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「オーディオ風味 名曲アラカルト」 2006-2-24 音迷人 8.グスタフ・マーラー/交響曲第一番「巨人」 たまにはくだけて・・ |
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各アラカルトは時間を見ては音楽や状況などを確認したり、書き込んだりしています。実は今ここ導入部?を書いているのは1月21日夜中です。それもオラが町さのオーケストラの定期演奏会で「巨人」を聴いて感動して帰って来たところなんです。メルマガ2/24アラカルト第8回は「巨人」を予定していたので、東京にしては朝から雪で、出かける夕方には10cmほど積もっていましたが、頑張って聴いて来たわけです。裏日本の大雪に比べれば申し訳ないほど楽なことですがね。 オラが町さのオケとは中野区民交響楽団といいます。隣町は練馬交響楽団です。私はタイプの異なるこの2つのオケを大分前から聴かせて貰っております。なんせ20分ほど自転車を飛ばしてゆけばフランチャイズ?ホールがあり気楽に聴けるのです。またオケに優しい方がおられ、私に楽しい話を時々聞かせてくださいます。それにオケの生録も聴かせて下さいます。オケの学習やアーカイブ用の記録でしょうが、ほぼ録りっぱなしなので凄いのです。以前にも書いた「ハイファイなんて」という否定的な考えを見事に覆してくれます。まずソフトがあまり手を加えないハイファイであれば(必ずしも観念的商品完成度が高いとはいえないでしょうが)あとは再生側の努力ですので、オーディオは益々面白くなると思いますし、「ほとんど生」は実現できると思います。聴いてきた巨人では、体格の良い打楽器のおいさんがこれでもかと力いっぱいシンバルを合わせます。一瞬ほかの音は聞こえなくなるほどです。これが別の時の録音ですが見事に捉えられ、ほぼ過不足なく再生できたのです。ダイナミックレンジの広い荒々しいまでの録音CDは売ってないかな?以下に取り上げる盤もまだまだ抑えています。(ホームユースの機器が壊れるなんてことは絶対に無いですよ) 「巨人」に話を戻しますが、技術的にも大変な曲でしょうが、良くアマオケが挑戦していますね。決してプロオケを超える技術とは申しませんが、感激する度合いは何故かプロを超えることが多いのです。アマオケがプロに勝てるのは恐らく熱意だろうと思います。今日はモーツアルトは平板でしたが、マーラーは見違えるように熱っぽかったです。初め調子が出ず、リズムがぎこちなかったのですが、2楽章中程から調子が出てきました。4楽章は中間のVnがゆっくりと泣き歌う叙情部分がことのほか素晴らしく(指揮の十束氏の大切なとこのようで入魂の指揮でした。)高らかな勝利の宣言と対比的でいやがうえにも感情を高めてくれました。この曲も「音響の宝庫・その2」です。(ここまで1/21) |
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巨人を選んだ理由の一つに「モーツアルトさんから100年経つとどんな交響曲になるか?」を確認したかったのです。(途中例外的な「幻想交響曲」がありましたが)皆様も聴き比べてください。 グスタフ・マーラー(1860〜1911)はオーストリア領ボヘミア出身で後期ロマン派の作曲家です。可なり個性的な方で彼を論ずるのは中々大変でしょう。私もちょっとかじっただけでさっぱりです。その辺は専門書に譲るとして、特徴的ないくつかの点を挙げておきます。 ◆作品の構成は声楽と管弦楽を結びつけた交響曲などが多く、かの「第九」状態です。 ◆作品は粘着質であったり宗教的だったりして、気宇壮大なものがあり、時空とか空間とか音楽がなしえる可能性を開いています。 ◆指揮者として大変厳しかったそうですが、演奏のありようや過去の作品の正当な演奏の確立などに実績があったようで、若き日のブルーノー・ワルターの協力も得ていました。 マーラーの一寸痛々しい言葉があります。 「私には三つの観点からでも故郷がありません。 オーストリア人の中にあってボヘミア人 ドイツ人の中ではオーストリア人 あらゆる民族の中ではユダヤ人である」と |
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ではオーディオチェックに入りましょう。この曲の初演は1889年だそうですから、例の電気博覧会が既にあって、(参メルマガ162新年号)バイノーラル感覚も認識されていた時代なんですね。それで遠近感、空間などを意識した曲に・・冗談、冗談。 (あ!今しがたテレビでやっていましたが、フィギュアスケートの回転ジャンプ技が開発されたのもこの頃らしいです。アクセルさんの1.5回転だったそうです。安藤選手4回転頑張れ!) ベルリオーズ/幻想のように短い注釈が付いています。この曲の底には交響詩があって、その時は「花の章」があって5楽章でした。時々「花の章」付きという演奏があります。 第1楽章:緩やかに重々しく(春の朝の自然を描写)さすらう若人の歌からテーマを 第2楽章:力強く激動して(帆に順風をはらんで船出) 第3楽章:緩慢にならず荘重で威厳ありげに(座礁と葬送行進曲) 第4楽章:嵐のように激動して(地獄から天国へ) |
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1楽章は大変小さな、弦をやっと鳴らしているような音から入ります。ソフトを含めS/N比がよくないと音楽になりません。SPやLPでは一寸苦しいところです。冬から春へと明けてゆく様を表わしていますが、バスクラの中低音のプリプリした弾力のある音を確認してください。舞台裏で軍楽トランペットが春の幕開けを呼びかけます。(1:30〜)この距離感がわかる事。「さすらう若人の歌」の旋律で展開し高揚してゆきますが、表舞台に戻ったトランペット、のびのびとした弦、朗々たるホルン、ちりばめられたトライアングルが際立って聴こえます。(5:30)この辺がマーラーの明るい交響のサンプルでしょう。決してガサガサ聴こえないことです。高音成分が多いので歪むと汚れが目立ちます。暫く変奏されてゆきますが、チェロ、ハープも加わり各楽器の際立った美音が重なります。(6〜8) 9分ごろには大太鼓がピアニッシモで6発ほど入ります。これは中々判別が難しいでしょうが如何ですか?ホルンによる提示部があり、曲想が更に輝いて、生き生きしてきます。楽器の特徴的な音色を利用して必死で作曲されたように感じ、作曲家と一体感が生まれそうです。(13:30〜)大太鼓、ファンファーレとだんだん引き込まれ、1楽章最大の音量のクライマックスへシンバルの一撃から入ってきます。それでもほぼ総ての音がその特徴を失わず聴こえます。フィナーレのティンパニー強打がふやけないで、芯があることです。 注:今回はインバル/デンオン盤で章毎に時間を入れてみました。勿論演奏家によりテンポが異なりますので目安です。 |
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第2楽章コントラバス合奏から入るスケルツォです。トライアングルが小さく絡んでいますよ。カリオンを思わす響きもあります。中間は優雅なワルツですので、弦(チェロが活躍)とオーボエの美しさで勝負です。この美しさは中々再生できません。そんなこと無いよと思われる方、もっと良く聴いてください。生音を思い出してください。あの柔らかさ、粉雪のような音のグラデーションが出ているかです。解らなければ程度の良いヘッドホンなどで、確認してください。あるんです素晴らしい音の世界が!2楽章に綏楽章を用意していたモーツアルトさんの交響曲に比べると、優しい部分も有りますが、7〜8分のシンバル、トライアングル、ラッパの切り裂くような仰々しい音響と、100年で変われば変わるものです。 第3楽章テンパニーの思い足取りに引かれ、低弦がうめく葬送です。意外とコントラバスの倍音を含んでいるので、中高音が確りしないと、おぞましい感じが出ないでしょう。弓の背で弾く(叩く)カチャカチャ音が出てきます。(3:00) 5:30くらいから実に切ない表情でVnソロにもなってオケが泣きます。最弱音で消えるように終わり・・ |
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第4楽章 突如のシンバル一撃の際立って目立つフォルッテッシモで突入。前に書いたようにこのシンバル音は再生できます。ぼやっとしているとハイドン「驚愕」以上に驚きます。ダイナミックな音響に余裕を持って追従できるようにシステムを見直しましょう。とやかく言いません。音響の渦、興味深い旋律、これでもかというほどの念の入れ方のドラマティックな20分をお楽しみ下さい。総ての楽器が分離していますよ。そして3:30から3分間や11:50〜の美しくもはかない、無常観のあるアダージョ風のところは2楽章同様たなびくような弦の美しい合奏です。ここを是非何度も聴いて歌ってください。「あー音楽って良いなー」の気持ちになります。打楽器強打、管楽器強奏スピーカーにパルシブな信号が飛んでゆきます。オーディオの醍醐味でしょうか?低音に腰が砕けていないかチェックしてください。すなわち35Hz〜1000Hzがビクともしないことでしょう。ここで有名なのは最後の勝利のコラールを高らかに奏する時(18:40)ホルン又は金管奏者を立たせる「指示」があり、視覚的にも響きのチョイスをさせ、いやがうえにも興奮のるつぼに引き込みます。 |
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皆さん聴いた後どんな感想をお持ちでしょうか?「こんな凄い響きやダイナミックレンジは収録も無理だし再生なんかとてもとても」という方が居られるのではないですか?確かにオケの真ん中に座っていたらそう思うかもしれませんが、指揮者後ろ5m〜なら可なりのところまで、何とか成りますよ。どうせ無理だから「ハイファイ再生」なんて追わず、好きな音が出れば良いや!といって「再生芸術だ」なんていわれて誤魔化されては居ませんか?好きな音なんて移り変わるし、演奏家が呉れる生音は好きな音になっていないことも、時に音楽的でないことも有ります。でも鑑賞は「生音」を受け取って、演奏家の熱気、囁きなどを感じつつ始めたいと思いませんか?全くイコールには成らないのですが、可なり良いところ即ち、我を忘れる程の音楽的興奮を得られるレベルまでは再生できます。それもリーゾナブルにです。頑張りましょう。(今回はくどく書いてしまいましたが、私のオーディオマインドであり、半世紀考え続けてきたことなのです) つづく |
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おまけ:◆ブルーノ・ワルター氏(1876〜1962)は皆さんご存知の名指揮者です。マーラーのアシスタントコンダクターを勤め、マーラーを良く知る人でした。ワルター氏は実際を存じませんが、総てに温厚、包容力の大きい方と感じます。それでなければ暴君?マーラーの元で中々仕事が出来なかったと思います。マーラーの気質や完璧な要求など理解していて(見通していて)、ある意味受け皿にもなったのではないかと思います。ワルター氏のモーツアルト、ベートーベン、ブラームス、マーラーはやはり当時から評判でした。写真のLPもその意味で貴重な記録でしょう。是非皆さんも彼の演奏に接してみてください。古い指揮者の中ではステレオ録音が彼のためのコロンビア交響楽団とで多いほうです。写真はマーラー2番「復活」、NYフィルを振ったLPです。後ろはマーラーのブロンズ像(アーム記事メルマガ157号のK.Kさんからのプレゼント) |
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◆バンダ:前々回(2/10)の「幻想」や今回の「巨人」に舞台上のオケに加えて、舞台裏や二階席などで演奏する部分があるのですが、この演奏者を別の楽団(演奏者)、特別な楽団という意味でバンダと言ってます。オペラでは舞台の下(オケ・ピット)のオケに対して舞台上の演技、演奏者と位置が逆転しますが、これもバンダです。例えばアイーダのファンファーレトランペットとか、カルメンの竜騎兵ラッパ、群集などがそうです。 私の存じ上げている某オケのトランペットさんはカルメンでバンダを勤め、コーヒー飲んで一息ついていましたら、あらもう戻る旋律が聴こえたと慌ててピットに入ったら、ガシャンとシンバルを蹴飛ばしたとか。感情込めて歌っていたホセがギョロリと・・。 管楽器が多いようですが、弦楽団やギターなどもあります。「巨人」では1楽章で舞台裏でバンダを勤め終えたトランペッター達が、途中で抜き足差し足、音を立てずに舞台表の演奏席に戻ってきます。少々滑稽ですが遅刻では有りません。 |
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◆今、荒川選手が素晴らしい滑りを披露してくれました。世界がスタンディングオベイションを与えています。トゥーランドットの名曲に載せて!最後まで眠らずに「魅せて」もらいます。だってアリアは「誰も眠ってはならぬ!」ですから。(この洒落どこのマスコミがが使ってくれるかな?) そうだ!不振の日本勢にあって彼女は正に「巨人」でした。 |







