いつもお世話になっております。 ハイファイ堂、京都商品部の滝本です。 もうすっかり秋です。 先日、休日に近所の鴨川を通りがかると納涼床の撤去作業が行われておりました。 |
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京都の夏の風物詩である鴨川の川床は、その設置(営業)期間が毎年 5月〜9月いっぱいまでと決められているので (河川の増水時などの危険を避ける為、常設は禁じられています) この撤去作業が始まりだすと「ああ、今年ももう終盤だなあ」と思ってしまいます。 本格的に寒くなる前に秋・冬物と衣替えの準備をしておこうと、片付けも兼ねて 部屋をごそごそとしていると、昔懐かしいノートファイルを見つけてしまいました。 |
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10年程前、仕事の都合で広告デザインの講座を受講していた事があったのですが その時に使っていたファイルで、広告作成に関する実務的な事や、 デザイン理論やら、PCを使っての広告物作成の実技的な事など、 つらつらと書き留めてありました。 懐かしさに負けて、片付けもそっちのけで中身を見ていると、 そのうちの1ページに(実在の)企業や製品のロゴマークをひたすらに並べているページも見つけました。 「こんなこともしていたなー」と懐かしんでしまったのですが、これは実技初歩の ロゴ作成の講座の時のものでした。 広告物を作成する時にそれを視覚的に象徴するロゴ(マーク)はとてもよく利用される 要素なのですが、手元にいつもロゴの(作成用の)データがあるとは限りません。 そういう時、解像度の低いロゴの画像データをパソコンに取り込んで、 それを広告作成に使えるものに作り直す、といった事も行うわけです。 それをひたすら練習するために様々な企業ロゴなどを ファイルにためておいたりするのですが、その中にとても馴染みのある オーディオ関連のロゴマークもありました。 中でもYAMAHAのロゴ作成を練習した時の事は特に覚えています。 それはなぜかというと… |
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そんなわけで、今回のメルマガはオーディオメーカーのロゴについて少しばかり。 そしてせっかくですのでそのロゴが実際にスピーカーに取り付けられている様子を、 パーツの拡大写真を併せてご覧いただければと思います。 (今回もまた過去のメルマガの掘り返しになってしまうところがあるのですが、以前 第652号2016年7月29日の『20〜100倍の世界』で撮影していたものの、 未掲載であったロゴパーツの拡大写真をまたいつかお見せ出来る機会がないものか とうかがっていたもので。) |
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それでは、さっそく『YAMAHA』です。 |
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ほとんどの方がご存知であろうこのYAMAHAのロゴタイプ。 形や構成要素がシンプルな為、ロゴ作成練習用には持ってこいの素材で、 一番最初に練習したのもこれだったんじゃなかったか と思います。 ロゴデータの作成の手順をざっと(よくあるパターン、で)ご説明させて頂きますと、 まずは低解像度の画像をパソコンに取り込み、 イラストレーターなどのソフトにテンプレートや取り込み画として配置する。 その配置画に合わせてガイド線レイヤーを作る(文字の天、地、デザイン上の 中心線をガイド線にする)。 文字の構成要素を見極めて基本となるパーツを決め、それを回転、拡大、 複製などしていく。 『YAMAHA』の場合は、MかHの縦線をメインのパーツにして、 Hの横線は回転で作成。 その後Mの斜線部分をメイン縦線の傾けコピーで作って、その逆Vみたいに なっているパーツを左右反転コピーで複製して、両方を合成してMに。 似た要領でYとAも作成して、Aは作った1個分を残り2個分そのまま複製。 といった感じでなるべく作業量を少なくして作成し、最終すべての文字(記号)を グループ化してデザイン用のデータ化(ベクター化)。 という風になります。 そしてこれを取り込みが終わっている場合だと、大体1〜2分で行わなければ 現場では使えないレベルとされていたので、 広告の現場もなかなかの体力仕事です。 |
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さて少し長くなってしまいましたが、このようなロゴ作成の練習を行っていたの ですが、やっと『YAMAHA』の練習時の話です。 練習なのでやはり反復練習が基本となりますので、この時もひたすら 取り込み〜作成〜データ化〜取り込み〜作成〜データ化〜…と 半ば頭を無にして繰り返しておりました。 が、ある時点で何かうまくいかなくなってしまいました。 リアリティを出すため、取り込みのデータも毎回いろんな所から引っ張ってくる のですが、それほど解像度が低いわけでもないのに、 何か文字の歪み具合がひどい。 Mを作る時の逆V反転をすると形が全然合わない。線の太さまで違う気がする。 Mの地の部分がガイドラインに合っていない… ん?本当にMの下に隙間がある?? 一旦手を止めて、いくつか用意していたYAMAHAのロゴを解像度高めのものや、 ちゃんとしたロゴデータで見比べてみると、 なんとタイプのパターンが違うではありませんか。 知りませんでしたーー。 |
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練習で最初に使っていたロゴタイプが こちら |
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そして途中で混同してしまったのが 最初にもお見せしたこちら。 |
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どうでしょう、並べてみると 違いが分かりやすいでしょうか。 |
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紫色の方がいわゆるヤマハ株式会社のもので、もう片方の赤色側が ヤマハ発動機株式会社のものです。 昭和30年にヤマハから分離してオートバイの製造・販売会社として スタートしているヤマハ発動機がロゴも引き継いでいるわけですが、 全く同じではないのです。 タイプがまずヤマハ株式会社の方は左右の形が若干非対称です。 そしてMの下に隙間があります。 マークに関して言うとモチーフとなっている音叉が円の中に納まっています。 比べてヤマハ発動機の方は左右が対称形、Mの下も地に付いているし、音叉も 外周に掛からんかの勢いです。 全体の文字の重心も、比べて低めにある感じです。 発動機の方はオートバイのイメージとして地に全て付いた安定感がある方が良くて、 外周にかかっている音叉の様子も全体を見ると オートバイのホイールのように見える事もその違いの由来であると 当時聞いていたのですが、実際のところどうなのでしょうか。 |
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さて、YAMAHA NS-10Mで 実際のロゴの付き具合を見てみます。 前面サラン下部の中心に、 取り付けられています。 |
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裏側が写真のような形でロゴパーツを 受け止められるように出っ張っています。 |
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↓ ここに裏側がピンのように突起している部分で突き刺して固定になるわけです。 |
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刺してあるだけなので取り外しも 容易です。 |
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そして、拡大写真です。 前回と同じく円の直径部分が大体5mm位になりますでしょうか。 |
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音叉の先の部分と、 |
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Mの部分は…ちゃんと隙間空いています。 |
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だいぶ小さいのにヘアラインのような線も見れます。 |
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次に、言わずと知れたJBLは、創設者 James Bullough Lansingのイニシャルと 感嘆符のような(!)マークの組み合わせが特徴的です。 |
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1950年頃は←のようなデザインですが |
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現在は更にシンボリックに→ に変わっています。 企業イメージを強める為の変更だった ようです。 |
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感嘆符を、実はJBLのホーンドライバーの形だ、と言われる方もおられるようで こういう風に色々想像出来る余地を残してくれているロゴは良いロゴなのだと 思います。 |
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JBL S119に取り付けられているロゴは ↓この形状のものが |
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↓この位置に、裏面に両面テープ状のもので貼り付けになります。 |
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ここはスピーカーを開ける時の取っ掛かりにもなる所で 奥にはちゃんとネジ頭がのぞいています。 |
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感嘆符部分を拡大。 |
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拡大してみて分かるのですが、海外メーカーのロゴ部分のパーツは遠くから見ると 作りが荒く見えたりおおらかなのですが、意外や細かいところの方が 塗りがしっかりしていたりと不思議な感じです。 |
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そしてタンノイは波乱万丈であった会社の沿革に起因するのでしょうか、 ロゴも数パターンが見受けられます。 個人的にはTANNOY・ライトニングストライク、 いわゆる雷マークのロゴが、50年代辺りのデザインを彷彿とさせて好みです。 |
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その好みのロゴマークの形状のものを拡大して見てみたかったのですが、 このタイプのものは破損しているものなど状態の良くないものが多く 拡大した状態が見た目にも(残念ながら)美しくなかったので、 こちらのTANNOY Super Red Monitorに付くタイプのものを見てみました。 |
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サランの裏側からスピードナットで取り付けます。 |
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そして拡大。 |
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O(オー)の上部になりますが、この小さい部分での切込みや 打ち出し鍋の見た目に似たこの紋様。 細かく見たほうがちゃんとしているこの不思議。 |
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ロゴマークはなるべくシンプルな方が良いと、デザイン講座では講義していましたが 究極まで進んでいくとそれは誰でも思いつくようなものになってしまいがちで そうするとこの間の東京五輪のロゴのような問題も起こってしまうのであろうと 思いますし、その絶妙な具合というのが難しいのでしょう。 その絶妙さをクリア出来たものが良いロゴとして世に受け入れられて、 そしてオーディオ関連にはその良いロゴが多いように思います。 たまにはふと耳を休めてご所有の機器のメーカーロゴなどを眺めて見るのも これまた一興ではないでしょうか。 それではまた。 |