お久しぶりです。 ハイファイ堂 日本橋店 永井と申します。 お盆をすぎて、少し過ごしやすくなってきました。 とはいえ、まだまだ熱い日中、なるべく水分補給などに気を使って 健康的に夏を乗り切りましょう! さて今回は、「ひょっとしてもう、CD買わなくてよくなるのか?…」 と題して、最近興味深かった音楽ストリーミングサービスについてお話しします。 |
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音楽の再生用ソフトが世に出てから幾星霜。古くはエジソンのシリンダーレコードからSP・LP・オープンリール/カセットテープ・CD・LD・DVD・MD・Blu-ray…様々な物に音(映像)が記録され、流通してきました。形は変われど、物体としてのソフトを買って手に入れる、という時代が長かった訳ですが、現在2017年8月、いよいよそういった「フィジカルなマテリアルソフト」以外のもの…デジタル配信での音楽の楽しみ方がとても身近になってきました。 主にCDで音楽を手に入れるようになった1980年代後半から20数年、1995年にPCを手に入れてからしばらくして、アップル社がiPod/iTunesを発表します(今調べたら2001年のことでした)。 この時期は、CDプレーヤーで音楽を楽しむ時間より、MacにCDを読み込ませiTunesに登録してPCで音楽を聴く(そしてiPodで持ち歩く)時間のほうが増えた、僕にとっての大きな転換期でした。 しかしMacに取り込むならCDはいらない?とはならず、その頃から最近まで、相変わらず家にはCDが増え続けました…。やはり好きなアーティストの作品はデジタルデータだけでなく、「盤+ジャケット」を物として手に入れたい、という思いが強いからです。 iTunesストアなどでダウンロード販売されている音源を買うこともあるのですが、盤やジャケット、クレジットなど「現物」の無いデータを買う、というのは所有欲が満たされず、何とも物足りないですね…。 |
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さて、時をさかのぼること数年前の2012年に、ソニーのネットワークサービス「Music Unlimited」が始まりました。PCのブラウザやゲーム機Play Stationのアプリなどもあり、ものすごい数の曲が定額料金で聴き放題になるというもの(2,000万曲以上とうたわれておりました)。ここにはアーティストや音楽雑誌がコラボレートしたプレイリストなどがあり、そこで流し聴きしていた中で新しいお気に入りアーティストが見つかったりしました(大好きなラジオ番組「菊池成孔の粋な夜電波」もコラボしていて、番組のスポンサーだったのも懐かしい思い出です…)。しばらくはこのサービスで聴き逃していた作品や、出たところの気になる新人アーティストなどをよくこれでチェックして、気に入った作品があればCDを買う、という楽しみ方をしていました。便利なサービスだな、と気に入って使っていたら2015年3月に突然の閉鎖。その後もよく似たサービスが次々と現れていましたが、横目で見つつ決定的なものを待っておりました。 |
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そんな中、ここ何年かの間に「Music Unlimited」と似たシステムのサービスが次々と現れてきました。色々と試してみましたが、Apple Music/Amazon Prime Musicなども気になりつつ、今のところ使ってみてとても自分に合っていると感じるのが「Spotify(スポティファイ)」という音楽ストリーミングサービス( https://www.spotify.com/jp/ )です。最初気になったきっかけは、Twitterやtumblrでアーティストが自分の新作を発表するとき、まずこのSpotify上でお披露目、その後ダウンロード配信やCD発売する、といったものをよく見かけるようになったからでした。まだiTunesストアでの発売していない時期にここだけで聴ける新曲、などをチェックしたくてサービスに登録。お試し期間に色々と使ってみたらとても便利で、今のところずっと継続して利用しています。 |
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すべてを試している訳ではありませんが、Spotifyの他のサービスと比べて気に入っているところをご紹介します。 まず、現在「4,000万曲以上」だという登録されているアーティスト/曲が幅広い!各サービスにそれぞれ登録アーティストの特徴があるのですが、特に「僕の好きなアーティストはだいたいSpotifyを気に入って登録しているのでは?」と感じられるほど、かゆいところに手が届きます。今まで新譜が出たらCDを買う、と決めているようなアーティストをSpotifyで検索すると、まず登録されており、自分が見逃していたここ数年のリリース物が見つかる事が多いです。「あ、この人○年前にこんな新曲リリースしてたのか!」といった発見が続々とありました。そして、自分が持っているCDよりも後にリリースされた「リマスターバーション/デラックスバージョン」がたくさんあったことも驚きました。そして、すぐにそういった曲が聴けてしまうのは、やはり嬉しいです。 (例えば、最近好きになったカナダのグループ「The Courtneys」。噂をきいてCDを買ったのは今年(2017年)の6月。最新リリースの2ndアルバムを手に入れたのですが、このときもう1stアルバムは入手困難になっており、聴きたいなと思っていたのです。 で、Spotifyに入会し検索すると「お!」その1stが聴けるではありませんか!聴ける!嬉しい! …こういうことが、たくさんあるので楽しいのです。) 次に色んな端末で使える便利さです。家のPCでお気に入り登録した曲が、iPhone/iPad/Play Stationアプリや、別のPCで簡単に聴けます。そして特に外出時などに役立つ機能としてオフラインで曲が聴けるように、Wi-Fi環境時に曲をダウンロードできる機能もあり、外でパケット料金を気にする必要がありません。ストリーミングに関するストレス(「パケット料金が気になる/電波状況の悪いときに音途切れなどが気になるなど)がないのは本当に素晴らしいと思います。 「Browse」という画面でアーティスト名や曲名、ジャンルなどを検索し、見つけたアーティストを「フォロー」すると「アーティスト」画面に登録されていきます。iTunesと同じように左側に「プレイリスト」欄があり、気に入ったアーティストや曲のリストを自由に作ることが出来ます。家で最初にSpotifyアプリを入れて使ったときに驚いたのが、iTunesのプレイリストが下の方に出てきたこと!PCに入っているiTunesに登録している曲などを設定で「ローカルファイル」としてSpotifyに読み込むことによって(仕様上、全てでは無いようですが)、まるで別のWEBブラウザを使い始めたときに今まで使っていたブラウザのブックマークを取り込めるような感じで、自然にSpotifyとiTunesの登録曲が並びます。 そして次に細かい機能ですがとても便利だと感じるのは、家でPCでSpotifyを聴いているときに、手元にあるiPhoneのアプリを立ち上げると、リモコンのように使えるところ。PCの前でSpotifyを聴いていて、そこから離れてしまっても、iPhoneアプリでPCから再生される曲を選んだり止めたり出来るのはとても便利です。特にiPhoneの音量調節(サイドについている物理スイッチ)を押すと、PCから鳴っている音量が調整出来るんです!この機能を発見した時には、軽く感動しました。 |
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もちろん、ちょっと惜しいなという点もあります。まずは、Spotifyに登録を拒んでいるらしいアーティストもちらほら見られること。当たり前ですが、こういったサービスを嫌いな方もいるでしょう。例えば現時点でKING CRIMSONの曲は全く登録されていません。そして版権の問題があるのでしょう、登録されているアーティストでも特定のアルバムが無かったり、アルバムも登録されているのに特定の曲だけ聴けなくなっていたり、というものもあります。Spotifyでは各自が作ったプレイリストを公表すると他の人がそのリストを利用出来るという機能もあるのですが、誰かが作った「KING CRIMSON」というリストには、関係アーティストの曲しかありませんでした…残念!しかし、今後(当初多くのアーティストやレコード会社がiTunesへの登録をしぶっていたがのちに登録し始めたように)登録アーティストはどんどん増えていくと思われ、そのことは期待出来ます。しかし、今登録されているアーティストがもしある日急に登録をやめたら、せっかく登録していつでも聴けると思っていた楽曲が聴けなくなってしまいますね。そう、『「CDを買う」ことで「買った曲を所有する」のとは違ったものだ』という所は認識しておく必要があると思います。 最初のほうで書いた「ダウンロードで買ったものでは所有欲が満たされない」というのと同じで、いくらこういったサービスが便利でも、やはりまだ当分は、本当に好きなアーティストの作品はCD盤などで持っておく方が良さそうですね。 そして肝心な音質。ストリーミングが主なサービスなのでやはり高音質のデータは難しいのでしょう。現時点でのストリーミングのビットレートが、 「 ~96 kbpsスマホでの標準品質。 ~160 kbpsデスクトップおよびWebプレイヤーでの標準品質。スマホでの高品質。 ~320 kbps(Premiumユーザー限定)デスクトップでの高品質。スマホでの最高品質。」 とのことです。小型スピーカーなどで小音量でBGM的に聴くには気になりませんが、ガッツリ大音量で細かい音も楽しもうと思うとやはりCDやハイレゾ音源には負けますね。 …と、最近のデジタル配信サービスについてお話ししてきましたが、「盤を買うか買わないか問題」はあくまでデジタル音源のお話。アナログレコードの音質や情報量には到底及ばないと思っておりますので、LP/EPなどはずーっと買い続けており、これからも買い続けると思います! (※こちらはどんどん増え続け、置き場所問題でいつも定期的に家族会議が開かれております。) |
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こういったデジタルストリーミング音源を聴くとき、特に高域がシャキシャキとした感じに聴こえることが多い印象があるのですが、そういうときにビンテージのアンプ(特に真空管のもの)をつなぐと、かなり音がアナログチックになり、良くなります。最近自宅のPCにつないでいる真空管アンプは、出力はトランジスターを使ったハイブリッドタイプなのですが、かなり真空管ぽい味わいが感じられるので、デジタル配信の音源が前よりもとても聴きやすくなっていて、PCでの音源を聴く時間が増えました。 皆様も、デジタル音源を聴いていて「ちょっと堅いかな?」という印象をお持ちでしたら、是非↓こういった真空管アンプをお試しください! (ハイファイ堂では、音源やプレーヤーを持ち込んでいただいて、店頭のアンプにつないで試聴も出来ます。お近くの店舗のスタッフまで是非お問い合わせください。) ではまた! |
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LUXMANの名作真空管プリメインアンプ、SQ5B。後に一世を風靡するSQ38シリーズの先駆け。より分厚い、濃いサウンドが楽しめます。 |
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ortofonのハイブリッドアンプ、Ta-Q7。プリ部の真空管の味わいがしっかりと出て、小型ながらその音質に定評があるモデルです。 |