いつもお世話になっております。 ハイファイ堂京都商品部の滝本です。 クリスマスまであと数日、今年も後 わずかと差し迫ってまいりましたが、 皆様はやり残している事などは 御座いませんでしょうか? 私は部屋の片付けやら、日々の勉強やら 色々とやり残し過ぎて、全て来年へ 持ち越しとなりそうです。 |
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今冬も厳しい寒さになると聞いていましたので、防寒対策などが気になっていた ところ、先日、TVである女性モデルが就寝時の寒さ対策として、靴下の重ね履きを している、と話されていました。 しかも通気性、履き心地などを考慮した上で、 シルク、綿など素材の違う靴下を4枚(!)もはいて就寝されているとのこと。 自身も末端冷え性なもので興味津々で聞いてはいましたが、しかし半ば懐疑的でも ありました。 案の定、番組内で専門家から医学的見地で言うと、効果のない方法だと指摘されて おられました。 過ぎたるはーー、というやつでしょうか、一つ一つだと意味や効果があっても、 欲張りすぎて、結局むしろ逆効果になってしまうという。 足元に色々重ねすぎて失敗してしまう… 私はふと、オーディオのインシュレーターの事を思い出していました。 |
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皆様はご存知でしょうがインシュレータ ーとは、振動等に干渉する(される)事で 生まれるノイズからオーディオ機器を 守る為に、主に機器の足元に設置する 部材の事を言います。 英語で書くところのInsulatorは ”絶縁体、断熱材、吸音材”などを意味し オーディオにおいては文字通り機器間 での振動を”絶縁”する為の物です。 |
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オーディオの再生に振動は大敵です。 レコードプレイヤーは言うまでもなく、CDプレイヤーやアンプなどでも内部回路が 振動を受ける事でノイズが発生して再生音が劣化しますし、音の出口である スピーカーの振動に余分な振動が加わると、これもまた音の劣化を招く原因と なります。 それを防ぐ為のインシュレーターなわけですが、話を戻しますと、 このインシュレーターをいくつも積み重ねて使われている場面を何度か見た事が ありまして。 極端な場合だと靴下の話よろしく、3つ4つと…。 |
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インシュレーターを使用して得られる効果はその形や素材によって変わってきます ので、重ねて使用されている方は微調整の為に使われているのだと思います。 しかしあまりに数を使うのは、元の効果を打ち消してしまったり、機器の安定性も 悪くなる気がしますので、それならば単独で望んだ効果を得られるものをひとつ 探し出す方が懸命ではないかと個人的には思います。 色々種類の多い中、探し当てるのは大変でしょうが。インシュレーターには例えば こんな素材や形状の物があります。 |
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DIATONEの木製インシュレーター ACOUSTIC CUBE(カナディアン メープル材)。 一辺6cmの正方体です。 |
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同じく木製(桜材)ですが、底面直径 12.5cm、高さ3.8cmの大型機向けの インシュレーターです。 Harmonix製、TU-202 ZX。 |
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メーカー不明なのですが、弊社の過去 取扱商品にこの様な物もありました。 一辺4.8cmの正方形で、素材は大理石の ようです。 |
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TEACのCDプレイヤー(VRDS-20)用の インシュレーターで、アルミ、 ステンレス、真鍮、クッション材から なるハイブリッド構造です。 スパイク形で直径4.7cm。 |
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こちらもスパイク形ですが、 カーボン製オーディオボードで知られる Black Diamond Racing社製の PYRAMID CONES MK4です。 直径4cm。 |
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高さ調節が出来る物もあります。 オーディオテクニカのAT-606J。 直径7cmで、高さは3.69cm〜4.32cm。 底面がゴム製で上部もフェルトで おおわれていて丁寧な作りです。 |
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行き着くところはこんな所でしょうか。 JBLのインシュレーターブロック、 JSB-1。 ベースとなるウッドブロックに ステンレススチール製のスパイク型や ラウンド型など好みのインシュレーター チップを取付ける事によって、様々な オーディオ機器のセッティングに対応 させる事が出来ます。 |
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と、この様にインシュレーターも様々な素材、大きさ、形状のものがありまして、 更にそれぞれから得られる音への効果というのも千差万別です。 微調整を繰り返すうちにインシュレーターがミルフィーユの如く重なっていくのも なるほど、分からないでもありません。 しかし、やはり本来の使用法としても自分の望んだ効果が得られるものを探して、 それを無茶な使い方はせずにおくのがよろしいのではないかと思います。 それこそ千、万とある条件から自分の求めるものを見つけ出すのは中々に大変だ とは思いますが…。 |
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そこで微力中の微力ではありますが、インシュレーターの素材の違いによる、音に あらわれる効果の傾向を私物を使用して簡易ながら試してみましたので、 インシュレーター探しの際の参考にでもして頂ければ幸いかと思います。 お耳汚し程度ではありますが。 |
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使用したものは過去に自身で利用していたもので、きちんとした製品というよりも 素材をそのまま切り出した様なものも含みます。 今回は大まかに、素材の違いでどんな影響の違いがあるかを見てみたかったので その辺りは拘らずにみてみました。 素材は主にフェルト系、EVA系、スチール、合金、木系などなどで、使用場面は スピーカー底面(角、4点)への使用と限定しました。 使用したオーディオ機器や鳴らした環境など外因を言い出すとキリがなくなるので 単にスピーカーへの使用、と限定した記述にさせていただきます。 ですので求められる効果は、いかに上手くスピーカーの振動を外へ逃がす事が 出来るか、という点になるでしょうか。 |
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ちなみに使用した音源はこちらになります。↑ ROCKのコンピレーションアルバムという位置付けの1枚ですが、男性ボーカル、 女性ボーカル、ピアノ、ヴァイオリン、打楽器、エレキギターなど、音の バリエーションが豊かなので色々と聴き比べるのに1枚で完結して便利なので 選びました。 あとこのCD、ご存知でしょうか、規格がSHM-CDです。 今のハイレゾ同様、こちらもより良い音を求めての過去の試行錯誤の足跡のひとつ といったところですが、懐かしく思う方もおられるのではないでしょうか? |
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ではひとつめ、フェルト系の素材です。 径5cm、厚みが1.5cm程のある程度の 硬度のあるものですが、言っても フェルトですのでソフト系に分類される でしょうか。 |
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中域を中心に(多少高域も)柔らかい感じで強調される印象がありました。 16曲目のSheryl CrowのSoak Up The Sunの女性ボーカルとコーラスに艶が 出た様に聴こえました。 |
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次にこちらもソフト系のEVA素材のもの です。 大きさも先程のフェルトとほぼ 同じ、硬さはこちらの方があります。 |
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15曲目、The Style CouncilのShout To The Topの象徴的な、ピアノと ヴァイオリンの高音部が特に心地良さを増す音となりました。 フェルトと同様、共通して音全体の雑味が無くなって聴こえるのですが、フェルト よりも更に分かりやすく雑味が消え、更に高音寄りで音の補正がされる感じです。 |
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次は出自不明のスチール製のものです。 (上面フェルト) |
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2cmと少し高さがあるのでその影響なのか、それとも素材の堅さからくるもの なのかは特定出来ませんが、低音がプラスされつつ全体の解像度が上がる印象を 受けました。 17曲目、ExtremeのMore Than Wordsとの相性が良いようで、ボーカルの 伸びを感じ、ギター弦の響きと音場の広がりが増して聴こえます。 |
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続きまして、唯一はっきりとした メーカー製の、Audio-Technica、 AT682です。 径3.6cm、厚さ0.5cm、特殊防振合金の コンパクトなもので、もうかれこれ20年 近く使用している一番最初に買った インシュレーターです。 |
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そんな事はともかく、音変化の印象ですが、 2曲目のRod StewartのMaggie Mayが分かりやすかったのですが、ギター等の 音の粒が立ち、全体の解像度が上がって、ただ代わりにボーカルが少し引っ込んだ ように感じました。 あとは11曲目のKISSのDetroit Rock Cityの場合だと、逆に低音が物足りなく なり、高い音がシャンシャンし過ぎて騒がしく聴こえるという結果になりました。 |
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その後も色々と素材を試し、果ては家具の滑り止めに使われている様なスチレン系 のゴムや、種類はわからないのですが木製のブロック、最終的には一般に使用 される方も多々いると聞いていたお金(硬貨)なども試してみました。 結果、あくまで個人的に感じた印象ではありますが、総合して柔らかい素材の物は 音の際立ちも柔らかく感じるようになり、硬質になってくる程、カチッと全体に かかっている音のもやを取り払ってくれる様な解像度の上がり方をする(ように個人 的には聴こえる)といった感想になりました。 不思議と素材の持つイメージがそのまま音への効果のイメージに直結して出てくる ようです。 |
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色々と試していて、むしろ面白いなと感じたのは、一つの曲に対して相性の良さを 見せるインシュレーターがそれぞれあって、まあつまりそれが「クラシック系には このインシュレーター」「ジャズにはこれ」「ロックには」という感じに本来の インシュレーターの選び方になるのかな、という事でした。 曲を替える度にインシュレーターも替えるわけにはいきませんから、総じての ジャンルに対しての選択、という事になるのでしょう。 今回は記述しませんでしたが、設置の位置や個数によっても音の印象が少しずつ 変わってきていましたので、インシュレーター選び、本当に大変そうです。 それでも、確かに設置する事によって劇的にではなくても、何らかの変化は確実に 現れてきますので、設置自体の手間も楽な方ではありますから、是非一度、手軽に 試せる音質改善としてお試しになってみるのもよろしいのではないでしょうか。 ↓弊社でも取り扱いがございますので、お試しの折には是非。↓ |
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http://www.hifido.co.jp/?mode=0&genre=0603&price1=&price2=&model_year=&keyword=&arrival=10&nationality=&limit=15 |
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もう言っている間にクリスマスがやってきて、年越しです。 サンタクロースに靴下にプレゼントを入れてもらったのは、もうずいぶん昔に 体験した楽しい思い出ですが、靴下の数だけプレゼントを入れてもらえるのなら、 防寒対策のたくさんの靴下はダメでしたが、こちらの靴下は出来るだけたくさん 用意してみたいものですね。 それではまた。 |