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私のお宝 「真空管アンプ製作講座」 2005年9月23日 音迷人 第2章:目から鱗 作業工程と半田付け 前回までは少々頭を使う座学でしたが、いよいよ今回からは実技へと移ってゆきます。キット組立で一番重要な「半田付け」をしっかり覚えましょう。 |
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作業工程について順番にお話します。 1.キット部品確認作業 間違いなく部品が届いているか部品表、回路図などで確認します。一般的には部品表が入っていて確認できるのですが、今回のキットでは作られていませんでした。キッと覚える為に自分で作りなさいと言う親心でしょうか。私はパソコンで表を作りチェックしましたところ、当然ながら欠品や間違いはありませんでした。 2.部品取り付け作業、ネジ止め等 シャーシにトランス、コンデンサー、真空管ソケット、ターミナル類を取り付けます。今回のキットは既に出荷時取り付けてくれていますので、緩みは無いか、曲がりは無いか等調べながら、その構造、取り付け方などを観察し覚えて下さい。次に造る時に役立ちます。 3.配線作業 回路図に基づき部品間をつなぎ合せる作業です。一般的に半田付け、ピン・ソケット、ターミナル接続などで行ないます。アンプ造りの作業の大半は半田付けですので、半田付けがアンプの成否を左右します。覚えてしまえば簡単。後述の「特別講座」でこの腕を上げましょう。 4.配線確認 配線図通り部品に間違いが無いか、接続は正しいかを確認します。 5.測定・調整、試聴、完成 真空管を正しく挿入し回路図に指示のある数点の電圧値をテスターで確認したら、負荷をつないでハム音が最少になるように調整します。後は音声を使って暫らく再生、異常が無い事が確認できれば完成です。(以前の「私のアンプ造り」もご参照ください) |
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☆☆ 半田付け作業について「特別講座」 ☆☆ この世界は電気品製造現場では量産と、品質保証の観点から、大変なノウハウや、コストを必要としておりますが、我々のそれは基本を抑えれば半田個所の数も少ないので心配ありません。半田付けには癖も含めていろいろ流儀があるし、長所、短所もありましょう。音迷人流は実績が有りますので安心して下さい。では項目毎に進めます。 |
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お詫び:掲載する写真についてですが、「孤軍」奮闘中につき実演者やカメラマンが居りません。したがって写真は全て平面に置いてイメージを示すように並べて写すしかありませんでした。絵コンテと思って下さい。(口八丁には近付けたけれど手八丁はまだまだ・・しかし涙ぐましいな〜ジーン) 舞台裏の写真:左側に件の単焦点カメラ。100円ショップで買った虫眼鏡とたまたま焦点が合う高さと1cm違いのキッチンコーナー台です。ではこの写真を撮ったカメラは?そうです設備投資をしたのです。次稿から使用します。 |
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1.解説 ☆半田:錫と鉛を主成分とする合金で、熱で溶かして金属の接合に使います。融点は含有率によりますが180〜220℃位だった思います。ソルダーペーストと言って半田を付けやすくする化学的な補助材が有りますが多用しない事です。金属を清浄する働きがあるため、残ると長時間で金属を侵してしまい接触不良や断線の原因になります。附属している糸半田が使いやすく一般的です。糸半田にはより安全な松脂など(フラックス)が芯に入っていますのでペーストは使いません。 ☆半田ごて:軸に仕込まれた電気ヒーターでこてを加熱し、半田を溶かし且つ接続箇所に半田を供給する道具です。半田付けはリード線など母材の金属を溶かして接合するのではありません。半田で絡める、濡らすと言うイメージです。この溶けた半田を絡める事を以下「メッキ」と音迷人のみ言い張ります。半田を盛ると言う方も居られます。感じは出ていますがつい盛り過ぎそうです。実は盛りすぎは良くないのです。アンプ製作用ではこて先サイズや熱容量から30〜50Wくらいが良いでしょう。鋳掛け屋さん用か500Wのこても有りました。アンプが焦げちゃいますね。 ★注意:半田ごては300℃以上の高温になりますから、火傷を負ったり、焦がしたり燃やしたりしないように、十分注意して下さい。また半田を溶かし過ぎ鏝先から滴らない様に。従ってこて台を準備してそこに置いたりその上でメッキしたりしましょう。私は使わない陶器の受け皿とか灰皿を活用しています。タバコを置く凹みにこて軸を預けるとこてを置けます。(写真)簡易スタンドも同じまくら式です。金物で作ったこて先を差し込んで預けるペンさし式?スタンドやこて先を綺麗にする水を含ませて使うスポンジも売っています。 |
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2.お薦め技法 ☆半田付け手順やメッキの「作法」には色々有るようです。例えば接合部を合わせてエイヤッと一発でつける方法や機械的に絡めて付けたりです。(下写真)ここでは経験的にも確実性からも「音迷人流」をお薦めします。それは事前に接合個所に半田を付ける即ちメッキをして置くという簡単な「作法」です。後述の「下ごしらえ」にあたります。(下写真大:事前半田メッキ法) やってみると解りますが半田付けする時は自由になる手は片方だけですから部品をラジオペンチなどで把持し、半田ごてで糸半田からすくって来て溶着します。 ★もっとも重要で注意すべきポイントA:接続を高温下で行なうわけで、これは電子部品にとって大変厳しい事なのです。半田付けで部品を「焼き鳥?」にしちゃう事があります。まさか焦げるまではしないでしょうがダメージが見えないので困るのです。部品内の接続部や面を傷めてしまい機能が狂うのです。半導体、コンデンサーなどは特に弱いですよ! それでは如何するかですが、熱を少なくし、又逃がすしかないのです。◆下記の「下ごしらえ」をしておく事で接合時間を短くする。◆弱い部品の線をピンセットや細いラジオペンチでつまみ、熱を逃がしながら接合する。◆接続したら直ぐ息を吹きかけ冷やす。を実行して下さい。 ポイントB:半田が固まらない内に接合点を動かさない事です。固まりながら動くと白くなり、クラックが入って不完全になります。 |
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3.まとめ 以上半田付けの基本をお話しましたが、実践時の所作を具体的にイメージしてまとめておきましょう。「下ごしらえ」中心ですね。 ☆部品を取り付ける前にその端子を半田で「メッキ」します。但しリード線のある部品は配線する長さや、位置によりリード線を曲げたり、切りだして使いますのでその後にメッキします。半田付けの大半はこの作業でしょう。◆確認:部品やリード線は「下ごしらえ」しては「本付け」をその個所ごとに繰り返してゆきます。 ☆リード線は配線する長さに切り両端を5mmほど剥いて被覆を捻りながら抜きます。こうすると銅線を捻ることが出来るし、手油もつきません。そして「メッキ」します。導体がバラけないように注意して下さい。剥き方は?リード線を指先上にてナイフで転がしながら被覆だけを切り取る。?ワイヤーストリッパーの適合芯サイズの穴に入れ、剥き脱がす。これが手早いです。問題は芯サイズが合わない時穴が小さいと芯線の周りを切ってしまう事です。(写真) ☆「メッキ」は部品を持って、半田こてを持つと両手が塞がってしまいます。半田をマッチの先ほどこてで溶かし直ぐ部品の半田個所に宛がってやるのですが、理想的には部品とこてと糸半田がほぼ同時ぐらいに一緒に成るといいでしょう。手は2本ですから、糸半田をコブラのように鎌首もたげて止めておきそこへ持っていって「メッキ」すると良いでしょう。接合する銅やメッキ部が汚れたり古く酸化していなければ、まず前者の方法でメッキできます。汚れやさびの部分は切って捨てるか磨きましょう。 ☆キットの裏ぶたを開け、以上の要領でラグ板、ソケット端子、ターミナル、ボリューム端子などの「下ごしらえ」をします。 |
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以上で特別講座を終わります。 とはいえ即実践では部品を焼いたりして失敗するかもしれませんので、不要な銅線や端子状の銅版等が有ればそれで半田の量、こての当て方、回すなどの動かし方を練習して、「確実に美しく仕上げるコツ」を掴んで下さい。半田の量はそれほど付け無くてよく、「必要範囲の周囲」がすべて銀色に薄くメッキされれば「下ごしらえ」完了です。(写真)メッキの時も前記の「焼き鳥対策」を必ずやって下さい。 さあ押さえどころを理解したのでキットで本番です。慌てず着実に作り上げましょう。 つづく |
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