「オーディオ雑談カフェ」 2006-10-13 音迷人 15.NHK−FM「名曲リサイタル」公開収録に参加して スタジオでの音楽番組制作現場を一度は観てみたいと思っていましたところ、申し込めば聴衆になれるのを思い出しました。クラシックでは「名曲リサイタル」は参加番組の勇ではなかったかと思います。調べるとハイファイ堂メルマガ176号等でも紹介したピアニストの辻本さんも出演するではないですか!そこで往復はがきで申し込むと例えば写真下のように丁重な整理券が届きました。申し込みが多い場合は抽選でしょうがほとんど大丈夫のようです。 では今回はその体験談です。 注:メルマガ176号(おまけ欄にて):http://www.hifido.co.jp/merumaga/otomeijin/060414/index.html 180号:http://www.hifido.co.jp/merumaga/otomeijin/060512/index.html |
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何時ものように少し早く着くように家を出ました。今日はNHKビルの中のスタジオで収録ですが、N響を聴く時のようにJR原宿で降り、一瞬若者文化?の一端をのぞきながらNHKホール経由で会場に向かいました。こちらから行くと坂が無いので楽なのと、木々が濃いので散歩感覚があるからです。しかし道中問題が無いわけではありません。この辺は皆の公園だと思うのですが、結構散らかっておりますし、無秩序なストリートミュージシャン?が一時のアメリカ村の落書きみたいに・・ブツブツブツ。(またの機会に) |
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NHKホールでは高価で指をくわえて見送っているオペラの公演(ローマ歌劇場のトスカ)があり、少々おめかしをしたお客さんが集っていました。取材?写真を撮っていると、人畜無害と見えたかお嬢さん姉妹(叶さんではなかった)からホールをバックにシャッターを押してと頼まれました。(私、街を歩いていると良く道を訊かれたりするんですが・・・伏線?) 原宿側から来ましたので案内地図にある集合場所にショートカットしようと正面玄関に行き、まず無理と承知はしていたものの、中を通る通路があるかと職員に尋ねると、やはりセキュリティー上ダメでした。なぜか途中から右足の裏が痛くなっていたので、渋々足を引きずって外を回って内玄関通路に行きました。 表紙写真がはがき★印の入口にある標識です。帰路の撮影で真っ暗です。道路を挟んでこの向かいに2.26事件の関連碑:慰霊像がありました。歴史に興味のある方はどうぞ!(後日の調べではここに陸軍の刑務所があり、事件関係者が処刑された所のようです) |
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公開番組は確かテレビも含めて沢山あるはずですから、無秩序に受け入れると、局内は混乱してしまいますよね。後で解るのですがスタジオはいくつか建物の中に分散してあるようで、まず初訪問ではたどり着けないでしょう。孫の手を引いたおじいちゃんが番組制作会議室を開けて覗いてしまう等起こり得るわけです。ですから番組ユニットごとに内玄関前通路に集合して、葉書を提出しながら確認(そうおもって家で事前に葉書を写真にしておきました)が済むとスタジオまで引率してくれます。確か5階でしたが100人近くの聴衆ですからエレベーターとも行かず、また今ほどにエスカレーターを置かない頃の建物ですから、階段で登りました。若い元気な引率者(アシスタント・ディレクターADとか言うのですかね)なので速いこと!最後の踊り場付近でつまずいてよろめいてしまいました。後ろを締めていた可愛い女性ADさんに大丈夫ですか?と声を掛けられたので、「残念ながらダメです。問題点ですね!」と顎だけは達者なところを見せましたが情けなかったです。実際は消防署の指導によるルート設定のようです。 |
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良く写真などで見られる立派な調整卓です。機能やユニットが沢山ありそうなので、かえって心配です。「何も引かない、何も加えない」なんて貼紙をしたくなります。まあこれは冗談ですが、放送品質を維持し、向上させるするためだけに調整しているはずです。 休憩時間に訊いたらば、本日のミクシングは優秀な女性エンジニアが担当しているとのことでした。なんでもこの20年ほどにミクサー、カメラマン、ビデオ・エンジニア等々、放送技術への女性の進出ぶりはめざましいと聞きました。 |
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当然トイレを確認しながら入室しましたが、各自好きな所に座るようになっていましたので、つまずいた分遅れ?後ろ目になりました。実ははじめからそう考えていたので問題ではありませんでした。・・・伏線? 真ん中通路の前から5列目くらいの所です。聴くのには最高のポジションでしょう。全体は確か6〜7列で扇状に折りたたみ椅子が置いてありました。さて写真は取れませんので説明が大変ですがマイクについて申し上げます。グランドピアノがNHKの写真のように中央に引き出してあり、3mほど離れたラインに基本をワンポイント収録としてのメインマイク(恐らくノイマンタイプのコンデンサー棒状マイク)と間接音用マイク(四角丸い形状)が3組ほどかなり離れて立ててありました。ピアノ用に確か蓋を開けた弦部に向け1.5mほど離れて20cmほど開いて2本の補助マイク。(覚えたはずが日が経ってあやふやに・・・)後半のプログラムのヴァイオリニストのためには斜め上方1mくらいにノイマンタイプが一本置かれました。これら補助マイクはメインマイクを僅かにサポートし、音をボケさせない様にするとのことです。 と言うことで割とオンマイクながら適切な残響の入った素晴らしい放送が流れると思いますので、是非良好なソースとして楽しんでください。 |
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定刻になり聴衆がトイレなど済ませ着席すると、ディレクターから心得などの説明がありました。拍手は番組オープニングほか数箇所は指示を出すが、演奏が始まってからは通常のリサイタルと同じに聴衆に任せるとのこと。拍手は速く大きくパラパラと終わるのが美味しいのだそうです。進行係の曽田アナウンサーとコンポーザーピアニストの加羽沢さんが紹介され、挨拶がてら聴衆の緊張もほぐして、いよいよ秒読みです。 曽田、加羽沢両氏がイントロ後、プログラム前半を演奏する辻本さんが招き入れられました。スタジオ横手に入口があり、衝立の陰に隠れて?待ちここからのお出ましでした。ワインレッドのドレスをまとったチャーミングな方です。白寿ホールのリサイタルから更に磨きがかかって落ち着いて見えました。 暫く3人で経歴や練習の様、音楽的スタンスなど軽く訊いてトークを進めやはり緊張をほぐしていました。ここからの細かいやり取りや、演奏は長く成りますから説明は致しませんので、是非放送を聴いてください。 |
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写真上はプログラム表紙です。曲目まで出しませんので放送当日のお楽しみに。 さて、ここで出来事が! 辻本さんの前半部分の演奏が終わり、彼女の「師」の話の後だったか進行係のお二人が聴衆に感想のインタビューを始めようと立ち上がりました。舞台中央の前の方に接近されるのでどなたになるかなーとのん気に覗っていると、何と後ろから階段速足ADさんが音迷人の口元にマイクを突きつけるではないですか!わたくし武士をやったことがないので後ろに殺気を感じませんでした。しまったー!と思った瞬間、離れた加羽沢さんから召し取ったぞ!と言う顔で「今晩は」と来たので「これ朝番組だよー!」と思いつつ「今日は」といったような?兎も角、不意を食らって頭真っ白!何を言ったかよく覚えていません。辻本さんの演奏に感動していたし、本音を語っていたのにも感心していたので、しまいにウルルン声になっていました。その間加羽沢さんを見ないで辻本さんを確り見ていたのは拙かったかな?それにしても何で百分の一で当てられたのだろう。(以上前出・・伏線でした)マイクが戻って次に進みましたら、急にドキドキしてしまいました。放送時間の調整や、酷いしゃべりでカットされると思いますが、もしやと聴いて見ます。 |
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プログラムの後半はバイオリン曲で、松原氏、浦壁氏が招かれました。前半同様面白トークがあって会場全体がさらに和んでとても良い雰囲気でした。それにしても加羽沢さんは才女ですね。視点が面白いですよ。「どっちが好き?鉄板焼きVS網焼き」トークを持ち込んだりは! 進行係の皆さん演奏家の皆さんはお笑いをやっても一流になれます。 後半のプログラム松原氏のVn演奏は大変自由でありながら緻密で驚きました。さらに沢山の音色を持っているのだと感心しました。ピアノ伴奏と息がピッタリで、きっと日常でも「チョイわる友達」でしょう。一曲目は渋く、二曲目は艶やかにと変幻自在なのです。勿論フレーズ毎にでもです。ピアノもタッチやペダルで変えられますが、Vnには少し及ばないでしょう。そう思っていると中間のトークで見本を実演して示してくれました。これは一聴の価値があります。オーディオでVnを聞分けてチューンすることが多いかと思いますが、覚えておけば惑わされませんよ。そして今回、7mぐらいの至近距離で聴いたVnやピアノの音をCDソフトによっては私のつたない装置でも追従できることを教えてくれました。 この様な機会は日々忙しくされている皆様には中々大変かと思いますが、是非申し込んで参加、体験してください。番組はまず一発録りですので名演奏が出やすいし、面白いリードで、話題も豊富、うっかり?インタビューされたらとても良い思い出に・・なりましょう。 大阪、名古屋でも収録があります。「名曲リサイタル」HPに詳細が案内されていますので、ご参照下さい。 ★では念押しですが「11月4日の午前9:00」からのNHK−FM放送をお聴き逃しなく。 つづく (長くなりましたので「おまけ」は割愛します) |