「オーディオ雑談カフェ」 13.〜夏休み工作編(その5)〜 2006-8-18 音迷人 提灯に導かれて「工作」最終回まで迷うことなくやってきました。 音迷人の工作作品より、舞姿良く上手いですね。(このシャッターチャンスは自慢できませんか?)腰がしっかり入っています。私は木材切り出し作業など長時間の中腰ですっかりやられてしまい、毎日湿布が離せません。悔しいが歳を感じます。フィットネスクラブで「阿波踊りエクササイズ」を提案しようかとも! |
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今回は無指向性ホーン製作最終回「総組立・試聴評価編」です。一寸長いですがご勘弁を! 今まで造りながらの記事で、解りにくい所もあったでしょうが、写真と読者諸氏の想像力で補って下さったと思います。 |
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★写真上:ホーン部一組分の部品です。感の良い読者の皆さんですから、全て手順はお解かりですね!木の小ワッシャを入れ忘れました。 ★写真横:念のためイコライザー周りの組立を概略図示して置きます。形がしっかり計測できませんから、現物合わせで加工して行きます。例えば軸のストッパー位置などはベースに完全にねじ込まず、2〜3回転残して決めます。そうすれば完成時締め込めばガタなく組めます。また後の枯れ、鈍りにも追従できます。これぐらいは考えてください。 ★写真下2枚:無指向性ホーン部を組み立てところです。 |
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コラールホーンに仮置きして喉からイコライザーの収まり具合を覗いて見ましたら、ドンピシャ決まっています。(さりげなく‥3)100円ショップ品よ有難う。 計画当初はイコライザー先端にセンタリングのためバネ金具などを付け様かと思いましたが確りしているし音圧は均等にかかるのでキャンセルし振動しないでしょう。微振動が心配なら何かした方が安心でしょう。 |
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無指向性ホーン部とコラールホーンをネジ止めすれば出来上がりです。組立順はいろいろ考えられますが、ネジ止めをその都度しっかりやってゆけば問題ありません。木ネジで注意するのは、木に初めにネジを打って最初に出来たネジ山を壊さないことです。今回のように仮組みや、確認を何回か行う時は特に注意が必要です。あたかも金属ネジと同じように、指でそっとネジを挿しながら逆に回して、ネジ山が合ってコトンと落ちた所から閉め込んでください。こうすれば何度かネジ穴は使えます。きつく締めるのは最終完成時だけですよ。 下がホーン部完成写真です。中々いい感じではありませんか?良く言われるように「良いものは姿も良い!」と自画自賛したら嫌われるでしょうね?自作の楽しみ「世界でただ一つのホーン!ヽ(^o^)丿」はほ〜んとうにそうでしょう。 |
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◆ドライバーを取り付けていよいよ試聴です。胸が高鳴り、一番ウキウキする、自作した者だけが味わえる瞬間です。音がスムースに出てくる感じがしませんか?こういう時は大体成功するんです。 |
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試聴に当たり置き方を3通り検討しました。?上向き、?下向き、?横向きと呼びましょう。 実際には写真の置き方で必ずしも良い訳では無いことは承知しています。位相管理が不十分です。試聴して把握したら居場所をきちんとしましょう。 |
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◆試聴の評価をお伝えする前に、物理特性らしきものを調べましょう。 下図左:今回のホーンで一番肝心な指向性のイメージです。測定器を持ち合わせていないのでイメージで申し訳ありません。耳を移動して行くとスムースに音圧が増減して聞こえますから、こんな感じでしょう。そして狙い通り水平方向は正に均一です。一寸表現が上手くないですが、図において等音圧面は太目のドーナツが中心から少し斜め上に湧き出してくるような感じです。 下図右:周波数特性のイメージです。既存のオンキョウホーンと比べてみました。音圧は試聴ポイントで同じ位です。ストレートホーンのときは4〜5dBほど絞ったのですが、無指向性になったら当然360度ぐるりに音を撒きますので、下がります。傾向はフラットになり、オンキョウより使いやすいホーンです。ただしカットオフが高い分聴感にも表れました。4〜5KHzから共に上昇しており問題です。きつくなり、表現が一本調子に成ります。 以上確認できましたので当ホーンの組み合わせ試聴は800Hz(12dB/oct)〜4000Hz(6dB/oct)に設定しました。 |
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恥ずかしながらとうとう乱雑な遊び部屋をさらすことになりました。いろんなオーディオ遊びをするので、片付く間がありません。ご勘弁願います。SPユニットだけでも60ヶぐらいありましょうか。いちいち短絡してないので表に出したら部屋の音が良くなるかもしれません。(-_-;) ソース部、コントロール部は対面にあります。 パワーアンプラックもツーバイフォー角材と合板で自作しました。要所要所に工夫していますが、ぺらぺらでは在りませんがごつくもありません。それに嫌われるキャスター付きですが音質上おかしな音は感じられません。 この部屋についてはメルマガ160号をご覧下さい: http://www.hifido.co.jp/merumaga/otomeijin/051223/index.html 189号にもルームチューンが出ています。 ◆試聴評価: ★全体的な評価:このJBLドライバー2426の個性は恐らく粘らない明るい音調と強めな高音部と感じています。ホーンにより音色が変わるといいますが、よほど酷くない限りドライバーの個性が支配的だと思います。 今回の無指向性ホーンを鳴らしますと、同様に感じました。つまり単体で鳴らしたときは幸い?特別変わった響きを付けていないという事でしょうか。 正直本音で申し上げると、ホーンの音響学?を勉強したことはありませんので、ホーンが曲がる時の波面の振る舞いを把握しておりません。前号に見るように波面が通過する曲面に直行的に進行するならば、今回の無指向性ホーンは成功なのですが、そうではなく波面が壁で反射しているだけとなると、音の伝播のイメージが描き難くなり、下手をするとお笑い物かもしれません。過去の折り曲げホーンなどからの推測でやってきたわけです。ご存知の方は是非ご教授ください。 いずれにしてもホーン臭いとかキンキンするとかの悪いイメージは一切ありませんので、いよいよシステムに組み込んで試聴評価をいたします。とはいっても私一人が申し上げるので、音迷人の過去ログでしかクレジットはないですが。 ★置き方による違いをまとめました。書くとこうなるのですが、傾向というレベルで僅かな違いです。 置方 音場 音像 響きの特徴 ?上向: 広い 大 柔らかくホール中央席で聴くブレンド感あり ?下向:やや広い 中 明瞭且つ艶のある響き ?横置: 普通 小 分離良く引き締まった響きに近く崩れない。 私も人の子、多少イメージに引きずられていますが、傾向を申し上げると上記のように成ります。当然部屋の形、反射の具合、ホーン開口部の高さ、ソフトの違いで変わりましょう。厳密なものでは有りませんが、私の部屋で可能な最善の置方は遊びながらゆっくり探します。(おたくの臭いプンプン) (ハイファイ堂から購入したダイアトーンSP、テクニクスSB6が仮置きしてあります。高価なスタンド?ですね。SB6は安価ながら素晴らしいSPで、中高音をレベル調整:押さえ勝手にするとフラットで素晴らしい表現をします。今販売していないのが残念です) |
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さて音場や音像がそこそこでも音色にフィディリティーがなければ何にもなりません。そこでいろいろ確認しました。 ★周波数スイープ:私の聞こえる範囲では以前より改善され1.5〜2KHzの凹みがなくなり一層フラットになった。 ★自然界の音や知っている人の声:キチンと聞き分けられる。 ★音楽ソフト:ソロや室内楽各楽器の個性ある音色や、分離が改善された。声楽で声が柔らかく、高く張り上げてもそれほど硬くならない。サ音がより自然になった。オケでは演奏の各セクションのニュアンスが増した。チュッティでも安定している。ティンパニーの粒立ちが良くなった。 ★取り替えたホーンの周波数領域は低音楽器や中音楽器の倍音や基音の一部を担当しています。それが改善したので、かなり広範囲に改善したように聴こえ「もうけ」です。正月のメルマガで掲げた周波数表をご参照下されば、ご理解いただけると思います。 ★比較の為とは申しませんが、12日土曜日オーケストラを聴きに行き(別途レポ予定)、帰って直ぐ同じ曲のCDでチェックしましたが、音楽ホールの前後左右から音が来る感じる音場の大きさにはかないませんが、ほぼ音色やダイナミックレンジは同じに確保できていて大変満足できました。オンキョウホーンの僅かなくぐもりがJBLで無くなり、よりハイファイになったと思いました。そして無指向性がために他の帯域のSPの音と良く「馴染んで」ワンランク再生力(音楽の表現力をより伝えること)をレベルアップしたと思います。ですからCDソフトの録音もワンランク上がったように聞こえるので、音質で敬遠気味のCDを聴きなおす楽しみが増えました。 このタイプのホーンは製品として見掛けていないのですが、是非ホーンメーカーさんに造って欲しいですね。エンプラを使って安く出して欲しいです。ツーイターでは昔パイオニアのを覚えていますがコンビにして使ったら良い結果が出そうです。(余力があったらツーイターも同時進行でやろうと思ったのですが、細工しやすいユニットが見当たらなかったので、見送りました。「ヨシ!俺が造ってやろう!」と聞こえましたが・・・) 総合してまず中間的な下向き置きで暫く楽しもうと思います。いずれまた経過を報告するようにいたします。 以上で「夏休みの工作」を成功裏に終わることが出来ました。長い間有難うございました。老骨鞭打ってやりましたので、皆様のご感想、ご指導をハイファイ堂に頂ければ元気が出ます。よろしくお願い致します。 9月には入ったら暫く遅めの夏休みを頂きましょう。 |
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◆おまけ:ハイファイ堂の最近の商品に写真のような変り種が出ています。マルチセラーホーンの一種でしょうが、かなり自由なことが出来るという証拠でしょう。このホーンの設計意図が知りたいですね。ホーンの一つを「あっち向いてホイ」とやれば指向性が広がるわけです。 この様に音道がスムースで漏れがなければかなり成功しそうです。今回の工作の拠りどころでも有るんです。ですから音迷人は次の方法をお勧めします。それはシステムの改善で足踏みをされている方、是非中低音のホーン化に挑戦することです。中低音のホーンは理屈上長く大きく成りますし、ドライバーもかなり高いので、スロート面積を大きくして短く出来るスピーカーユニット式でまず挑戦してください。バックロードホーンを勧めておられる向きもありますが、ホーンとしては折り曲げが多く細めの音道(広がりの遅い)の為か大半がこもって聞こえます。私のフロントホーンの様にオーソドックスにスムースな音道を付けた方が音は率直です。基本であるエキスポネンシャルカーブの考え方による計算はメルマガ161号を参考に進めれば難しくはありません。皆様の自作報告をお待ちします。(ハイファイ堂さんの営業方針に合わなくて、申し訳ないですが中低音ホーンは稀にしか売りに出ませんのでいいでしょう。ユニットや中高音のホーンは買ってくださいな) |