GRADO RS-1 発売は1996年で現行モデルはRS-1eという改良モデルでラインナップされています。現行モデルは今のトレンドに倣ってか高域の伸びを意識した音質になっていますが、RS-1の音はスピーカーに例えるならばまさにALTECサウンド。中音の質感、量感と温度感、そこから膨らむ独特な音場感が本当に素晴らしい。マホガニーのハウジング部分以外、実に華奢なヘッドホンなのにここまで表情豊かな音質を引き出せるのかと感動した記憶があります。 しかし最大の欠点があり、それはやはり装着感で純正のイヤーパッドの表面が荒くザラザラな上に出音部分のパネルが非常に固く、ここに耳が当たって痛くなりさらには痺れを伴い音楽をまともに聞いていられなかったです。当時、色々なメーカーから発売していたオンイヤー型ヘッドホン(耳を覆うタイプでなく、耳に当てるタイプのヘッドホン)のイヤーパッドだけを買い、出音部分の硬いところにはめて聴いたりしたものです。
SONY MDR-CD3000 私をヘッドホンオーディオ街道に導いてくれた感慨深きヘッドホン。こちらもスピーカーでたとえるならば「TANNOY GRF」のようなバックロードホーンサウンド。ヘッドホンでありながら残響音が聞こえ、音に立体感があるという、聞いた人にしかその良さが解らない。ヘッドホンではある種独特だけどコンサートホールで聞く音に近い、ある意味では自然とも言えるサウンド。私はこれにやられました。ヘッドホンの装着感も抜群。社内に「耳型職人」と言われるスタッフを擁しているだけあって装着感には非常に気を遣った形(デザインコンシャス)をしています。ヘッドホン自体、400gと今日びのヘッドホンと比べ非常に重く大型のヘッドホンですが、その装着感の良さでかその重さがあまり苦になりません。 発売が1991年、発売終了が2004〜2005年頃と国産ヘッドホンでは異例のロングランを誇ったモデルでした。 ネックになるイヤーパッドの劣化ですが、嬉しいことに現在、社外品ではあるものの販売がされているので交換すればとりあえずは楽しめます(ヘッドバンドとアジャスターバンドも同様に劣化していますがこちらは代替品が出回っていません)。私もこのヘッドホンを購入するや3回はイヤーパッド交換をした記憶があります。それだけ愛着を持って使って来れたヘッドホンでした。