梅雨の中休みの日差しの眩しい丸の内仲通り、休日の有楽町方面は、平日の喧騒が嘘のように落ち着いた印象を受けます。 皆様、いかがお過ごしでしょうか。 ハイファイ堂 丸の内店 廣川勝正です。 さて、今回は丸の内店に勢ぞろいしたYAMAHA NS-1000シリーズのご紹介と、比較試聴による音の違いについて述べていきたいと思います。 |
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先週の福岡店のメールマガジンに記載されておりましたMONOマガジンの取材は、実は丸の内店にて行われたものでした。弊社の商品部にてNS-1000Mが、いかにしてメンテナンスを行われているかが良くわかるので、書店などで見かけた方は(ハイファイ堂各店にも置いてあります)是非ご覧になってください。 MONOマガジンをご覧になったと丸の内店にご来店され、NS-1000シリーズ4機種を比較試聴され、ご購入頂いたお客様もいらっしゃいました。 さて、NS-1000Mのメンテナンスに関しては、今回のMONOマガジンの紙面のほか、過去の京都商品部のメールマガジン等で紹介されているので、ここでは多少触れる程度にさせていただきます。 そこで、丸の内店に集められましたNS-1000M、NS-1000、NS-1000X、NS-1000XWのそれぞれの音に、どれぐらい差があるのかをこの後の試聴にてレポートしたいと思います。 |
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先に、試聴ソフトのご紹介をいたします。 THE ALAN PARSONS PROJECTのLP「EYE IN THE SKY」より、1曲目のインストゥルメンタルSIRIUS INSTRから2曲目のEYE IN THE SKYをそれぞれのスピーカーで試聴いたしました。 こちらのアルバムは1982年発表のアルバムで、プログレッシブロックでありながらポップスにも通じる聞きやすい楽曲が評判となり、全米チャートで7位にランクインしました。 当時、FM紙のオーディオ評論で使用されていて、録音の良さでも評価の高かったアルバムでした。 |
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使用機器はレコードプレーヤーに、MICRO DD-5とカートリッジはSHURE M44G。 プリアンプにMcIntosh C40、パワーアンプにはYAMAHA B-2Xを使用しました。 今回の試聴では、NS-1000シリーズと抜群の相性を誇る同社の駆動力の高いパワーアンプB-2Xと、柔軟で厚みのある音のC40が、スピーカーの魅力をしっかりと引き出してくれていました。 |
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まず最初に試聴するのはNS-1000Mです。この後試聴する3機種に対しての、一つの基準になる音として聴いてみました。 SIRIUS INSTRの冒頭のギターが左側前方にビシッと定位し、厚みのあるバスドラのリズムがズンズンとお腹に響く感じで、低域の量感が想像以上のところがとても印象的でした。 EYE IN THE SKYでのボーカルや各楽器の音像定位の良さは特筆すべき点です。しかも音像がスピーカーの前に定位します。ハイファイ堂でのネットワークコンデンサー交換の効果がここで発揮されていると感じます。 ベリリウムドーム採用の中高域ならではの高い情報量と繊細感もNS-1000Mならではの魅力です。 ですが、今回の試聴で特に印象に残ったのが、低域の厚みと量感が想像以上だった事です。 全体的に重心の低い、安定した音が魅力のスピーカーだという事を再確認させられた今回の試聴でした。 |
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続いての試聴は、黒檀仕上げの外装が美しいNS-1000です。ユニットやネットワークメンテナンスの内容などは、先に試聴したNS-1000Mと同等ですので、外装の違いのみでどれだけ音が違うのか、興味深い試聴でした。 冒頭のSIRIUSのバスドラムが鳴った途端に「これは、相当違うぞ!」と驚かされました。 NS-1000Mに比べて、全体の鳴り方が腰高で、重心が高くなった感じです。その分NS-1000Mよりも中高域の切れ味が増した感じで、EYE IN THE SKYのキーボードとボーカルの定位が、よりくっきりと定まった印象を受けました。 サイズが幅、奥行き共に20mmほど、高さも35mm大きくなっており、重量に至っては8kgも重くなっている事を思えば、これくらいの音の差は当然かもしれません。 ですが、こうして改めて聴き比べてみて、新たな発見ができた感じで、印象深い試聴となりました。 |
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さて、次に試聴したのはウーファーの素材がコーン紙からシート状のカーボンファイバー製に変更されたNS-1000Xです。 ウーファーの素材が変われば、当然磁気回路も変更されていて、NS-1000Mとどれだけの音の差があるか興味を持ちつつ試聴を開始しました。 SIRIUSからEYE IN THE SKYを通して聴き終えて、まず感じたのは、想像以上に全体の鳴り方がNS-1000Mに似ていたという事です。若干低域がタイトな印象を受けましたが、タイトな響きという面では黒檀仕上げのNS-1000の方が断然タイトな印象でしたので、むしろNS-1000Mとよく似た音に聴こえた次第です。 本格的なデジタル時代に合わせて開発されたとはいえ、NS-1000Mの音を継承するという事に対しての強い意志を感じた今回の試聴でした。 |
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最後に試聴したのはNS-1000XW。NS-1000Xのアメリカンウォールナット仕上げのモデルです。こちらも外装の仕上げが異なるだけで音が変わるのか気になるところです。その点を気にしながら試聴を開始しました。 まず、先に結論から申し上げると、確かに音が変わります。 SIRIUSの出だしのギターの響きが増した感じで、バスドラムの低音がより引き締まっているように感じました。 EYE IN THE SKYのボーカルも多少ですが明るくなった様に聴こえました。 ただ、NS-1000Xとの音の違い自体は、NS-1000とNS-1000Mの音の違いほど大きくは感じませんでした。外観の仕上げ以外、エンクロージャーサイズも重量もほぼ同じという点が、音の差の少なさに関係しているのではないかという印象を持ちました。 |
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今回のNS-1000シリーズ4兄弟の試聴を終えて、最初に予想していた音の差の程度と結果が違った事は、自分にとっては改めて良い勉強になったと思います。 この4機種の中では、黒檀仕様のNS-1000がもっとも個性的で、他の3機種との違いが明確だっだ様に思います。 それと同時に、ベストセラーとなったNS-1000Mの帯域バランスがもっとも整っていた印象を持ち、何故にベストセラーになったかを、強く印象付けられた今回の試聴でした。 皆様もハイファイ堂各店にお越しの際には、改めてNS-1000Mの音を聴いて頂きたいと感じた次第です。 では、また次回 |