いよいよ本格的な夏の到来です。 皆様、如何お過ごしですか。 7月の第一週目のメールマガジン、日本橋店からは渡辺が担当いたします。 独り善がりの駄文に暫しのお付き合いを・・・ |
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CRAZY KEN BAND 14th album FLYING SAUCER 東洋一のサウンドマシーン“クレイジーケンバンド”が通算14枚目のニュー・アルバム『フライングソーサー』をリリース。平成の絶好調ガイ横山剣の冴え渡るソングライティングがゲップがでるまで楽しめる好盤となった。高度経済成長期の赤坂ラテンクォーターを彷彿させるような疾走するパーカッションが全体を貫く。そんな印象の素晴らしいアルバムが完成した。 このバンドには厳選してアルバムをシェイプするという一般的な思考の持ち合わせはなく、相変わらずの全21曲・収録時間約76分というメタボ仕様。コジャレたセレクトショップではなく圧縮陳列のドンキホーテ商法だ。今、横山剣の脳内に鳴りまくるゴキゲンな音楽を可能な限り真空パックしてブチ込む感じ。 曲調も多岐に渡るが、それでもトータルで聴いた時に緩慢な印象にはならない。バラエティに富んだ楽曲群を絶妙に配置して、1stアルバムからの伝統であるジングルを要所に挟めば、すべての曲がそこに意味があって並んでいるように思えてくる。 そしてリードトラック「円盤 - Flying Saucer -」でのっけから炸裂するホーンにやられる。鳴り止まないコンガとカンパーナス(鳴り物群)。クレイジーケンのべらんめえな巻き舌ボーカルが絡むと温度は沸点に達する。CDをプレーヤーのスロットに入れわずか4分11分でノックアウト。 お次はバンド史上初の生オーケストラ導入の「地球が一回転する間に」。今はなき宝塚ファミリーランドの大人形館“世界はひとつ”が脳内を駆け巡り、めくるめくジェットセッターな気分になると言う説明はわかりにくすぎるのか(笑) 「太陽 -Sunbeam」でのクールな高速ボッサにファンクのスパイスを効かせたリズムとたまらないフルートの音色。横山→菅原→テツニとキャラの異なるボーカルが歌い継ぐスタイルはもはやお家芸となった。この曲を聴くとクールとファンキーは同義語だということが良く理解できる。 昭和40年代の高度経済成長期テイストを随所にちりばめながら関西なら芦有ドライブウェイ、関東なら箱根〜芦ノ湖スカイラインあたりを想定したドライビングミュージック的なアルバム前半から横浜長者町や神戸栄町新開地あたりからムンムン匂ってくるオリエンタルテイストのアルバム後半にシフトチェンジする。 「宇宙旅行の渡り鳥」マイトガイ小林旭の傑作リズム歌謡を威風堂々のカバー。この辺りをシャレでなく本気でカバーできるのはこのバンド以外に絶対ない。 そこから衝撃の問題作「タイに行きたい」→「廃車復活」への流れはお見事。最近クレイジーケンバンドのミックスCDを編集した某有名DJも嫉妬しそうなカッチョ良い流れだ。 それにしても「タイに行きたい」毎回新作でこんな衝撃の問題作をひとつは作るので世間では問題作と認知されないのが残念である。マンネリの問題作なのだ。モーラムで東南亜細・ア・ゴーゴーで最辺境の偏狭ガレージロックと相成った。これもわかりにく過ぎてすみません。 「廃車復活」はモータウンmeets横須賀ドブ板通りと言えるヨコスカンなスカジャンサウンド。古くからの横山剣ファンには嬉しい一曲だと思う。 抑えに押さえた声で歌われる興奮という単語の連呼がよけいにもらい興奮するのが絶頂ファンク「興奮」血管をオイルが流れるミュータント感と生臭い肉感が同居する様こそがファンクのファンクたるところ。 エンディングはエレキシタールの音色が甘くやるせない「ま、いいや」ミディアムスロウのグルーブに乗せて、諦観を達観に変えてしまう魔法のフレーズ“ま、いいや“がいつまでも胸に響き沁みわたりアルバムはクローズする。 |
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“そして神戸” CRAZY KEN BAND TOUR "Flying Saucer 2013" 最新にして最高のブランニューアルバム『フライングソーサー』を引っ提げ東洋一のサウンドマシーン“クレイジーケンバンド”が神戸にやってくる。ここ最近の大都市圏に於けるクレイジーケンバンドのコンサートは週末に限られ我々サービス業の人間はなかなか行くことができず地方へ遠征などしていたが今回は平日!喜び勇んで大好きな神戸でのライブを楽しんできた。 いつものチーム“ハゲとナデ肩”に今回はシュッとしたナオンが付き添いを買って出てくれて3人での神戸チキンジョージでの参戦と相成った。 久々の神戸元町へとやってきたのはその日12時くらいか。 我々は元町にある喫茶店エビアンでお茶をし、遅れてやってくるナデ肩の男を待っていた。ナデ肩の髪型はみごとなダックテイルをキメた横ワケサイドバックに整髪されていて我々を驚かす。なんでも元町にあるその筋の髪型専門の床屋でたった今散髪をしてきたそうだ。気合いが入ってますナデ肩。 相変わらず今ドキ感に欠けるチーム“ハゲとナデ肩”はシュッとしたナオンが同行と言うのにエスコートのエの時もなく、神戸の名所など目もくれずうらぶれた元町散歩コースに終始する。少し遅めの昼メシはトアウエストのBO TAMBOURiNE CAFE。米国田舎飯が得意の店だ。僕はハンバーガーを頼んだがガンボにしても良かったのではとやや後悔。ガンボに未練を残しつ、ある訳もない後ろ髪を引かれつつ店を出た。その後、馴染みのジャズ喫茶と古着屋を訪ね裏神戸を満喫しチキンジョージへと向かう。 シュッとしたナオンが手配してくれたチキンジョージのチケットは良番で前3列目の左寄りを陣取る。主唱クレイジーケンからホーンセクションをじっくり堪能できる絶好のポジションだ。最前列なら当然ど真ん中、3列目辺りならこのポジションに限る。 バンドメンバーがステージに揃いドラムのカウントでショーが始まった。 新作リードトラックのイントロから初期名作長者町ブルースに繋ぐ。火を吹くホーンセクション、出だしの15秒で我々は既にTKO。満面の笑みを浮かべ身悶えするハゲとナデ肩。 そのまま龍が天に昇る勢いで演奏は進む。キレとコク、緩急自在。張り詰めるような緊張感を伴う演奏の後は必ずスットコドッコイな展開で我々をズッコケさせてくれる。やはりクレイジーケンは僕らの期待を絶対に裏切らない。 中盤での「そこまで云わせといて」→「MITSUBACHI」→「SOUL FOOD」のセクシー3部作がたまらなく良かった。やっぱり一番興奮するのはミディアムスローのテンポ。途中テツニによるシャイライツの名曲Oh Girlのフレーズをチラリと挿入し最後は洞口信也の低音ボイスが心地良い「BOMB! CUTE! BOMB!」を絡めて締め括る。クレイジーケンバンド流儀の甘く、切なく、やるせない甘茶ソウルを堪能した。アップもので飛び跳ねる周囲の元気のいいお客さん達はどうしてもこの辺の曲で動きが止まってしまうが実にもったいないことだ。このミドル責めこそ踊る時にいちばん気持ちのいいテンポなのにといつも残念に思うわけだ。 僕の前にいた女性客は、乗りは良いのだがのけぞる癖があった。残念なことに前のめりに身体が反応する僕とはずっとぶつかり合う。何度もお互いに謝りながらも頭をぶつけ合う。これもスタンディングライブの醍醐味か。目をつぶり揺れるナデ肩、前の客とぶつかり合うハゲ、その光景に失笑するシュッとしたナオン。 そして、そんなことはおかまいなしにステージは進行する。 キラーチューン「漢江(はんがん)ツイスト」でライブは最高潮に達する。2時間物の韓流映画をギュッと封じ込めた壮大且つ騒々しい名曲でたった5分ほどの曲間で泣いて叫んで激高し倒れ伏すドラマティックな展開。ミディアムスローのテンポで紅蓮の炎を吹きトンガラシを擦り込まれるようなレッドホットな気分というのはわかりにく過ぎるか。あまりにもカッチョ良くて、聴き入っていたため間奏でのツイストに乗り遅れて踊れなかったことは今回のライブの一番の心残りである。 ラストは「ガールフレンド」夏のライブのエンディングはこの曲しか考えられない。メンバー紹介も兼ねて何度もリプライズされるサビが気持ち良過ぎる。ナデ肩の男の眉間にしわをよせた表情は苦渋ではなく幸せの絶頂を迎えている表情であるし、僕は前方の客に謝ることも忘れ頭をぶつけ続ける。横目でちらりとシュッとしたナオンを見ると、横山剣を見つめる目がハート型になっていた。 こうして3時間弱の音楽の渦が舞うライブが終了し、もう一度元町サウスチャイナタウンにある酒場を目指すチーム“ハゲとナデ肩”+シュッとしたナオンでありました。 恐々 日本橋店 渡辺正 |
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