いつもお世話になっております。 ハイファイ堂京都商品部、滝本です。 1月に入ってからの本気の寒さにすっかりやられてしまっている2017年の 私ですが、皆様は良いスタートを切る事が出来ましたでしょうか? |
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京都・鞍馬駅にある鞍馬天狗の鼻も、 先日の雪の重みでポッキリ折れてしまい ただいま治療中でございます。 |
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年始に敢行した「年明け、薄着で大掃除」のおかげでしっかりと風邪をひいて しまった私は大した風邪ではなかったのですが、さすがに外を動き回るわけにも いかず、暖かい部屋でネット配信サービスの動画を見るなど、ある意味至福の時間を 過ごしておりました。 |
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家に居ながらにして新旧、海外国内 問わず、好きな時に好きなだけ映像 作品を見る事が出来る。 しかも低料金、高画質で。 |
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動画だけでなく音楽だってそうですし、書籍やTVゲームだって同様。 デジタルデータとしてコンテンツを配信出来るサービスは、ほぼ、定額料金での ネット配信によるサービスの提供、という形態が今や主流となってしまいました。 本当に便利な世の中になったものです。 ですが、便利だから全てが良いというわけではありません。不便の中にも、いえ、 不便だからこそそこに新たな魅力や面白さを見出す事が出来るのが、 人間の素晴らしい、面白いところで、そしてそういった所への工夫は送り手側から すれば新たなサービスを提供するチャンスにもなります。 |
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例えば、大手ビデオレンタルチェーン では、こんなサービスを始めておられます。 |
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こちらでは昨年10月から東京一部店舗での企画として、一部レンタル商品の パッケージ写真等を全て隠し、どんな作品か分からないようにするという商品の 陳列を始めています。通常、レンタルしたい作品を選ぶ際の目安となる作品名や 監督、出演者、ジャンルと言った情報が何もないわけです。 では、何を頼りに選べば良いのか? |
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パッケージにはかわりにその作品についての一言レヴューが記されています。 例えば、 「こんな友だちがほしいわぁぁぁ」 「ジジイがロックでカッコイイ」 「夫婦一緒に見ていけないランキング1位。」 「恋がしたい。恋がしたい。恋がしたい。」 etc 借り手はこの唯一の情報を元に、一体どんな映画なんだと想像を膨らませながら、 借りたい作品を選ぶという訳です。 どうでしょう?不便ではありますがでもそれ以上にとても面白いと思いませんか? どんな作品かとわくわくしますし、変な先入観も入らず、ひたすらに直感に近い所で 作品を選び、とてもニュートラルな立ち位置で作品を楽しむ事が出来る、 とても面白い方法です。 受け手にとって面白い方法であるのはもちろんの事、送り手側からしても、 そもそもこの企画の意図がレンタルの主力が新作中心であったところを何とか旧作 にも手を伸ばしてもらいたいと考えての工夫であるそうで、 さすがによく考えておられるなあと思ってしまいました。 やはり市場の評判も上々の様で、今後も実施店舗を増やしていくそうです。 |
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ご存知の方もおられると思いますが、先んじて書店でも「文庫X」という情報を 伏せての販売方法が昨年夏頃から広まっており、この流れを踏襲したようにも 思えます。 |
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元々は岩手県にある書店の一店員さんが 、より本の魅力を伝える為の方法として 考案されたそうです |
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しかし考えてみると昔からこういう何かは分からないものを期待と想像を膨らませ ながら楽しむという感覚が日本人にはあっているように思えます。 福袋やガチャガチャ、闇鍋などはまさに同じ種類の楽しみ方なのではないでしょうか? そして私たちオーディオファンはもっと身近なところで昔から同様の楽しみを 知っているはずなのですが、皆様何かお分かりでしょうか? それは「ジャケ買い」です。 内容も分からず勿論視聴もせず、ただパッケージから受ける印象だけで商品を選び 購入するという行為、博打にも近い高揚感。 私自身も世代的には少しレコードジャケットの時代には届かないながらも、CDの ジャケットで同様にジャケ買いの楽しみを経験してきました。レコードジャケット から受けるあのサイズならではの存在感には及ばないのですが。 まずは写真アルバムを見るかのように、美術館で優れた絵画を鑑賞するように、 色とりどりのジャケットを眺め楽しみ、そしてそのジャケットへの興味が極限に 達した時、ついにジャケ買いしてしまうわけです。 しかしジャケ買いでは、なかなかこれといったアタリに出会うことは少ないです。 そもそもアタリ、つまり良い曲、アーティストであるという事はすでに知名度や 話題性も高いはずでありますし、メディア露出も高くなり目にする機会が多いわけ ですから、そうなると必然的にその機会から外れているジャケ買いした作品は ハズレである確率が上がってしまうわけです。 私もそうやって数多くの残念なCDに出会って来ました。ジャケットの雰囲気は 良さそうだったのに…。 内容が悪いとジャケットの絵の評価も下がってしまうようで、そのまま結局 押入れの肥しになったり、手放したり… そんな中でも確率は低くとも、とても良いアタリ曲、アーティストに出会えることも あります。 私がジャケ買いで引く事が出来たアタリ盤をご紹介させてください。 |
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まずはこちらです。1992年発売の Date of Birth/Date of Birth。 |
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発売後すぐにCDショップで見かけて、中世ヨーロッパ絵画のようなアートワークに 目を奪われました。 乱雑なようで不思議にまとまりを感じる描写。 何か有名な作品のオマージュなのかと思っていたら、(少し後で知ったのですが) あの、グラフィックデザイナーの横尾忠則さんが手掛けたものでした。 どおりで惹かれたわけです。 |
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後ろにしっかり表記してありました。→ |
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Date of Birth自体、すでにこの時には名が知れていたようですが、当時の私は 知らずにいて、ジャケットの見栄えの良さと、帯に書かれていた「フジテレビ系 ドラマ”あなただけ見えない”、主題歌:ユー・アー・マイ・シークレット」の文字を 見て購入してしまいました。 このドラマも見てはいなかったのですが、曲自体は 「ああ、あの良い曲…かな?」くらいの認識はあったので、それを頼りに購入を決めたのです。 |
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そして今気付いたのですが、ジャケットだけを見てのジャケ買いというのは実は結構 難しいのかな?と思いました。実際のアルバムジャケットには大概”帯”が付いていて (店舗にはPOPもあり)、そこに販売者側の売る為の努力と思惑いっぱいの文句が 連ねられているのですから。 そこに影響されないというのはなかなかに難しいでしょう。 |
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とにかくも、こうして購入したDate of Birth、しっかりとアタリでした。 例のユー・アー・マイ・シークレットは無論の事、実はこっちの方がもっと 聞き馴染みがあったというRemember Eyesという曲も含め、全てがレベルの高い 良曲揃いでした。 現在は活動停止状態が続いているようでもったいないです。 |
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次にニューエスト・モデルの クロスブリード・パーク(1990年) |
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先ほど難しいと言っていた売り文句に左右されないジャケ買いに成功した1枚です。 なぜならば、中古レコード店で買ったので帯がなかったからです。 当時、暇があればのぞいていた怪しい中古レコード店で、この作品は執拗に心に 訴えかけてきました。 店の品揃えの8割方が怪しいこの店の中で、このジャケットは一際怪しく見えました。 それでも妙に気になり手に取って曲名を見てみるともっと怪しいではありませんか? |
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ひかりの怪物? みんな信者?? 偉大なる社会??? もう胡散臭さが止まりません。 |
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しかし聴いてみたいという興味ももう止まりません。 手にしてそのまま購入してしまいました。 帰宅して、すぐに聴いてみると・・・これは大アタリです。 曲名や見た目こそ怪しかったものの、豊かな曲調にのせてボーカルの中川敬の少し しゃがれた声から繰り出される(カウンターカルチャーではないのだけれど、そんな 空気を感じさせる)歌は、少しひねくれ出した当時中学生の私の気持ちにハマる、 全曲にあふれる様な力強さを感じる、そんな魅力にあふれたアルバムでした。 そういえば、杓子定木という言葉はこのアルバムで知った気がします。 歌詞の感じも独特な世界観のバンドでした。 現在は、あふれる力も少し内側におさまった様な大人な活動を ソウルフラワーユニオンでされております。 |
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次は何故ジャケ買いだったのか、と 不思議がられるかもしれない、 MR.BIG/Lean into It です。 |
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自分でも不思議なのですが、当時すでに超有名バンドであったはずの彼らを 印象的なこのジャケットを見るまで、知る機会がなかったのです。 かろうじてTo be with youには聞き覚えがあったのですが。 強烈なインパクトでMR.BIGを知るきっかけを与えてくれたこの写真は フランスのモンパルナス駅で1895年に起きた鉄道事故の様子を写したもので、 この事故自体、過去から衝撃をもって今に語り継がれている大きな事故だったそうです。 |
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事故当時を伝える別写真 |
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アルバムの内容にもジャケットに負けないくらいの衝撃を受けました。 ハイトーンボイスなボーカルに、それぞれが超絶技巧なギター、ベース、ドラムが 色を添えつつ、しかし曲自体は意外にキャッチーという、繰り返して聴かずには いられないような名作でした。 マキタドリルを使ったトリッキーな演奏など遊び心も満載です。 |
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次の作品bump aheadのジャケットも インパクトのある写真で飾られており、 彼らはこういう写真を探し出す才にも 恵まれていたのかもしれません。→ |
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洋楽アルバムをご紹介したところでこちらは洋楽の様なにおいを曲に漂わせていた、 |
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THE POSTMENのJAMPACK(1997年) |
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スリーブケースの穴からのぞく犬が気になって手にとってしまったアルバムですが、 シングル曲のThe Bagは前もって知っていたので、5割くらいは「POSTMENの アルバムか」という気持ちで購入したかもしれません。 なんにせよ、買って良かったと思えたこのアルバム、 アルバム単位で聴いたからこそ発見出来たアタリ曲がいっぱいでした。 今のように便利なダウンロード販売やネット配信サービスがあると、どうしても 欲しい曲だけ購入してしまったり、アルバム全曲さらっと試し聴きなどとしがちです が、この頃のように買った元を取らないと!と言わんばかりにアルバムを聞き込んで いた頃は、聞き込む事によって好きになる曲や見つける事の出来る掘り出し物の 曲が沢山ありました。 JAMPACKでの掘り出し物は2曲目のクッキーとカフェインだったのですが、 他にもOUT OF FIELDS、The Bag、MARKS と良曲揃いだったこのアルバム、 セールス的には振るわなかったのが残念です。 |
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ジャケットの可愛い犬アピールがもっと 強ければあるいは…? |
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それでは、犬が駄目なら、最後に『ヒットの為の3大要素』と言われる (可愛い動物、可愛い子供、素敵な女性)のうちから素敵なこの方を。 |
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candy dulfer / SAX A GO GO (1993年) |
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一目見て、かっこいい、と思ってしまいました。 この時期の私のサックスへの認識は、プレイヤーは男性、有名なプレイヤーは MALTA、F1のテーマ曲であったT-SQUAREのTRUTHがなんかサックスぽい (実際はシンセサイザーやサックスのような電子楽器だったりしていたと思います。) とかいう程度のそれはそれは軽いものでした。 女性、さらに言って美人の女性がサックスを演奏している、という事実だけで このアルバムにも興味津々になってしまったのです。 観賞後はもうひたすら「かっこいい!」のひとことでした。 私の固定観念にあったジャジーなサックスではなくてFUNK一直線なサックスだったのです。 |
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それもそのはず、彼女のキャリアにはあのFUNKの申し子プリンスが深く関わって いましたし、なにより彼女の父がオランダの有名サックスプレイヤー、FUNK風味 たっぷりなハンス・ダルファーその人だったのです。なるほど納得です。 ハンスのHyper BeatやMickey Mouthなどは日本でも良く知られている曲です。 今なお現役でしかもお二人で演奏を行われる事も多いようでとても素敵な父娘です。 |
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↓candy dulfer & hans dulfer↓ 00:31辺りから Mickey Mouth |
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ですから今回は、そんな便利な方に流され気味の潮流の中で、少しでも 不便を楽しむ方にも意識的に目を向けていただければと思い、 こんな紹介をさせて頂きました。 なにせ弊社には趣きを楽しむ為の商品が多々ございますので。 皆様が皆様それぞれに日々を楽しむ為の、良い一助になれればと思います。 |
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それではまた。 |