御世話になっております、京都商品部の八木です。 梅雨も本格的になってまいり、ジメジメとして蒸し暑い毎日ですが皆様いかがお過ごしでしょうか? 京都では日本の3大祭りの一つ、祇園祭が始まっております。 今年こそそんな壮大なお祭りに、ウチのオチビ達を連れて遊びに行きたいなーと思っている今日この頃です。 写真:京都市観光協会 https://www.kyokanko.or.jp/gion/ |
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さて今回のメルマガでは、前回のメルマガで紹介させていただいたALTEC「VALENCIA」の兄貴分にあたるであろう、ALTECの壮大な名機「Magnificent」について調査してみました。 ただ意外な事にこの「Magnificent」、当社でも入荷があったのは今まででも20ペア程というレアなスピーカーです。 そして今回も前回の「VALENCIA」同様、情報が全くありません。 しかも調べれば調べる程、想定していない程、分類があった事に驚きました。 下左写真:audio sharing http://audiosharing.com/ 下右写真:Hifi Engine https://www.hifiengine.com |
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まずこの「Magnificent」について、マニアの方にはこんな説明は不要かもしれませんが1967年にALTECの名機「A7」の民生用として発売されたというのが有名なお話かと思われます。 下左写真が「A7」、下右写真が「Magnificent」です。 見た目は全くと言って良い程似ても似つかないですね。 |
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実際に正式名称として「Magnificent A7-500W 1」という名が付いています。 「A7-500」というのは「A7」の数ある型番の一つで、下左写真のような「A7」を逆さまにして、バスレフ部にホーンを内蔵したモデルのようです。 そしてエンクロージャを飾り付け発売されたのが「Magnificent A7-500W1」という訳のようです。 下左写真:LansingHeritage http://www.audioheritage.org/intro.htm 下右写真:ALTEC 1966年のカタログの一部を撮影 |
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実際に「Magnificent」のリアバッフルを開けてみると逆さまになっている感じがよくわかると思います。 (下左:Magnificent、下右:A7) |
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で、「A7-500W」の「W」というのは恐らく「Walnut」の「W」と思われますが、よくよく調べると「1」の前にも「A7-500W」という「Magnificent」の前型モデル?も存在していたようです。 当時のカタログで、紹介している文章の途中に「The sound is magnificent(音は壮大です/直訳)」といった文面がありましたが、ネーミングのルーツはこの辺にあるのではと推測しております。 このカタログ上では「Magnificent」とは名付けられてないようでしたが、後々の資料ではこの「A7-500W」も、「Magnificent」と認められているようです。 (下写真:ALTEC 1966年のカタログの一部を撮影) |
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下左写真が「A7-500W」です。 当社でも昔に1ペアだけ入荷があったようです。 エンクロージャ部では、箱の構造・素材は「Magnificent A7-500W1」と同じようですが、正面の格子部分と天板・底面の仕上げ方が違います。 また格子は「Magnificent A7-500W1」の湾曲した組格子と違い、平面的で細かい模様の格子になっております。 |
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続いては背面です。 こちらでは特に違いは感じられません。 |
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そしてそんな「Magnificent A7-500W1」、基本的に国内では「Magnificent A7-500W1」として販売されていたようですが、ちまたでは更に「A7-500W2」や「A7-500W3」があるとか。 調べてみてもなかなか有力な情報はありませんでしたが、下のような資料(1975年のALTECカスタマーサービス)を海外サイトで発見する事ができました。 下の資料では、それぞれのユニット構成の違いが一覧に書かれていました。 これからその辺を他所で調べた事と合わせて紹介していきたいと思います。 下写真:LansingHeritage http://www.audioheritage.org/intro.htm |
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まず「A7-500W」からです。 どうやら1965年には発売されていたようです。 ユニット構成は、ウーファー「416A」(下写真中段)、ドライバー「802D」(下写真の上段)、ネットワーク「N-500D」(下写真下段左)ですが、ウーファーが「803B」(下写真下段右)という「416A」の前身モデルのバージョンもあるようです。 見た目上は表裏特に変わりありませんが、音質は若干違うのでしょう。「802D」との相性はこちらのほうが良いと言う方もいらっしゃるそうです。 一度聴いてみたいものです。 |
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そして「Magnificent A7-500W1」が恐らく1967年に発売という事になると思われます。 ユニット構成は基本的に「A7-500W」と同じくウーファー「416A」or「803B」・ドライバー「802D」ですが、ネットワークが「N-500-E」か「N-500-G」になります。 上の「N-500-D」も合わせ、見た目はほぼ同じですが、具体的に聴き比べをした事がないので違いをどうこう言えません。 とりあえず表記の説明文は少し変更されています。 |
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続いて「Magnificent A7-500W2」ですが、ここは「Magnificent A7-500W1」とドライバー「802D」・ネットワーク「N-500-G」は同じなのですが、ウーファーが「416-16Z」になるようです。 ただ巷の一部での話では「416-16Z」「416-Z」は「416A」のマグネットカバーを外したもの、という話もあり、そうなると別段大きな変更ではなさそうに思います。 |
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そして「Magnificent A7-500W3」ですが、ここではユニット構成に大きな変化が現れます。 今までのユニットは16Ωでしたが、ここで8Ωのユニットに変更されます。 ウーファーが「416-8A」、ドライバーが「808-8A」、ネットワークが「N501-8A」になります。 ユニットフレームも今までのようなグリーンではなくブラックになります。 発売年は1970年と思われます。 |
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また「Magnificent A7-500W3」は1972年には製造中止になっているようですが、1973年には「日本製エンクロージャ入り」という「Magnificent」が販売されており、ドライバーのみ「802-8D」に変更というものがエレクトリより発売されていたようです。 ただこれも1974年には販売が終わっていたそうです。 |
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その後1977年にまた新たに「Magnificent2」というものがエレクトリより発売されています。 これも恐らく国内のみのモデルと思われます。 ユニット構成は以前のアルニコユニットから、当時主流のフェライトユニットに変更になっています。 ウーファーが「416-8B」、ドライバーが「802-8G」、ネットワークが「N1201-8A」という、「A7-X」と同じユニット構成です。 またこの「Magnificent2」にはマルチアンプ対応の入力も設けられていました。 それから格子の模様も少し変わっています。 (下段左:Magnificent2、下段右:Magnificent A7-500W1) これは1981年まで販売されていたそうです。 |
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あと補足として、国産エンクロージャの定番所「進工舎」からも「Magnificent」タイプがありました。 サランネットが外せるというのも、ならではですね。 中のユニットは様々なので敢えてここでは割愛させていただきます。 |
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いかがだったでしょうか? 「Magnificent」にこれほどにもバリエーションがあるなんて調べてみて大変驚きました。 まだ他にも面白い情報をお知りの方がいらっしゃれば是非ご教授いただければと思います。 それではまた! |