こんにちは!いよいよ春到来!暖かな季節がやってまいりました!高速道路の料金改訂で外出される機会も増えているのではないでしょうか?とはいえ環境の変化の激しい季節、日々の忙しさに追われ何かとお疲れなこんなときこそ、休日はゆっくりと音楽と向き合いたいものです。体調を崩しやすい時期ではありますのでお体にはお気をつけ下さい。申し遅れました、先日京都から移動してまいりました大須本店の水野です。京都ではたくさんのお客様にお世話になりました。今後は大須本店で心機一転頑張りますので、今後ともよろしくお願いいたします。さてメルマガですが今回からは私の好きな英国系のスピーカを数回にわたってご紹介させていただきます。まず第一弾は私の一番好きなメーカーであるROGERSのLS3/5Aの専用サブウーファーAB-1を紹介させていただきます。 |
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ROGERSといえば1970年代に発表されたBBCスタジオモニターのLS3/5Aが有名です。コンパクトとは思えない雄大なスケール感、アナウンサーの声をモニターする為のスピーカー(GRADE2)として開発され、その生々しいボーカルや艶やかな弦の響き、現代においても輝きの色あせない魅力的なスピーカーです。そのまま鳴らしても十分いい音ですがこのスピーカー、レンジが狭い。下は80Hzから上は17,000Hz程度、中域にぐっと密度感があるものの特に下が出ない。そうした悩みを解消する為に後年に開発されたのがこのAB-1です。 |
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写真でお分かりの通り、2本ペアです。いわゆる普通のサブウーファーと違い、上にLS3/5Aを乗せてステレオで低域を増やしてしまおうといスタイルです。デザインのマッチするスタンドとしても使えるため一石二鳥です。正式名称はシンメトリカリーローテッドサブウーファー、LS3/5Aに使用されているウーファー(KEF B110 12,5cn口径)をそのままエンクロージャー内に組み込み、低域55Hzの再生を可能にします。当時の定価は¥130,000ペア、あまり長い間は売られていなかったようで新品でご覧になられた方も少ないのではないでしょうか?さてそれでは次はいよいよこいつの内部やセッティングに迫っていきましょう |
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こいつはールボーイ型のように全面、もしくは背面ではなく横に片側一個づつバスレフポートが開いております。そのため左右を入れ替える事によって、ポートの向きを内側、もしくは外側に向ける事ができます。セッティングの音質の差については後ほどご紹介します。 |
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背面は下と上にスピーカー端子があり、下からアンプからの信号を入力、上部からはLS3/5Aに信号をアウトする為の端子です。低域をカットする事なくダイレクトにLS3/5Aへ信号が入力されつ為、AB-1+LS3/5Aの両ウーファーが駆動する形となります。 |
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いよいよ中身です。裏蓋が12本の木ねじを外しいよいよ中身をのぞくと…なんとウーファーが上向きにマウントされてました。コーン紙には発砲スチロールの破片が…横のポートから入ったのでしょう。駆動するたびにコーン紙の上で踊っていたのでしょうか?製品の中をあけるとこういった発見があるのが楽しいです。 |
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この上向きのウーファー、シンメトリーローデットテクニックと呼ばれ、上向きのためコーン紙の前後の容積をほぼ同じにすることによってコーンがスムーズな動作ができるようになり、クリアな低域が生まれるとの事です。ユニットはKEF B110、LS3/5Aのユニットと同じです。エンクロージャー内はスポンジが貼付けてあるだけ、巻いてずぽっとはめているだけのシンプルなものです。裏蓋の裏っかわにはハイパスフィルターがマウントしてあり、ここで高域をカットしてAB-1のウーファーに入れているようです。この無骨でシンプルな作りのAB-1、LS3/5Aに組み合わせるとどんな音がするのでしょうか? |
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まずはAB-1無しのただのLS3/5Aです。コンパクトとは思えないスケール感のあるサウンドなもののやはり低域が物足りない。とくにジャズのウッドベースの力感や弾力性が乏しく、本来の中高域の艶やかさがややきつい印象。やはりここはAB-1の出番です。 |
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AB-1登場!お〜〜!ぐっと中低域に厚みが出る、特に中域が色濃くなる印象。さすがは専用のサブウーファーだけの事はある。ただ、同時に問題点も急浮上!なんじゃこのゆるゆるぼあぼあの低域は〜!締まる低域とはおおよそ言いがたいトロミのついた印象、さらに今まで見通しの良かった中高域が濁りだしてしまいました。これはいかん、まずは足回りをかためてみようと考えました。 |
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まずはAB-1とLS3/5Aの間にインシュレーターをかましました。低域が締まった印象、しかしまだ緩い。AB-1の下にもインシュレーターと人口大理石をしいてみる。 |
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いい感じです!緩みがちな低域が締まり、弾力が出てきました!ウッドベースも力感、量感とも十分!さらに内側を向いていたポートをそれぞれ外側に向けてみると…いままで真ん中でもやもやと漂っていた中低域がすっと締まり音場感も広がりが出ました。やはりポートは外側に向けるのが良いようです。しかし一貫して改善しないのがLS3/5A本来の見通しの良い艶やかな中興域が出ない。そこでアンプのA、Bを使い、A出力をAB-1を通さずダイレクトにLS3/5Aへ、B出力をAB-1へ、さらにAB-1とB出力の間にFOSTEX R100Tを組み込み低域のレベル調整ができる様にしてみました。 |
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まず違うのがLS3/5Aの澄んだ中高域の艶やかさ、LS3/5Aのみでならした時のようなおいしい部分が再び出るようになりました。AB-1をいったん通す事がLS3/5Aそのものの音質を劣化させているように感じました。さらにR100Tでアッテネートすることにより出過ぎていた低域をコントロールできる様になりました。AB-1自体にレベルコントロールがついていないため常に10の音量が出ていましたが、5くらいで十分です。それ以上あげると再び中低域が濁った印象になりました。 |
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今後の計画としてはAB-1専用の駆動力のあるパワーアンプを追加し、バイアンプのように鳴らしてみたら面白いんじゃないかと思います。またバランスの良いクロスオーバーを研究して、低域をAB-1のみで鳴らしてみるのも面白いかもしれません。まだまだ課題があるのでもっと良い鳴らし方を日々研究していこうと思います。英国のヴィンテージ系スピーカーは裏技のような鳴らし方が多数存在するので鳴らしがいがあって、僕的にかなり魅力を感じています。もっと良い鳴らし方や魅力をご存知の方は是非お教えいただければ幸いです。またご質問等ございましたら是非お気軽にお電話ください。今後ともよろしくお願いします。052-249-2600 大須本店 水野 宏規 |