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QUADの味比べ
ハイファイ堂メールマガジン第669号 大須本店
いよいよオーディオの季節が来ました!気温の低下とともに暖かい場所が恋しくなる時期です。
そこで今回は暖かい音色が持ち味、世界初のコンデンサースピーカーであるQUAD ESLを取り上げてみたいと思います。
知らない方にはデロンギかどこかの暖房機かと言われたりもしましたが
なるほど、そう見えなくもありません。
そう言われればなんとなく近くにいるとあったかくなるような気が・・・
冗談はさておき、最後までお付き合いください。
大須本店 及川 哲治
これぞ世界初のコンデンサースピーカーESL。発売は1957年と、半世紀以上前になりますがその魅力は健在。
これでなければ出ない表情があり、未だ人気のあるモデルです。
初めてこのスピーカーを聞いたときは衝撃的でした。
音場が独特で後ろ側に広がりが感じられます。瑞々しく艶のある音色で非常にゆったりと音楽を楽しませてくれるスピーカーです。
至近距離でどっぷりとこの世界に浸ってみました。
これをベースに今回はQUADの味比べをしてみたいと思います。
幸い店頭にいくつかQUADがありますので、ベストな組み合わせを模索してみました。
CDプレーヤーはこれ。
STUDER B226 Signature。
CDプレーヤーもQUADがあれば良かったのですが同じヨーロッパ系同士ですので問題なし。
フィリップスドライブのアナログライクな太く聞き応えのある音色はクセになります。
試聴盤はクレーメルのコンサートの後のコンサート。
ピアノとバイオリンの掛け合いを楽しんでみます。
まずは33+303のコンビ。1967年発売ということで、こちらも約半世紀前のモデルになります。QUADといえばこのあたりを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
レトロな外観、小ぶりで上品なイメージの原点とも言えるかと思います。
トランジスタながらも真空管に似たニュアンスを持ち、温かみと厚みのある音色で朗々とクレーメルを鳴らしてくれました。
このコンビで使う場合は気になりませんが、パワーの303が電源スイッチがありません。。。。
電源を切る場合にはその都度コンセントを引っこ抜くという荒々しい技を状況によっては毎度しなくてはならず、少々使い勝手の点で気になるところはありましたがそれを補って余る品質だと思います。
続いて44+405コンビ。44が79年発売、405が76年発売で個人的に同世代となるモデルです。今回は44も初代モデルをチョイス。
余談ですがファンクションボタンがグレーのタイプが後期モデルとなります。
前期モデルの方が身が詰まった色濃い音色で好みの為こちらを合わせてみました。
パワーアンプの405は303同様放熱板が前面にある特徴的なデザイン。
音色の方はというと、33+303コンビよりもすっきり目で高域にキレがプラスされた印象です。
中域は33+303に比べ若干ですが物足りなく感じるところもあり、高域はところどころキツく感じましたがバランスはこのコンビの方が良いと思いました。
最後は34+306のコンビ。34が1982年、306が1986年発売です。
モデル名から推測すると発売も33と44の間っぽいですが実は44の後です。
ファンクションボタンにここでようやくCDが登場するところに時代の流れが感じられます。
パワーアンプ306もついに電源ボタンが前面に!
使い勝手は飛躍的に向上しています。
肝心の音質ですが前の2セットと比べると残念ながら勝負になりませんでした。
それらしくは鳴るような感じがしますが全体的にばらけていてまとまりがなく、定位もイマイチ。
音が前に出てこない印象です。
ボリュームも結構なところまで上げないとダメで鳴らし出した時は少々焦りました!
ピアノの音がダマになりつながっていて分離しておらず、ぼわついてぼやけてしまいます。
前の2セットでは演奏しているステージが浮かび上がりましたがこちらは遠くで鳴っている感じ。
相性は同じQUADながら非常に残念という結果に。
やはり年代が違うせいでしょうか、そのポテンシャルはこの組み合わせでは活かしきれていないと思いました。
この条件の中では、個人的には僅差でESLには33+303が最も好みでした。
艶のある音色としっかりと感じられる音の消えゆく余韻等、派手さはありませんが上品で落ち着いた感じは素材の良さが引き立つ気がします。
聞いた後の満足感、充足感があり、古くても良いものは良いと再認識させてくれる組み合わせです。
ただ、レンジは広くはありませんので大編成よりも小編成の室内楽の方が相性が良いと感じました。
オーケストラがメインの方は44+405の方をお勧めします。
どちらも使い勝手の悪さも可愛く見えてくるから不思議です。
永く愛着を持って使って頂けること間違い無しです。
機会があれば同社の傑作真空管アンプの2+22も試してみたい思います。
大須本店で試聴可能ですのでご興味のある方は試聴下さい。
最後までお付き合いありがとうございました。
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