「トランジスタアンプの自作奮戦記」? 07-3-2 K.K 皆様ご無沙汰しました。K.Kです。トーンアーム自作奮戦記を157号で報告して以来ですね。 http://www.hifido.co.jp/merumaga/otomeijin/051118/index.html 遅くなりましたが今回はアンプの自作奮戦記をお届けします。ラジオ雑誌の回路つき製作記事では意味がありませんので、アンプつくりの苦しさ?楽しさを要約してお伝えしようと思います。 正直楽しさばかりでまとめると下記のようで、アンプを作られる方と同じだと思います。 1。金田氏の唯我独尊調の記事には、敬服します。挑戦されているようで、エイヤーと刀を返したくなります。 2。何と言っても世界中にただ一つのアンプで、最高のアンプが比較的安価に作れるということに尽きます。 3。メインテナンスが自分で永久に出来るということ。生産中止のため修理サービスは終了しました・・はありません。 4。常に新しい回路と差し替えることができ、その都度音が改良されるのが、耳で確認できること。 5。デザインなどはケースが市販のモノに限られるので限界はあるものの、作りようによっては芸術品?が出来上がる。(今回のアンプはこの芸術に限りなく挑戦したつもりです) |
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◆設計のコンセプトと材料準備のポイント コンセプトといった大仰なものはさしてありません。30年も前から私は無線と実線誌に連載されている金田氏の信奉者です。プリアンプ、パワーアンプ、チャンネルデバイダーと、知人から製作を頼まれたものも含めて2,30台は作ったでしょうか?現在4チャンネルのシステムで聴いていますが、全てこの金田氏設計のTr(トランジスタ)式のアンプです。 彼の設計の特徴は、周波数特性が良いこと、歪みが少ないこと、設計のコンセプトがはっきりしていることなどにより実にクリーンな音がすることです。それでいて、艶やかな音にも感心します。 制作上、残念なことがいくつかありますが、その最大の問題はデバイスが現在、製造中止品だったり、極めて入手不可能なものが多いということです。彼の製作記事は今でも続いていますが、かなりの方が部品の問題で完全製作はほとんど不可能ではないでしょうか。特に地方では入手出来ません。 |
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私は、努力して当時の部品を予備として沢山購入・保管していたため、まだまだ製作が可能です。 それと、無線と実線誌の売り買いの交換欄は何度も重宝しました。ここで譲っていただいた方々に御礼申し上げます。 また、新しい回路が発表されても部品がほとんど同じものであるので、部品を外して作り替えがしやすいという長所があります。ほとんど故障しないのも特徴です。10年20年と使ってもほとんど音の劣化がありません。同じ部品で違う回路の金田アンプに替える度に進化するのも楽しく造り甲斐があります。 |
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◆今回、4年振りに新しいアンプを制作しようと思ったきっかけは、実は古くなった居間のTVを薄型液晶のものに代えたので、その音声専用のアンプを作ろうというものでした。 居間に置く物ですから市販のアンプにも負けない外観のきれいさなども要求されました。(特にウチのかみさんから)。ところが、製作途中で、このアンプをテストのためメイン4Wayシステムの中低音アンプと入れ替えて聴いたところ、俄然全体の音が良くなってきました。中低音は今まで電池電源のアンプで聴いていたのですが(この音域が、人間の耳に一番肝心なところ)偶然とは言えより良い音を聴いてしまったのです。結果として現在は中低音(370HZから1,200Hz)のために使用しています。(テレビの方はどうなったのでしょうかね!) |
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◆製作のポイント 思考錯誤が何度かありましたが、今までの私の制作の技術を惜しみなく全て投入して、時間をかけて丁寧に、美しく、また長持ちするように心がけました。アンプの顔写真を先に出しておきます。まずできるだけコンパクトに作ろうと思いました。これは、大変結果として大変作り難く、製作から完成まで約1年かかってしまいました。こんなことは初めてでしたが、今となっては出来栄えに満足しています。 まず、出力は20W×2CHもあれば充分と考え、下図の回路を選定しました。完全を期するため、出力Trに供給するシリース・レギュレーター、ドライブ段に使用するスイッチング・レギュレーターも搭載することにしました。出力Trは逸品といわれたNECの2SA649、2SD218のWペアにする予定でしたが、残念ながら2ペアしか在庫がなく、2番手のA628、D188にしました。20Wならシングルペアでも大丈夫ですが、余裕を持たせました。 |
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また、トランスはもうちょっと余裕のあるものにしたかったのですが、タムラのトロイダル・トランス しか頭になく、在庫から調達しました。2次出力ワット数が140Wですので充分です。 ただし、大変古いもので、後で解説するスピーカ保護の遅延回路のための電圧が取れないため、一部6.3Vを3倍整流回路で作るなど苦心しました。 美しく長持ちという観点から、パネルの印刷にはこだわりました。仕事の関係でお願いしているシルクスクリーン会社にパネル印字を依頼しました。このためにパソコンで、レイアウトを決め、文字も原寸大のフィルムを作って渡しました。(写真下) |
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◆製作過程と日誌 (一部写真掲載) 2006年1月:大体の構想を決定。ケースをタカチに発注 2月〜3月:各ブロックの基盤を設計・作成 パネルデザインをしてサカエプロセスに発注。3週間目にできあがる。5,000円也。 4月〜5月:ケース加工。これが一番やっかいだった。特に裏配線用のサブ・シャーシに手こずる。 6月: 忙しくて手つかず 7月: 最後の仕上げ。組み立ておよび調整 7月13〜16日:テスト:±45V、および±39Vは一発でOK。 左アンプはOK。 右アンプ調整中にトラブル、電源±39Vの−のみが動かなくなった。ブロックをはずし、ショートしていたTrの2SA566と2N3055の1本を交換。 また、メイン・アンプの出力Tr2個がオシャカになっていた。どうやら、ACのノイズが不安定な動作の原因になっていたようだ。ACコードを移動。 7月18日:全ての動作がOKとなる。完成。音出しはまだ。 7月19日:音を出す。ちゃんと音がでる。低音用に繋いで聴いてみた。前回のアンプより、音が少し小さく、迫力が少し足らない。しかし、なかなかの音。ハムが少し出る。 8月〜:暫聴いたが不安定な部分や発熱の問題が・・・ 完成かと思いましたら意外に手こずる問題がでました。さてどうなりますか次回をお楽しみに。 ◆負けずにおまけ: 笑コーナー(仕入れたジョークの紹介です) 先生: I go to Tokyo. を過去形の文章にしなさい。 生徒: I go to EDO. |