーの方が 音が良くて安く上がるという内容です。 |
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昭和38年 第68号 138ページ 暮しの手帖のレコードショップ 「ベートーベンの運命とシューベルトの未完成は、どの盤を買ったらいいでしょうか」 担当 津守健二・菅野沖彦 |
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レコードが、まだまだ高価だった頃です。 クラシックの代表である、この二曲の両方もしくは、 どちらか一曲が入ったレコードを30枚聴き比べて、 おすすめと、買い損を選ぶという企画です。 当時、月刊朝日ソノラマの編集員であった菅野沖彦氏 (レコーディングディレクター的な事もされてた様です。) と同僚の津守氏が担当されてます。 買い損は、買ってはいけないレコードのことです。 この企画は、好評だった様で、数回掲載され、 のちに黒田恭一氏の担当で連載になります。 |
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昭和40年 第80号 103ページ 「だれでも使えるテープレコーダー」 花森安治 |
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オランダ フィリップス社のコンパクト・カセットテープレコーダー EL 3300 をいち早く紹介しています。 取扱店の三越に注文が殺到したそうです。 翌年、ソニー社から、 最初の国産カセットテープレコーダー TC-100が発表されます。 |
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PHILIPS EL3300 1964 |
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SONY TC-100 1966 |
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昭和41年 第86号 38ページ 「2万円前後のステレオはどれがよいか」 |
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当時、売り出されたばかりだった、 ナショナル社、ビクター社等7社、7種類の2万円台のモジュラーステレオを 十代から三十代までの特にマニアでもない一般の人で聴き比べをしています。 オンキョー社(大阪音響)のST-55がダントツの評価になります。 テレビ事業から撤退し、 オーディオを主力商品にしようとしていたオンキョー社の追い風となったそうです。 |
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代表的な記事は、こんな感じでした。 花森安治はやはり、オーディオマニアだったそうですが、オーディオにも独自の考えがあった様に思われます。 現在、「とと姉ちゃん」の後に、BK制作の「べっぴんさん」が始まってます。(オープニング曲は、今度はミスチルです。) 子供服ブランド「ファミリア」の創業者 板野惇子(父親はレナウンの創業者 佐々木八十八)の半生のドラマです。 「とと姉ちゃん」と時代がほぼ重なります。 次回は、iphone7でイヤホンジャックが無くなり、気になりだしたのがワイヤレスの事など、オーディオの未来について考え中です。 |