慌ただしい年の瀬、クリスマスももうまじかの今日この頃。 皆様いかがお過ごしですか。 2012年12月第3週のメールマガジン、日本橋店からは渡辺がお送りします。 独り善がりの駄文に暫しのお付き合いを・・ |
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今回のお題は「男の嗜み」 1965年婦人画報から出版された「TAKE IVY」という書籍があります。 その後の日本のファッションに多大な影響を及ぼした名著なのですが、 あるインターネットのサイトで、 「TAKE IVY」のテイクをどう訳すのかという記事があり 「手に入れる」「受け入れる」とともに「嗜む」とありました。 なるほど!! 「嗜む」とは素敵な言葉です。 ちなみに「嗜む」をコトバンクで調べると 1 このんで親しむ 愛好する 2 このんでそのことに励んでいる 芸事などの心得がある 3 つつしむ 気をつける 用心する 4 前もって用意しておく 心掛ける 5 見苦しくないように整える これらの要素を包括して「嗜む」と表現する。 凛とした求道心と慎ましさが同居するこの感覚。 そして口に出して発音したときの語感も素敵です。 |
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高度経済成長期を経験した男にとって、 ファッション、クルマ、音楽(オーディオ)の3つは避けて通れないものでした。 ここ、ハイファイ堂に来店下さるお客さまに於いても、 その三大要素が好きで好きでたまらない〜そんな方々が多くいらっしゃいますね。 「トラッドを嗜む」 「モータースポーツを嗜む」 「ジャズを嗜む」 物凄くカッコいい文化だと思いますよ。 残念ながら昨今、こんな「男の嗜み」が急速に衰退してきて、ちょっと寂しく思うのです。 服はファーストファッション 音楽はカラオケで歌いたい曲をダウンロード クルマは興味なし これでいいのかワカモノたち!! 少なくとも僕自身は ずっと好きな服を着て、好きな音楽を聴き、好きなクルマのことを妄想(笑)したいのです。 ところで、 「男の嗜み」にはルールがあり基本があり歴史があって、それを無視することはできません。 そして、規範となるものがあってそれを少しだけルール違反するのがセンス。 ファッションで例えるならパンツ(スラックス)の腰穿き。 ずっと昔からあるちょっとヤサグれた着こなしテクニックなのですが 最近のワカモノがやるとずらし過ぎてケツまで出して残念過ぎる珍妙な格好になる。 またハードバップが全盛だった50年代、 マイルスやリー・モーガンなどが挙ってやっていたエキストリームアイビーというスタイル。 東部の白人のお坊ちゃまファッションであるアイビールックを茶化した 下品でエッジの効いたスタイルなのですが、今見ると十分に上品でスタイリッシュなのです。 要は少しだけルール違反というのがミソなのです。 50年代のマイルスやリー・モーガンなどのジャイビーなミュージシャン、 レーサーでモデルで服飾デザイナーの福沢幸雄さんや、 レーサーでジャズピアニストで作曲家の三保敬太郎さんといった60年代の素晴らしい先達たち。 ヒップでスノッブで少し不良っぽくもある。 そんなカッコ良さや「男の嗜み」の復権に想いを馳せるのです。 |
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神戸の老舗ジャズ喫茶「jam jam」。 http://jamjam.tonosama.jp/index.html ここの巨大なUREI813BXダブルウーファーからほとばしる アナログサウンドは圧巻です。 「jam jam」は元町旧居留地の外れにあるエビアンという喫茶店の地階にあり http://www.evian-coffee.com/ 薄暗い地階の扉の向こうには今尚、脈々と息づくジャズがあるのです。 店内は真っ暗。 昼間に入ってもしばらくそこに身を置くと時間の感覚が無くなってしまう。 この真っ暗で穴蔵のような空間こそがジャズ喫茶やソウルバーの正しい在り方。 当然鳴っている音楽は古いジャズが中心。 それでも懐古趣味に陥らずスイングさせグルーヴさせるのは、 芯の通ったバランスの良いUREIの音と オーソドックスなジャズ喫茶の文脈からは、ほんの少しはみ出した、 絶妙の選曲だからこそ。 プレーヤーのシステムはTechnics SL-1200が2台、 それをDJミキサーで交互に音を繋いでいきます。 ここでは年配のベテランマニアからクラブ経由の若者まで それぞれが思い思いに「ジャズを嗜んでいる」訳です。 そしてこのジャズ喫茶が凄いのは 老舗ジャズ喫茶にもかかわらずDJやクラブシーンに理解があり NUDE RESTAURANTという神戸が世界に誇れるダンスイベントや http://ameblo.jp/nuderestaurant/ さまざまなダンスジャズやライヴのイベントの拠点となっていること。 http://www.helsinki-soul.com/images/LoserDog.jpg というよりもオーナーの池之上義人氏自身がDJとしてプレイをされているのです。 レコードに刻まれたジャズの瞬間の閃光を最良の形で表そうとしたジャズ喫茶という文化と 1曲1曲を選び取り繋げて長時間のスパンで緩急や起承転結をつけるクラブDJの文化、 その両側面からジャズを切り出すことで本来のジャズのカッコ良さが際立ってきます。 会話禁止のUREI813BXダブルウーファーの前のシートに陣取り 容赦のない壮絶な音で迫りくるジャズと対峙する時、 これぞ「男の嗜み」と思うわけです。 |
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最後に今時のワカモノたち、カッコ良い音でカッコ良い音楽を聴こう是!! 京都店花田がメールマガジンで興味深い記事を書いていました。 http://www.hifido.co.jp/merumaga/kyoto/121214/index.html 花田の言うこんな音楽をカッコ良く鳴らしたいと思いませんか。 オーディオに少しだけ予算を割けば素晴らしい音楽が楽しめますよ。 ハイファイ堂では海外の高級機器だけでなく国産オーディオにも力を入れています。 70年代のSANSUIやSONYのアンプの凄まじい音を聴いてほしい。 http://www.hifido.co.jp/KW%A5%B5%A5%F3%A5%B9%A5%A4/G1--/P/A10/J/0-10/S0/M0/C12-71115-67915-00/ http://www.hifido.co.jp/KW%A5%BD%A5%CB%A1%BC/G0101--/P/A10/J/10-10/S0/M0/C12-62088-39862-00/ 内部を徹底的にブラッシュアップさせたそれらの機器は決して古ぼけた眠たい音ではなく 最近のオーディオのようなこじんまりとした行儀の良い音でもありません。 ジャズもロックもソウルも鞭でひっぱたかれたような鮮烈な音が出てきますよ。 ボサノバもこんな機器で鳴らせば 衣料量販店シ○ムラのBGMみたいな腑抜けた音にはならないのです。 ダンスミュージックやロックは最新録音であっても手本となる音質は60〜70年代の音です。 録音スタジオの機材もそんなビンテージの機材やそれを模したエフェクトが多く、 70年代のオーディオとの相性がいいのです。 オーディオにもルールがあり基本があり歴史があって、それを無視することはできません。 そして、規範となるものがあってそれを少しだけルール違反するのがセンス。 パンツの腰穿きしかり、ジャズ喫茶しかり、オーディオに関しても同じだと思います。 基本になるウェルバランスを知ったうえに組み合わせの妙で、少しだけ崩してやる。 そうすることで音に色気や精気が出てくるのです。 今時の音楽好きのワカモノたち、ぜひハイファイ堂へ足をお運び下さい。 僕たちがしびれる音作りのお手伝いをします。 僕たちはオーディオショップ店員であるまえに音楽好きのオジサンですから。 カッコ良い音は文化です。 音楽やオーディオを大いに嗜みましょう。 日本橋店:渡辺正 |