いよいよリオデジャネイロオリンピックが開幕しました!早速競泳や柔道、ウエイトリフティングで日本がメダルを獲得していますね。今回は最終的にいくつ穫れるのか?とオリンピックがある度TV等で予想が流れています。今年はどのくらいだと予想していますか? さて今回はオリンピックにちなみ、現在丸の内店にあるスピーカーを種目別(CD別)で競わせてみました!審査員は勿論わたくし堀川です。種目も独断チョイスです。 普段聴き比べをするときは店に置いてある試聴用のレコードやCDをかけています。お客様が聴いた事のあるものでないと違いが分からない場合があるので、試聴用の音楽は各ジャンルの有名なアルバムやスタンダードな曲のものがほとんどです。 私はなかでもジャズが好きなのでいつも店内で聴き比べをするときはWaltz for Debbyをかけているのですが、家でも外でもずっとスタンダードジャズを好んで聴いている!というわけではないので、もっと自分の耳に馴染んでいるもので比べてみたいなと思う事があります。 そこで今回、同じメーカーでも種類の違うスピーカーが揃っていたり性質が全く違うメーカーが隣り合わせだったりと、じっくり聴き比べをするチャンスなのでは?と思い家から数枚CDを持参してきた次第です。 さあ、私から金を穫れるのはどのスピーカーなのでしょうか?? |
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まずは種目という名の、音色を競い合ってもらうCDをご紹介。 バンド活動をしていた一番音楽に多感な高校時代にかなりよく聴いていたアーティストを選びました。当時程ではないですが今も思い出してはよく聴きます。次にこの音が来る!とかここのフレーズが好き!という自分好みの細かい点を熟知している(はず)なので店の試聴盤以上の聴き比べを期待。 |
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東京事変 / 深夜枠 言わずもがな椎名林檎がボーカルを務めるバンドです。既に解散していますが、私が高校生の時は現役で、バンドでコピーもしていました…! アルバムひとつひとつにTVチャンネルのようなテーマがあるのと途中でメンバーが変わっているのもあり、シングルのカップリング曲を集めた平均的なアルバムで試します。 UNCHAIN / rapture 高校時代、友人に教えてもらってから溝に浸かるようにハマったバンドのひとつです。ギターのカッティングが印象的で、一言で言うと切れ味の良い包丁みたいなバンドです。スピーカーによってどう変わるか楽しみです! Jamiroquai / A funk odyssey 当時J-POPやJ-ROCKばかり聴いていた中で何かの拍子に耳にしてしまったアーティストです。聴いたとたん、なんじゃこりゃ!!と私なりに衝撃を受け、ここからアシッドジャズ、クラブジャズの方に嗜好がシフトしていくきっかけにもなりました。特に好きな曲が入っているアルバムをチョイス。 |
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そしてお待ちかね、今回の聴き比べでのスピーカーラインナップは ALTEC Barcelona DIATONE 2S-305 TANNOY LANCASTER/HPD385 TANNOY 3LZ/HPD295 YAMAHA NS-10M YAMAHA NS-1000M 以上6点です。 ではスピーカーごとにCDの聴こえ方をみていきます! |
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トップバッターはALTEC Barcelona!現在丸の内店の中心に鎮座しています。 見た目もアンティークでお洒落なスピーカー。 ●東京事変● 音の安定感がすごいです。ベースがブイブイきます。ボーカルより前面に来ているかもしれないです。「アダルト」というアルバムを過去に出していますが、そのアルバムが似合いそうな雰囲気。ただし結構ギターやシンセがギャイギャイしている曲は変にこもったように聞こえるので合わないかもしれません。 ●UNCHAIN● 音のバランスがとれていて聴きやすいです。ギターが鋭いというよりかは少ししっとりした感じに。包丁ではなくクッキー生地をさっくり混ぜるヘラの様。ドラムの皮の質感が耳で感じられるような響きがあります。 ●Jamiroquai● 上で尖った音はこもるかもと記しましたが、こちらはそれが逆に良い心地よさを生み出している気がします。頭の上で電子音がふわふわしているような感じです。でもベースがしっかりしているので安定感はそのままです。 ●総合● 良い意味で湿度がある音色だと思いました!タンノイと似ていますがタンノイよりも低域に安心感があります。包容力があるイメージです。音のあたたかみとしては、タンノイよりは「箱」で鳴っている感じがします。結構見た目のイメージそのままの音がすると思います。 |
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次はDIATONE 2S-305。 重量たっぷりのモニタースピーカーです! ●東京事変● うーん想像していたより普通。。ステージ上で例えるとボーカルとギターが同じような位置にいて、そのちょっと後ろにベースとドラムがいる感じ。みんなステージ前面にはいるものの圧力あるアピールはそこまでしてこないような音色でした。 ●UNCHAIN● こちらもやはり全域が平均のような音色。CDのせいか分かりませんが、高域も低域も一定のところまででカットされているような、つぶされているような印象です。でもボーカルの聞こえは良く、他のパートより一歩手前にある感じに聴こえます。 ●Jamiroquai● 平均的ですが、シンセ系の電子音あり、綺麗なアコギあり、ゴリゴリのギターあり、管楽器ありのアルバムをアルバム単位でうまくまとめてくれる良さがあります。中でもアコギの音は一番澄んでいて心地いい感じがしました。 ●総合● モニタースピーカーだけあり、とてもニュートラルな音でした。中立的な分、アンプ類の影響も音に出やすいと思います。今回の中では私が普段聴いている環境(ミニコンポやイヤホン)の音と一番近いかな?という印象です。聴き比べをするときに2S-305からスタートすると他のスピーカーとの違いがはっきり分かり、判断しやすくなるのではと思いました! |
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次はTANNOY LANCASTER/HPD385。 タンノイの大きい方です。 今回タンノイとヤマハは大型・小型があるのでそこでの違いにも注目したいです! ●東京事変● わ〜凄く好みの音で鳴ってる!…でもギターやベースは好きな音なのにピアノの音の抜け感はあまり無いように感じ、そこがちょっと気になりました。Barcelonaほどの包容力はないですが低音もしっかり出ています。小さな地下のライブハウスなんかを思い出します。 ●UNCHAIN● ダイアトーンよりあたたかみは増しますが、このバンドにはちょっとあたたかすぎかも?といった印象。ボーカルが他のパートに囲まれている中で演奏しているような聴こえ方です。元の音源が切れ味のいいものなので、手に膜を張ってパンチされている気分。膜ごとグイグイ来るイメージです。ベースは鼓膜にダイブしてきます。 ●Jamiroquai● こちらも、ギターの音がまろやかに。Barcelonaより全体的に音がショリッという感じ。溶け始めてシロップと良い塩梅に混ざり始めたかき氷をスプーンで裂くイメージです。でもやはりピアノが他より遠くにいるような印象を受けました。 ●総合● クラシック向きとも言われるタンノイですが、その綺麗なあたたかみから、程よくバンドサウンド感も出してくれると感じました。ただ良くも悪くもポーンと行くような抜け感や切れ味もまろやかになってしまうと思います。 |
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次は隣り合っているTANNOY 3LZ/HPD295とYAMAHA NS-10Mにいきます! |
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この二つは同じアンプに繋いでいるので、スイッチを入れ変えるだけでもう片方のスピーカーにシフトチェンジすることができます!音を聴く時のタイムラグがないのでより明確に違いが分かると思います。 アンプはLUXMAN SQ507Xを使用しています。 |
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TANNOY 3LZ/HPD295 ●東京事変● ボーカルの椎名林檎、若干ハスキーなので他の楽器と混じるように聴こえたり、分離するように聴こえたりしていたのですが…単体で明瞭に聴き取れる感じが非常に良かったです。ピアノも、同じタンノイでも私はこちらの方が抜け感が出ている気がします。 ●UNCHAIN● HPD385同様あたたかみがあり角が取れて丸くなった印象ですが、こちらの方が心なしかギターの高音がクリアに聴こえます。そのためカッティングサウンドもそこまでつぶれている印象はありません。ベースが顎辺りで響く感じがします。 ●Jamiroquai● スポンジのような吸収力がどこかにあるような印象です。よくスイッチを変えてヤマハところころ聴き比べしていたのでヤマハサウンドを吸収したように聴こえたのかもしれないです。ステージ上にボーカル、ギター、ピアノが同軸で並んでいてその後ろにベースとドラムが控えている感じです。 ●総合● 同軸型の良さなのか、どれもボーカルがすぐそこにいて歌ってくれているような音色でした。棚の上にあるので、より耳の高さに近いのもあるかもしれません。この後でてくるヤマハよりも落ち着きがあり、上品な感じがします。音を一回濾紙に通したイメージがあります。同じタンノイなら私はこちらの方が好きです。 |
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YAMAHA NS-10M ●東京事変● タンノイのHPD295とは打って変わり、ボーカルの声が分離して聴こえます。低域でベースの鳴りが強いと思いきや負けじと高域のギターが鳴ったりと、個々の楽器がそれぞれ勢い良く自己アピールしてくる感じです。後期の方のかなりごちゃごちゃ言わす曲なんかはもううるさいです。笑 ●UNCHAIN● 音の歯切れが非常に良いです!ベースとギターのカッティングはかなりハッキリ出ます。そしてボーカルの高音が澄んでいて綺麗。ベースは低い音を保ちつつも感覚的には割と上の方で鳴っている感じがします。こめかみのちょっと下くらいの場所です。 ●Jamiroquai● 電子音の圧力と言いますか、支配感は気持ちいいです。その電子音の厚みが全体の音を後押ししてくれている感じがします。厚みがありつつも透明感があります。ただバラードの透明感には向かないかなと思いました…。 ●総合● タンノイと真逆をいく感じがします!特に高域の強さは特徴的です。よく言えば炭酸のような爽やかさ、悪く言えば子供のようなうるささと言った感じです。スピーカー自体は小さくとも迫力は体格の想像以上だったと思います。 |
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ラストを飾るのはこちら!YAMAHA NS-1000Mです! YAMAHA NS-1000M ●東京事変● こちらも多少うるささを感じるものの、ごちゃごちゃした感じはあまりありません。それぞれの楽器の音が個性的だったりするので、それを前面に出しつつも前に出ながら多少調和している印象があります。クリアなので林檎の声もより乾燥した様に。 ●UNCHAIN● 大迫力でパワー押し!しかし音がつぶれた感じはなくクリアです。ベース等低域もクリアで、強く音を感じます。聴き慣れてくると高域がシャリシャリし過ぎているように感じてしまいますが、UNCHAINの切れ味と透明感に合っている気がします。 ●Jamiroquai● ギターとベースが非常にハッキリでます。ペシペシ鳴っている感じ。女性コーラスの声も力強く透き通るように店内に響きました。電子音もこもっている印象がなくなるのでふわふわ音が浮いているよりは頭上で飛行機雲が抜けていくイメージです。 ●総合● タンノイが冬にしっとり積もる白い雪のようなあたたかみのある透明感なら、こちらは夏のどこまでも高く続く青い空と清涼ドリンクの様な透明感というイメージです。10Mよりハコが大きい分、音もつぶれず切れ味の良いスカッとした感じをそのまま出せるスピーカーだと思いました。ただ長い間これのみで聴くとなると、ちょっと飽きがくるのが早いかもしれません。。 |
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如何でしたでしょうか。 お待ちかね結果発表です。 ●東京事変● 金…TANNOY 3LZ/HPD295 銀…TANNOY LANCASTER/HPD385 銅…ALTEC Barcelona ●UNCHAIN● 金…YAMAHA NS-1000M 銀…ALTEC Barcelona 銅…TANNOY LANCASTER/HPD385 ●Jamiroquai● 金…ALTEC Barcelona 銀…DIATONE 2S-305 銅…YAMAHA NS-1000M 聴き比べた結果、このようになりました! 東京事変は音のあたたかみと角がとれた感じ、そして同じタンノイでも楽器の音色が好みの3LZ/HPD295が金メダルに!UNCHAINは自分のイメージを本当に切れ味よく表現してくれたNS-1000Mを金に。Barcelonaで出てくる低域の湿度ある質感も好きだったので銀に。Jamiroquaiは難しかったですが、Barcelonaの飽きがこなさそうなのと包容力に金を捧げます!でも案外2S-305の中立的な音が綺麗にバランスをとっていたので銀、NS-1000Mはこれで爆音でかけて踊ったら最高だ…という純粋な気持ちから銅に。笑 一同に六つのスピーカーを聴き比べする機会なんて滅多にないので貴重な経験になりました。しかも自分の好きな音楽で! 店内の試聴盤だけでなくときどきスタッフも自分のお気に入りを持参していますし、お客様ももちろんご自身が普段よく聴くCDやレコードをお持ち頂いて聴き比べする事も可能です。耳に馴染んでいる音楽だと、細かな風景が機材ごとに変わってきます。気になるオーディオありましたら是非お気に入りの音楽で試聴してみてください! 丸の内店 堀川詩保 |