いつもお世話になっております。 ハイファイ堂 京都商品部の滝本です。 今回のメールマガジンですが TANNOYのRHR/Nを取り上げさせて頂きたいと思います。 |
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弊社メールマガジンにおいてもたびたびご紹介させて頂いておりますので、 それらと内容が重複するところがあるかもしれませんが、 今回は組付け作業中の内部の様子などを中心に 普段は目にしづらい箇所をご紹介させて頂こうかと思います。 また違った視点でのご参考になれば。 それではまずは、主な仕様を。 |
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RHRはタンノイのエンジニアであったRonald Hastings Rackham (ロナルド・へスティング・ラッカム)の開発による、 社の60周年を記念したアニバーサリーモデルです。 (前身のタルスメア・マニファクチュアリングが1926年のロンドン創業) |
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トーンレベルコントロール部の 「蓋」になるプレートにある刻印。 |
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RHRにはラインアップが3機種あり、 上位からRHR Special Limited、RHR Limited、 そして今回ご紹介するRHR/Nと続くわけですが、 その辺りの別モデルとの違いはまた別の機会にでもと思います。 ほぼ外観上の違いであり、さほど差もないのですが。 2ウェイ・1スピーカー・バックロードホーン方式・フロア型、 38cm同軸型ユニット使用。 出力音圧レベル 92dB、 許容入力 120W(連続)・500W(ピーク) 、 インピーダンス 8Ω、 寸法 W700×H1115×D575mm、 重量 75kg。 このモデルの注目点はやはりバックロードホーン方式という所でしょうか。 |
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それでは写真も交えて実際の様子を。 |
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↑ 各パーツ組付け前のエンクロージャー正面。 Nモデルは天板が写真のようにサイドなど他の部分と同じ木目をしていますが、Limitedなど他のものは、レベルコントロールの入った正面中央ボックス部に見られる渦巻のようなシミのような木目が天板部分にも施されています。 |
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この木目です。 (バールウォルナット) なんだかロールシャッハテストの模様のように思えるので、見ると毎回心理テストをされているような妙な心持ちになります。 |
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ユニット取り付け口から。 少しの隙間にも吸音材はしっかり詰め込まれています。 |
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さて、下部の開口部から、 |
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バックロードホーンの道筋が見られないものかと覗き込んでみたのですが、 |
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下からだと出口近く、最後の道筋が少し見られたのが限界でした。 とにもかくにも、ここが増幅された低音の出口になるわけです。 |
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ネットワーク等回路部分。 → 既存の基板等を使用していないこだわりも感じますが、あくまでシンプルな構造です。 |
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外部からの入力部分になるターミナル(裏側)に、 |
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各電子部品に、 |
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↑ レベルコントロール部(表、裏)。 |
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これらをエンクロージャーに組み込んでいってやるのですが、まずはレベルコントロール部をこのドロワー(引き出し)ボックスに取り付けます。 |
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Limitedモデルは、このボックスが前面から押し込むとプッシュ式で文字通り引き出しのようにせり出してくるのですが、今回のNモデルだと固定されたままです。 操作するにはサランを取って、蓋になっているプレートをはずす、という手順を踏まなければなりません。 なんにせよ、この引き出さないドロワーボックス、裏はこのようになっていて、 |
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ここの内側にコントロール部を付けてやります。 真ん中の梁に穴が開いているのは、中央のネジ止めの邪魔にならないようにです。 |
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コントロール部、取り付け後。 線も穴から出しておきます。 |
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エンクロージャー中央に開いている穴とボルトの出た部分を、 |
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コントロール部と合わせて固定します。 線も通してやります。 ← 線はこういう状態です。 |
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一度エンクロージャー内に入った線がもう一度別の穴から出てきています。 この辺りの配線がこのスピーカーの組付けで手間に感じるところです。 |
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固定された状態。 |
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固定は蝶ナットで内側から。 |
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ターミナル、ネットワーク部分もエンクロージャーの背板にあたる部分に内側から固定してやって、そこから出るユニットへの線は、先程コントロール部から線を這わしてきた穴へと通して、そこからユニットへ向かって伸ばしていきます。 |
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※便宜上、先ほどコントロール部の線がエンクロージャーの穴から出てきている様子を写真でご説明させていただきましたが、コネクタと穴の大きさの都合でこちらの線を先に通さないとうまく配線出来ません。 |
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コネクタと穴の大きさはほぼぴったりです。 |
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内部を更に通ってユニット取り付けの開口部まで線を伸ばします。 |
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ユニットへの配線は一旦ここで置いておいて、残った線の接続を済ませます。 |
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エンクロージャー下部開口部に見られる、「仕切り板」兼、「回路の目隠し」兼、 「音の反射板」である板を取り付けるのですが、線を通す穴になる切込みもコネクタの大きさとほぼ同サイズなので順番を考えなければなりません。 |
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先にネットワークからユニットへと伸ばす線を通してから、 |
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その隙間を通ってコントロール部からネットワークへの配線を。 ↓ |
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ネットワークへ3か所、接続してやります。 青、黄色、茶色に見える3つの線がそうです。 ↓ |
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終わったら板を4か所ネジ止めして固定です。 |
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そしてタンノイと言えばの同軸型2ウェイユニット。 このRHRにも38cmのものが搭載されています。 |
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タンノイ Westminsterのようにウーハー部分のコーン紙にイギリスならではと言った具合の紋章がプリントされているのですが、こちらのモチーフは十字架とキャンドル…でしょうか。 ラッカムの思う所があってのモチーフの選択だったならその背景などもわかったら面白かったのですが、今回はそこまでは分かりませんでした。 今後また知りえる機会があればと思います。 |
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↓ ゴミ除けのキャップの奥にはツイーター部が顔をのぞかせています。 |
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↓ 裏からの写真数点。 コーン紙の裏には多めに入れられた補強リブなどが確認出来ます。 |
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そのユニットに先ほどから伸ばしっぱなしになっているコネクタ部分を接続するのですが、 |
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接続後、再びエンクロージャーへと線を戻しユニットを納める時、このユニットがつながったコネクタ部分がこれもまた写真のように穴のサイズがギリギリなので注意が必要です。 |
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ユニットの固定は六角穴付きボルトで。 |
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スピーカーを立たせる前にせっかくのこの態勢ですので、底面も確認を。 |
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すべり鋲に、前面部のきれいなカーブ。 この湾曲の仕上がり具合がこのRHRの全体の造形の美しさを物語ります。 ここまで出来たらもう音も出せるので、あとは細かい点だけです。 |
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コントロール部の仕上げにプラスティック製の枠をはめてやります。 |
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装着後(左) → |
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冒頭でも出ていたコントロール部の蓋になるプレート。 裏側は傷付かないようにフェルトが張ってあります。 |
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ネジ式で蓋を固定します。 |
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閉じているとこの状態……何度も音調整したくなる人には少し手間かもしれません。 |
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上下に分割でひとつずつ付くサランは、しっかりとした作りです。 |
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サランの内側までフェルトがあててあります。 |
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ダボによる取り付け。 「下側のサラン」の下側はダボの位置がちょうど開口部の何もない所にあたるので、エンクロージャー側にかわいらしくダボ付きブロックが。 |
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サラン取り付けで完成です。 |
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そして音チェック。 やはりバックロードホーンがどれほどに作用しているのかが気になります。 実際に聴いてみると、なるほど、本体のサイズ感以上に低域の豊かさを感じます。 例えばバスレフタイプなどがどちらかというと 少しこもったようなイメージの低音であるのに対して (良し悪しは別にイメージとして、です)、 これは箱そのものが楽器としてなっているかのような 自然な感じの柔らかいイメージの低音であるように思いました。 バックロードホーンは弱点として低音の遅れを感じるという事も聞いたりしますが、 RHRに関してはその心配もないように思います。 見た目の優雅さに気持ちも引っ張られているのか、 音の印象も同じく優雅さをもって聴こえ、伸びやかーーな低音に感じます。 この伸びやかさは遅れではないです。 これに合う音源となると、壮大さをテーマにした クラシカルな雰囲気のオーケストラなどがしっくりくるのかな、と思いました。 個人的には、意外とスムーズジャズなんかも気持ちよく聞けそうかな? と思っています。 |
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今回のTANNOY RHR/N。 今現在の取り扱い品に関しましては、いつものようにハイファイ堂 トップページからキーワードボックス内に「RHR」などのキーワードで検索をして、ご確認をお願いいたします。 http://www.hifido.co.jp/ 人気のあるモデルですので、ご希望に添えない事もあるかとは思いますが、随時入荷もございますので、その時々良い巡りあわせがあればと願っております。 その時はまた是非ともよろしくお願いいたします。 それではまた。 |