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今もいい音・dsc D/Aコンバーター 大須本店 越濱 靖人
今ほど,過去のメルマガをずっと読んでいました。何か今までにないモノを特集したいなあと思い,D/Aコンバーターに着目しました。その中でもdcsはいつも期待以上の音質を発揮してくれるので特集したいと思います。
上記写真は「dcs 954/2」という業務用d/aコンバーターで,同社のエルガー,ディーリアス,955といった名機の中でも特にすばらしい音質のd/aコンバータです。エルガーより厚みがありしっかり出る。線が細くならずしっかり描ききる。コンシューマー機より濃厚な音色。圧倒的なピアノの質感。特に細やかなタッチや肌触りがよく,肉付きある生っぽい音質がすばらしい。1世代古いですが,私はこの業務用954/2がdcsの中でも一番好きなのです。
dcs社は「データ・コンバージョン・システムズ」の略です。ネーミングの通り「変換や復元」に強そうです。特に有名な「エルガー」D/Aコンバーターは,それまで絶頂にあったアメリカのワディア社を奈落の底へたたき込んだ,超高性能モデルでした。
dcsは特にD/Aコンバーター,D/Dコンバーター(デジタルtoデジタル),マスタークロックジェネレーターなど優れた機材を世に出しています。最近では最高級モデル「スカルラッティー」を発表し世間を賑わせています。
では,なぜdcsは良いのでしょうか?長所を考えてみました。
1.圧倒的な質感の良さ
1996年,ワディアが全盛の頃daコンバーターは「厚み・キレ・パンチ・色濃く」といった音質が好まれていました。確かにJBLなど鳴らしてみるとワディアは圧倒的な迫力とスケールで迫ってきました。この時に誕生したのが「エルガー」でした。その「繊細感」「更に広いスケール」「はっと思わせる空気感」には当時,度肝を抜くインパクトがありました。私も全く知らなかった時代にそのピアノの音を聞いた時,すばらしいコンバーターだと思いました。その時の機械は「dcs 950」でした。
2.多彩なマニュアル操作
当時のdaコンバーターはデジタルを入力して音を出すだけ,といったかなりシンプルな機能しか持っていませんでした。その中でフル・マニュアル操作で操ることが出来るdaコンバーターはdcsが初めてといって過言ではないでしょう。多くのデジタルフィルター,エンファシス,なんと内部の温度計まで付いています。これらの機能はデジタル・オーディオ・マニアがほしいと思っていた機能でした。とことん追求できる・超マニアックdaコンバーターだったのです。
3.幅広いサンプリング周波数とアップコンバート
1990年後半でも32/44.1/48kHzしかロックしなかったdaが多い中dcsはすでに32〜192kHzをフルスペックで対応していました。これは非常に画期的なことでアップサンプリングの基礎となりました。当時はいかに44.1kHzのcd信号を良い音にするかを競い合っていました。dcsは44.1→192kHzへアップコンバートすることで今までにないきめの細かさと圧倒的な情報量を世に示しました。これがアップコンバートとハイサンプリングの原点となりました。今でこそエソテリックや各社メーカーが普通のようになっている機能ですが,dcsが元々の親分なのです。
更にdcsはSACD信号(DSD)も変換することが出来,つまり自分の手持ちのcd盤をSACDに変えてしまうと行った芸当が可能です。このDSDコンバート音質は実に濃厚で通常の音質に戻れないほどの高密度音質を誇ります。
4.クロック備えて音質向上
dcsには必ず「クロック」端子があります。これはcdトランスポート・ddコンバーター・d/aコンバーターの時間軸を揃える機能です。これにより極度にジッター(デジタルノイズ)が軽減され,見通しの良いクリアな音質が得られるようになりました。もともとは映画の映像と音声を合わせる為に出来た機能ですが,これをオーディオ・ファイルに持ち込んできたのがdcsということです。もともとビクターやデノンなどその機能を持ち合わせていましたが汎用性が少なく,且つその音質変化はさほど大きくなかったことからあまり評判にはなりませんでした。dcsは同社が出す数々の機材をマスタークロックすることで大きな効果を世に示しました。エソテリック「G-0s」などは,dcsが無かったらもしかしたら生まれなかったかもしれません。
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