こんにちは。大須本店の佐々木二朗です。今年は数多くの偉大なミュージシャンが亡くなっていますが、また1つ残念なニュースが舞い込んできました。ブルーノートで数多くの録音とレコードカッティングを行ってきたルディ・ヴァン・ゲルダーが8月25日にお亡くなりになりました。 |
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私がヴァンゲルダーの凄さを実感したのは、KENNY BURRELLのINTRODUCINGを聴いた時です。 確か2nd盤のヴァンゲルダーがカッティング、刻印が入ったものを聴いたのですが、まるで耳元で叩かれているような、打楽器の音像の大きさに心底驚いたものです。 その時分はまだヴァンゲルダーの偉大さを理解していなかったので、その後、ヴァンゲルダー刻印の無いレコードを買ってしまい、コンガの鳴り方があまりにも平凡でとてもがっかりしたことを今でも憶えています。 |
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ヴァンゲルダーが証明してくれたように、オーディオといっても、やはりソフトも大事であって、ハイファイ堂にもレコード店がありますが、オーディオメーカーが独自にレコードレーベル等を立ち上げてソフトを発信している会社も多く存在します。 |
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その中でもB&Wはオーディオでの知名度からすると、ソフト部門はかなりマイナーではないでしょうか。 B&W Society of Sound http://www.bowers-wilkins.jp/Society_of_Sound ここでは主にインターネットを使ったデータでの音楽配信を行っている様です。ラインナップにピーター・ガブリエルとかビョークの名前が見受けられたのでさすがアート性の高いミュージシャンを選んでいるなぁ、という感想です。(もちろんクラシックもあります。) |
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Society of SoundではB&W購入者がユーザー登録を行うと無料のトライアル期間のサービスが受けられるようです。 さて、Society of Soundは現在のB&Wの音楽配信サービスですが、90年代にはレコードレーベルも行なっていました。(ここからが今日の本題です。) |
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B&W Music https://www.discogs.com/ja/label/24313-BW-Music 上記のリンク先をクリックして頂けると、ディスコグラフィーがご覧いただけるのですが、このラインナップが、、、なかなか珍奇といいましょうか、メルマガをご覧になって頂いている方の中に、知っているミュージシャンの名前を見つけることができる方がいらっしゃるでしょうか? |
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ジャンルでいうと、ワールドミュージックよりのコンテンポラリージャズが多く存在します。それに一番馴染みが薄そうなのは、トランスやハウスといったエレクトロニクス・ダンス・ミュージック、いわゆるクラブ系の音楽があります。 |
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オリジナル・ノーチラスがジャケットのこのアルバムはハウスミュージックのDJミックスCDです。 https://www.discogs.com/ja/Various-Full-Bass-Speed-Garage-Essentials/release/2664269 わざわざオリジナル・ノーチラスでハウスミュージックを聴く人なんていたのでしょうか? ※収録曲↓ |
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(B&Wの名作中の名作スピーカー、オリジナル・ノーチラス。昨年はハイファイ堂に10年ぶりぐらいの入荷がありました。) |
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Music With No Name Volume One https://www.discogs.com/ja/Various-Music-With-No-Name-Volume-One/release/724351 こちらは、ワールドミュージックとクラブミュージックをごちゃまぜにしたような内容 ※収録曲↓ |
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我々が普段抱いている、B&Wのイメージとはかけ離れた、ちょっと理解しがたい内容ですね。 これも馴染みが薄いトランスミュージックです。 Total Eclipse – Delta Aquarids ※収録曲↓ |
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資料によると、B&W Musicはモントルージャズフェスティバルのスポンサーをしていた様です。モントルージャズフェスティバルはワールドミュージックも積極的に取り入れていたので、その辺のラインナップはわかります。しかしハウスミュージックやTotal Eclipseのようなトランスなどとの関わりは、これ如何に? |
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Minipod/Blueroom ハイファイ堂でも稀に入荷するBlueroomのスピーカー。このデザイン、どこかB&Wをより過激にしたような印象を受けませんか?実はBlueroomというのは上記にあげたTotal Eclipseのアルバムも出しているトランスミュージックのレコードレーベルなのです。そしてMinipodの設計にはやはりB&Wが関わっています。トランスミュージックとB&Wにはやはり何か関連がある様です。 |
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(こちらは本家B&WスピーカーSignature 805です。) |
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トランス・ミュージックという音楽は、根底に70年代アメリカで誕生したサイケデリック・ヒッピーカルチャーと関わりが深い音楽です。(そのためサイケデリック・トランスとも呼ばれます。)そしてヒッピーカルチャーとワールドミュージックは地続きの文化でもあります。この辺りにB&Wとトランスの関わりがあるような気がしてなりません。 |
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オリジナル・ノーチラス設計者のLaurence Dickie氏のヒッピーのような風貌、、、 |
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Laurence Dickie氏は南アフリカのメーカーVIVID AUDIOでGIYAというこれまた個性的なデザインのスピーカーを作っていますが、GIYAという名前もアフリカのズールー族のダンスから名前を取っている様です。ここでもワールドミュージックの影響が垣間みれます。 |
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ワールドミュージック、ハウスミュージック、トランスミュージック、サイケデリック、ヒッピーカルチャー、、、これら一連のこれまでオーディオとは関わりの薄いと思われていた文化の理解が深まればB&Wの聴こえ方もかわってくるのかもしれません。そして、それらの影響は現代のB&WにおいてもSociety of Soundにおいてピーター・ガブリエルとビョークの名前が見受けられる以上、確実にその傾向が引き継がれているのではないでしょうか。 ※ピーター・ガブリエルはワールドミュージック、ビョークはワールドミュージックとクラブミュージックの両方の影響が濃いミュージシャンとして有名です。 |