そして、ジェイムズ・ブラウンの凄さは何と言ってもリズム改革に尽きると思うのです。 「アウト・オブ・サイト」(64年)、「パパズ・ガット・ア・ブランド・ニュー・バッグ」(65年)、「アイ・ガット・ユー」(65年)、「コールド・スウェット」(67年)、「セイ・イット・ラウド・アイム・ブラック・アンド・プラウド」(68年)、「セックス・マシーン」(70年)、「スーパー・バッド」(同)、「ソウル・パワー」(71年)… アフリカ音楽では大人数の打楽器奏者がそれぞれ思い思いのリズムを延々と叩き、その幾重にも重なる揺らぎやズレがいわゆるグルーヴを生むのですが、上で列挙したジェイムズ・ブラウンの楽曲群は、そのグルーヴ感をジャズコンボ を元にした編成のバンドで再現したのです。ドラム、パーカッション、ベースは言うに及ばず、ギターもホーンも鍵盤もすべて、まるで打楽器のように演奏するのです。 そのリズムと音色の進化と先祖帰りの、ひとつの到達点が『Love Power Peace; Live At The Olympia, Paris, 1971』と言うアルバムの音です。
Love Power Peace; Live At The Olympia, Paris, 1971/JAMES BROWNリズムとリズムのぶつかり合い、緩急のつけ方、間合い、すべてが壮絶で凄まじい粘着質のグルーヴは逆にメロディアスにも聴こえ、泥臭くもあり洗練の極みにも感じます。熱いのにクール、疾走感のあるミディアムテンポ、泣きながら笑い、笑いながら泣く…。ジェイムズ・ブラウンからアルバムを1枚選ぶならこれです。2枚選べるのならIn the Jungle Grooveも(笑)