御世話になっております、京都商品部の八木です。 少しずつ暖かくなってきて過ごしやすい日々になってまいりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか? 僕は先日、休日を利用して車の洗車をしてまいりました。 暖かくなってきたおかげで水もそんなに冷たくなく、気持ち良く洗える事ができました。 そして最後にかけるワックスが洗車マニアなら定番の「シュアラスター」。 いくつか種類があるのですが、個人的に愛用しているのが「マンハッタン・ゴールド」というワックス。 艶がたまりません。(写真ではお伝えするのは難しいかも?) そしてこのカルナバ蝋の香りがたまりません。 とても甘い香りで、正直この香りをかいでいるだけでも幸せな気分になります。 そしてその美しい艶に見とれていた次の日、なんと雨が降りました。 残念・・・。 と、思う所の反面、水を弾くその姿にもまたうっとり。 「ああ、また早く洗車がしたい、ワックスをかけたい・・・」 と、思う今日この頃です。 |
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さて今回のメルマガですが、今までは当社の定番のビンテージスピーカーをご紹介してまいりましたが、今回は少しマニアックなところで、ElectroVoiceの「CENTURION」というスピーカーに触れてみたいと思います。 (ページの最後に「画像引用元ウェブサイト一覧(以下、「一覧」)」を記載し、画像の引用元を番号(例:一覧?)で示しましたので、ご参照ください) |
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まず「CENTURION」とはどんなスピーカーなのか? ですが、マニアの方ならご存知のElectroVoiceのあの有名な「GEORGIAN ?」の弟分にあたるスピーカーです。 「CENTURION ?」というのが正式名称のようです。 「GEORGIAN ?」が1953年頃に発売されたのを追いかけるように1955年頃に発売されたようです。 いろいろと調査してみましたが、全くと言っていい程資料が見つかりません。 それだけに当社でも過去に1ペアしか入荷がないというレアぶり。 左が「GEORGIAN ?」、右が「CENTURION ?」です。 外装の仕上げも「GEORGIAN ?」と同じく「マホガニー」「ブロンドオーク」「ウォルナット」の3種類あったようです。 |
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写真で見ただけでは同じ様にも見えますが、まずサイズが「GEORGIAN ?」のほうが大きいです。 側面で見ると少し分かりやすいです。 |
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背面にまわるとその違いがはっきりしてきます。 「では、ただサイズが少し小さくなっただけなのか?」 と思うところですが、 低域再生方式に違いが大きくあらわれるようです。 まず「GEORGIAN ?」では、この時代のスピーカーでは定番のKlipschホーン式とも言える「フロントローディング・フォールデッド・コーナーホーン型」です。 (「GEORGIAN ?」は外装部分を外す事が出来、外すと右写真のようなKlipschホーンのような状態になります/↓左図は一覧?より) |
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しかし「CENTURION ?」では「Wタイプ・フォールデッド・ホーン型」になっております。 下向きにウーファーを鳴らし、前面バッフルの内側に出てくるという構造です。 (↓左上図画像は一覧?より引用) |
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弟分というだけあって、ユニットも同じです。 と、言いたいところですが、「CENTURION ?」には二種類のバリエーションがあったようです。 まずは「GEORGIAN ?」と同じユニット構成の「105 4ウェイ構成ユニットパッケージ(ウーファー:15WK、ミッドバス/ミッドハイ:848HF複合型ドライバー、ハイ:T35、ネットワーク:X336+AT37×2)」の「Senior CENTURION ?」と、 廉価版の「117 4ウェイ構成ユニットパッケージ(ウーファー:15BWK,ミッドバス/ミッドハイ:847HF複合型ドライバー、ハイ:T35B、ネットワーク:X336+AT37×2)」の「CENTURION ?」があったようです。 で、どう違うかと言うと、117は105に比べユニットの磁気回路が小型化したものを使用しているため、許容入力が小さくなるようです。(105:許容35W最大70W、117:許容15W最大30W) |
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ウーファーの15WK(左)と15BWK(右)です。 マグネットのサイズが違います。 で、下の写真の左が初期タイプのもの、右が後期タイプのようです。 初期のものはエッジが一体型のフィクスドタイプだったのに対し、後期は布エッジになるようです。 |
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続いてはミッドですが、「847HF」と「848HF」ではホーンのサイズが違うので再生周波数とクロスオーバーが変わってきます。 また、先に述べた「4ウェイ構成」の2ウェイ分がこの「複合型ドライバー」で再生されます。 というのも、このホーンはドライバーのダイヤフラムの前後を利用して中低域と中高域の再生を可能にしているようです。 中高域は見たまんま、真ん中のホーンで再生されるのですが、中低域は、ダイヤフラムの後側がホーンの内部に反響して、前面に返ってくる方式となっています。 (左上ホーン図は『大型スピーカーの至宝 オーディオの世界遺産シリーズ2(別冊ステレオサウンド)』2010,55P,ステレオサウンド社より) |
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「847HF」の画像は入手できなかったので、ElectroVoiceの公式サイトにあった下記図面を掲載しました。(左が「847HF」、右が「848HF」)(一覧?) この図を見ての通り、ホーンのサイズが大きく違います。 そしてクロスオーバーが「848HF」で中低域300hz~1.5k、中高域を1.5k~3.5kといったならし方になり、「847HF」だと中低域300hz~1k、中高域を1k~3kといった具合になるようです。 |
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続いて高域の「T35」ですが、これも「T35B」とでは磁気回路のサイズに違いがあるそうですが、写真ではいまいちよくわかりません。 実物同士を比較できればよかったのですが、手元になかったので今後の調査の課題にしておきます。 このツイーターは初期は16Ωですが、後期(1970年頃?)には8Ωになっているようです。 |
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そしてネットワーク「X336」ですが、これも3タイプあるようで、初期は木製の大きな箱に入ったもので、入出力部分がターミナル式になっております。(右がATTの「AT37」です) 中期(左下)・後期(右下)はサイズが小型化され、入出力部分がネジ式に変更されているようです。 また後期はケース内をピッチ(粘弾性のある樹脂)で固めて振動対策が取られているそうです。 |
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あと最後になりますが、この「CENTURION」をはじめ、他のElectroVoiceのスピーカーはこの当時、DIYモデル(プラモデルのように組み立てるようなKIT)も発売されていたそうです。 図面がElectroVoiceの公式サイトで掲載されているので、これもメーカー製品との違いを検証するいい資料にはなると思われます。 (左図/一覧?より、右図/一覧?より、下カタログ図/一覧?より) |
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いかがだったでしょうか? ElectroVoiceのスピーカーは、個人的にはこの1950年代が一番魅力のある時期だと思っています。 また他の製品も調査してみて是非発表させていただきたいと思います。 それではまた! |
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画像引用元ウェブサイト一覧 ?retro vintage modern hifi http://www.itishifi.com/search/label/Electro-Voice ?hifilit.com http://www.hifilit.com/Electro-Voice/Electro-Voice.htm ?ElectroVoice公式サイト内CENTURIONマニュアルダウンロードページhttp://www.electrovoice.com/searchresults.php?searchinput=centurion&x=0&y=0 ?AliedCatalogs.com http://www.alliedcatalogs.com/html/1957-160/h034.html 上記以外の画像は当社過去情報データベースより |