2017年、もう2回目のメルマガになります。 京都商品部の朴 高史です。 今回は、レコード盤のお話。 私が初めて買ったレコードが、「京都慕情」でした。 |
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1971年、大阪万博が開催されていた頃のお正月、当時大ヒットしていた渚ゆう子が歌う「京都慕情」が気に入り、(父親のカーラジオや、街中の有線放送でよくかかってました。)9歳の私は、お年玉を握り、京都駅の近鉄名店街の真ん中あたりにあったレコード店へ向かい、ドーナツ盤を一枚買って、早速家のプレーヤーで掛けてみたのですが、渚ゆう子の歌が一向に始まりません。 そう、それはザ・ベンチャーズのインストメンタルバージョン(実はこちらがオリジナルです。)でした。 |
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そんな、ほろ苦い感じで、レコード盤との付き合いが始まりました。 当時、町のそこここにレコード屋さんがあり、子供がこんな感じで買っても普通で、レコード盤が生活に溶け込んでいた様に思われました。 |
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中学に上がる頃、姉や親戚の年長者の影響で、洋楽を聴き始めます。 (四つ上の姉が、東京の親戚に遊びに行った夏休みに、第一次ディスコブームの洗礼を受けて帰ってきました。) 最初に買った洋楽のLPが、スティービーワンダーの「First Finale」。 |
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Stevie Wonder 「First Finale」1974 ヒットしていた「迷信」が好きだったのですが、これには、「迷信」は入ってませんでした。 |
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大ヒット曲の「スモーキングブギ」や「港のヨウコヨコハマヨコスカ」が入ったダウン・タウン・ブギウギ・バンドの「続 脱・どん底」や、ラジオで聴いて衝撃を受けた憂歌団の「Second Hand」など(ブギウギとブルースに出会います。) ダウン・タウン・ブギウギ・バンド「続 脱・どん底」1974 憂歌団「Second Hand」1976 |
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こちらもラジオで聴いた細野晴臣の「泰安洋行」、名曲「夢で逢えたら」が入った吉田美奈子の「Flapper」など、このころは、少ないレコードを何度も繰り返し聴き、ボロボロになってました。 細野晴臣「泰安洋行」1976 吉田美奈子「Flapper」1976 |
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高校に上がる頃から、輸入レコード店ができ始め、行動範囲も広くなった私は、通う様になります。 よく行ってたのが、河原町蛸薬師にあった「River Side」。 その頃、特に京都で人気があったのがAORで、この店でも推薦していて買ったのがMichael Franksの「Sleeping Gypsy」とRickie Lee Jonesの「Rickie Lee Jones」など。ラジオ、雑誌以外の音楽の情報源として、こういうお店が機能してました。 国内盤と輸入盤との音質の違いを感じ、輸入盤ばかり買う様になります。 モダンジャズや古いリズムアンドブルース、パンクやニューウェーブと音楽の幅が広くなってゆきます。 Michael Franks「Sleeping Gypsy」1977 Rickie Lee Jones「Rickie Lee Jones」1979 |
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二十歳になった頃、生涯でもっともレコードを買ってました。 HIP HOPやテクノ、ハウスなどのクラブミュージック、ニューウェーブ、フリージャズやアヴァンギャルドミュージックや現代音楽まで、新しそうなものは手当たり次第に聴いてた様に思います。 ラップやハウスは、12インチシングル(マキシシングル)を多く買ってました。12インチ盤に片面一曲、裏はトラックのみというのが基本で、クラブプレイ用に音圧が高く、音質も良いとされてました。 12インチシングルだけの曲や、DJによるリミックスの曲などあり、プレス数が少なく、高額になったものもあります。 阪急東通商店街にあった「LPコーナー」というレコード店に珍しいものがあり、たまに行ってたのですが、他より少し高かったので、よっぽどのものしか買えませんでした。 最近、その頃買ったラップのレコードで、かなり高額になっているレコードが有ることを知り、少し色めき立ちます。それがこちら |
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Rammellzee vs K-Rob 「Beat-Bop」1983 |
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HIP HOPのレコードで、史上最高の価格に(2000ドルで取引されてるとのこと)なったとあったのですが、私のものとは違ってました。 Rammellzee vs K-Rob 「Beat-Bop」1983 |
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しばらくしますと、新しいものに興味が薄れ、ラテンや古いブラックミュージックへと関心が移ってゆきました。 その頃、毎日の様に通ってたのが、三条通りから南へ、寺町通と新京極の間の路地にあった「ジャンク・ショップ」というお店です。 狭い店内は、いつもサルサや、ブルースがいい音で鳴っていて、河村要助氏のイラストのショップバッグも洒落てました。 よく聴いてたのがこの辺りです。 ベネゼーラの英雄、Oscar D'Leónの「El Sabor De Oscar 」1985 キップ・ハンラハンとも共演作が有る、ハイチ、ヘイシャン・コンパの代表格 Mini All Starsの「Pure Gold」1981 |
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タワーレコードや、ヴァージン・メガストアが出来始めた頃、音楽ソフトが、レコードからCDへと移り始め、新譜のレコードがあまり出なくなり、盤質や音質もあまりよくなく感じ始め、私もCDを買い始めました。(レコードを買わなくなります。) CDでも、様々聴いてたのですが、次第に60、70年代のフォークやロックを聴く様になって行きます。 邦楽では、URCやベルウッドのもの、そして、ディランやビーチボーイズなど。 CDは、希少音源や、再評価に寄る幻の名盤などのリマスタリングなどと興味深い方向にも進み楽しんでた頃、私自身が、なぜかオーディオへの関心が高まります。 レコード再生のシステムが揃い始め、それらのレコードを少しずつ集めだしたのが数年前です。 最初は、コスト重視でネットオークションなどで安く買ってたのですが、やはりオリジナルが欲しくなって行きます。 ラバー・ソウルを買おうとネットで情報を集めてますと、マトリックスナンバーがどうとかありましたが、気にせずにイエローパーロフォンを入手します。 (ちなみに、今回ちゃんと調べたところ、セカンドプレスの様です、いい音します。) まさかの、「SMILE」や、はっぴーえんどボックス、ベルウッドLPコレクションとつい手が出てしまう展開は、レコードストアデイの影響かと思います。 幻の名盤なんかも出たりで、買ってしまったのがこの二枚です。 |
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Judee Sill 「Judee Sill」1971 Sandy Denny 「The North Star Grassman and the Ravens」1971 こちらの二枚のオリジナル盤は、腰を抜かすほどの値段でした。(名盤です。) |
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そして、この間買った本が、少し前に日本橋店の永井氏が紹介してたこの本です。 「オーディオそしてレコードずるずるベッタリ、その物欲記」田中伊佐資 2016 ここ数年で私が読んだオーディ関連の本でずば抜けて面白い内容です。 180ページ、30『「アナログ音盤」武田編集長から聞いたカッティング・エンジニアの話』と、そこに紹介されていた「アナログ音盤Vol3」を読んで、 |
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カッティングエンジニア(マスタリングエンジニア)とは、マスターテープからレコード化の際に再生時の音を決定するエンジニアです。 オリジナルは素より、再発時にも優秀なカッティングエンジニアが関わることがあり、レコードの音の良し悪しを左右している様です。 音溝とレーベルの間のブランク部(ランオフとか、デッドワックスと呼ばれてます。)にエンジニアやスタジオのサインが刻印されております。 カッティングエンジニアについて詳しくは、ぜひ本を買って読んでみてください。(有名エンジニアとその作品、エンジニアそれぞれの特徴など、読後は絶対にレコードを買ってしまいます。) これからレコードを買うときは、ランオフのチェックが習慣になりそうです。 |
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手持ちのレコードで見つけた「スターリング・サウンド』の刻印です。 Geoff & Maria MulDaurの「Pottery Pie」1969 (ハイファイ堂で買いました。) |
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で、先週、レコードを注文してしまいました。(イギリスからの空輸中で、まだ届いてません。) 普段、音楽を聴くのは、もっぱらアップルミュージックのダウンロードだったりするのですが、通勤時に聞いていて、どうしてもレコードで聴きたくなったのが、録音にこだわりを感じるこの二枚、 |
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前回のメルマガでも紹介していた Leon Bridges 「Coming Home」2015 Appleのcmにも使われていた Alabama Shakes 「Sound & Color」2015 聴き慣れた音が、レコードでどう聴こえるかとワクワクしています。 私、只今レコードブームです。 |
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次回は、レコードの元となるのがマスターテープ、そのマスターテープにはテープレコーダーが必要。 ということで、テープレコーダーについて考え中です。 では失礼します。 |