新年あけましておめでとうございます。日本橋店の水島です。 旧年中は格別のお引立てを賜わり厚くお礼申し上げます。 本年も皆様のお役に立てるよう一層尽力をしてまいりますので、昨年同様のお引立てを賜わりますようお願い申し上げます。 毎年恒例となっております福袋セットも多くのお問合せを頂いております。 各セットとも1点限りで売り切れ御免、1/15までの販売となっております。お早めにどうぞ。 |
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まずオーディオとは関係ない話しなのですが、昨年秋頃から年末に掛けてアパレル雑誌やSHOPのBLOGなどで、SANDERS/6480 PLAYBOY CHUKKAが頻繁に紹介されていました。 Tricker'sやGrenson、Edward Greenなど超名門の靴メーカーが集まる英国ノーサンプトンの老舗メーカーSANDERS&SANDERS社のカジュアルラインの代表格です。 PLAYBOY CHUKKAといえば、誰もが思い浮かべるのがスティーブ・マックイーン。 このブーツにショールカラーのニット、スイングトップはBaracuta G9、このスタイルが定番でしょうか。 日本橋店スタッフW辺氏も信奉者のひとりです。 1980年に50歳という若さでこの世を去ったマックイーンが、30年経った今でも多くの人々にとって憧れの存在であり続けるのは、単に「名俳優」だったということではなく、「ファッションアイコン」であったということなのだと思います。 現在でもそういった「ファッションアイコン」・「ファッションリーダー」といわれる若者たちは多く存在し、次々と現れては消えていきます。商業的に演出されて、にわか人気が去ったら忘れられていくのですね。 つまり、今日では彼らが身に付けるアイテムの消費サイクルがはやく設定され、使い捨ていうこと。 対して昔マックイーンが纏っていたアイテムは、普遍的な機能美とファクトリーのプライドが込められているということでしょう。 *最先端のアイテムも過去の模倣から始まる訳ですが。また新しいものが必ずしも最良のものかは解らないですが、巡り巡ってということを考えると萌芽はそこにあるのかもしれません。 オーディオにも同じことが言えるのではないかと思いましたので、羨望を禁じ得ない「オーディオアイコン」だと思う機器を揚げてみようと思います。 |
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時代を超えて「アイコン」たり得るアイテムに必要な要素のひとつに、クラフトマンシップ(職人魂)が宿った機能美があると思います。 ウィリアム・モリスの「Arts and Crafts Movement」を源流にした生活と芸術の一致、日用品の美。 時代は移り、そこからスノッブな装飾を削ぎ落とした完成型が、、、。 初期JBLの最高傑作と誉れ高い、D30085 HARTSFIELD。 いまさら説明など必要はないと思いますが、設計はビル・ハーツフィールド。 ユニット構成は、ウーファー/150-4C、ドライヴァー/375、ホーン/H5039、ネットワーク/N-500の2WAY。後期にはユニット仕様の変更や、075+N7000を追加した3WAYモデルも出ていたようです。 私自身一度だけ実物を見たことはありますが、音を聴いたことがありません。 同じくJBL D44000 PARAGON。HARTSFIELDと双璧を成すモデル。 1957年の生産開始から1988年まで販売されたロングセラー、1965年に山水が取扱を始めたことで日本でも中期モデル以降よく見かける馴染み深いスピーカーですね。 ご存知のようにアーノルド・ウォルフの設計、初期ユニット構成はHARTSFIELDと同じく150-4C+375に075が加わった3WAY。中期ではLE15A+375+075になっています。 こちらは何度か聴く機会がありましたが、正直鳴らしにくいスピーカーだなという印象です。所有されているお客様の意見も同様の場合が多い気がします。数cmから数mmからの設置の違いで追い込みをかけたり、充分にドライブできるアンプ選びが必要だったりと悩ましいですが、いつかは挑んでみたいスピーカーです。 どちらのスピーカーも素晴らしい木工の造形美、クラフトマンシップの極みです。 左:JBL/D30085 HARTSFIELD 1954〜1964年 右:JBL/D44000 PARAGON 1957〜1988年 |
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「アイコン」であるためには意匠も然ることながら、やはりアイテムとしての性能・質が重要です。 名門と呼ばれるメーカー・ファクトリーが名声を獲得する背景には、クラフトマンシップの他に"彼らの美徳"を追求する信念があります。 1958年に発表されたmarantz MODEL#7、美しいデザインもそうですが半世紀以上もオーディオファンを魅了し続けて止まないサウンドは、ハイエンドオーディオを語る上で欠かすことの出来ない存在となっているのは周知の通りです。 前にも後ろにも広がる魔法のような音場、生々しい音像。50年以上の昔に、現在の技術の粋を集結し気鋭のエンジニアが奮闘するも及ばない程のアンプが生まれたということ、偏にソウル・バーナード・マランツの類い稀なるエンジニアとしての才能と感受性(センス)の豊かさの所産だと思うのです。 1973年、Mark Levinson LNP-2の発表によりハイエンドオーディオが確立する訳ですが、こちらは未だ見たことも聴いたこともありません。 1977年、Burwenモジュールからオリジナルモジュールに仕様変更され、LEMO端子仕様になったLNP-2Lが誕生します。こちらもなかなか聴く機会は少ないのですが、圧倒的なサウンドステージに度肝を抜かれます。リアルな空気感、静寂感を表現できるアンプは他にないのではないでしょうか。 マーク・レヴィンソンが元々レコーディングエンジニアだったというプロユース指向のバックグラウンドがなかったら生まれていなかったのかもしれません。 以前LNP-2Lを試聴していた時に、「marantz MODEL#7の目指していた音はLNP-2Lの音なんじゃないかな」と思ったことがあります。似て非なるものですが、何かを犠牲に足らないものを補完したら。 時代は遠くても、本物のエンジニア達の信念は近いところを目指していたのかもしれません。 左:marantz/MODEL#7 1958年 右:Mark Levinson/LNP-2L 1977年 |
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今回取り上げてみたモデルはかなり高額なものですが、ミドルクラスのものや、国産オーディオなどでも沢山「アイコン」と呼べるものがあると思います。 またこの企画で紹介してみたいと思います。 |
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熱烈なモーターサイクルファンであったスティーブ・マックイーン。 BarbourのInternational Jacketを纏いレースに挑んでいた姿を見て、多くの選手が同じように着用するようになったそうです。 もし彼がモーターサイクルだけでなく、熱烈なオーディオファンで広くメディアに取り上げられていたならば、 現在のオーディオ文化も少し違ったものになっていたのかもしれません。 |
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