「オーディオ雑談カフェ」 2006-10-27 音迷人 17.愉快・奇怪・怪録音盤? 録音メディアとしてのCDは製造技術が普遍化され、いろいろな状況で造られていると思います。勿論LP時代にも音盤制作会社があって、そこそこ数がまとまればつくれたものです。しかしそれでも高音質で家庭でつくるとまでは行きませんでしたね。音響記録方式がディジタル化されたことで、CD−Rなど高品質な録音が出来るのですから堪りませんね。 |
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私は未だCDレコーダーを持っていませんが、そうこうしていたらDVDとかHDD式やメモリー式とか過渡的にいろいろ出て迷ってしまいます。私は(静止)メモリーで完結するのが故障も少なく、メカの音質影響も少なく(オカルト屋駆除にも)良いのではないかと思っています。ですから従来の「使い勝手」で据え置き型もポータブルも、記録母体がテープでもCD−Rでもない「メモリー」で完成して欲しいです。 まあそんなことでいろいろなCDやCD−Rが創られていると思いますが、ボヤッとCDを買ったり、ふらっと中古レコード屋さんを訪ねて買った中から、個性的?なCDを見てみましょう。積極的にCDをいろいろ探し、集めている方のライブラリーには私なんぞより数段面白いCDがあるかと思いますが、ボヤッとしていても結構あるのです。「これきっと良い録音ではないか!?」との思いがレジに向かう私の頭には何時もぶら下がっていたのです。 |
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まずはじめにスポンサー盤を挙げましょう。これは1991年のBMWジャパン創立10周年記念コンサート盤です。ハイドンの「天地創造」です。会場定員の10倍もの応募者があったので、招待モレの方にと作り配ったようです。BMW車リピーターを確保するにはCD制作費分は安いものでしょうね。企業的にはエイギョンの「顧客創造」とも言います。サヴァリッシュ/NHKSOとなっていますが、BMW社はまたN響の後援会員ですから、まとまるわけです。 |
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これは薬品・化学工業?のバイエルジャパンの創立75周年記念盤です。合唱団はドイツ本社で1904年企業内文化活動として結成された、バイエル男声合唱団です。今では180人を擁し企業の枠を離れ国際的な合唱団活動をしているようです。1986年日本公演として東京・大阪・豊橋で公演したとあります。 後半はNTT・N響コンサートで演奏した時(写真)の抜粋が入っています。NTTも当然後援会員です。 |
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海賊盤と言えるのでしょうか?かなり駅頭や安売り市場?で見かけるシリーズで種類も多いようです。私も秋葉原で数枚買いましたがその中ではっきりとそれと解る盤です。と言うのはソース源はFM放送のようです。ヨーロッパ国内でエアチェックされたと推測できます。聴いているとFM特有のマルチパス?ノイズが数箇所あるのです。他にも客席で録音したような拍手や咳払いが異常に近い音響のもありますね。 |
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アマチュア・オーケストラの船出のコンサートを収録した「身内」盤?でしょう。有名企業の日立のオーケストラが10年前発足した時のライブ録音です。 日立市にはH響が1952年に発足しているそうです。兄弟オケですね。メンバーの少しは二足のわらじでしょう。 この盤はどんな事情で中古レコード店に来たのでしょうか?大切なはずなのに! 中々良いプログラムですね。演奏もかなりハイレベルで音質も一寸響きが暗いですがまあ優秀です。私は良く「運命」を聴きます、硬いこと言わずに気持ちをぶつけているような初々しい演奏で、終楽章の金管など気迫迫る所もあります。拍手!現在も活躍していますね。如何でしょう、コンサートオープニングに「この木なんの木・・」を毎回編曲バージョンを変えて演奏しては。 <今後の演奏会日程> ■第22回定期演奏会 2007年2月18日(日)東京文化会館 指揮/武藤英明 曲目/序曲「謝肉祭」作品92, B.169(ドヴォルジャーク) 連作交響詩「我が祖国」全曲(スメタナ) |
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大学編で2つ。 写真左:一つは早稲田大学交響楽団のベルリン公演のライブ盤です。安いとは言えグラムフォンからの発売です。驚くことに「THE銘盤」シリーズを張っています。好演で、これが大学アマオケ?と舌を巻くほどです。わざわざドイツ・グラムフォンのスタッフが録音したのですがカラヤンシリーズの録音より数段音は良いです。数段ですよ!学生だけにやはり若々しいエネルギーの高い演奏です。この時でヨーロッパ演奏旅行が4度目というから、ぬぬぬー!お生意気な!と思い、良くよく見たら大変なことになっていたのです。即ち ★カラヤンコンクール(オケの部?)で1987年優勝★その後4度目に当たり日本の作品の初演、ベルリンフィル首席チェリストと競演などで満員★カラヤンがリハーサルで熱心に耳を傾け、助言★そのカラヤン指揮コン・ジャパン優勝の高関健で指揮★43日間20都市での演奏会をやらかした★音楽界の大御所、各国外交官、市、政府高官、ジャーナリストが来場etc. CDを聴いてみると確かにヨーロッパの音楽界が驚いたり、真っ青になったりしたと頷けます。(この辺の話はいずれまた)ノーツにも新聞評が引用してあり、例えば「魔法のように日ごと輝きが・・」「100年前に生きたヨーロッパの作曲家の心が現代日本の若者により、ヨーロッパ人の心に・・」「オケは数十年在籍するメンバーが引き継ぎながら築き上げているものなのに、早稲田は4年、しかも受講の片手間に・・」などです。こんな話を知ると「のだめカンター」が可愛くなります。日本のマスコミはあまり海外での日本の活躍や影響力を伝えてくれないですね。わたしゃ音楽では国粋主義者に成りそうだ! 八木節を据えた「ラプソディ」は理屈無く楽しいです。世界にも珍しい日本の節やリズムに、さぞやヨーロッパの人は驚いたと思います。オーディオデモに以前良くシャブリエの「エスパニョーラ」が使われていましたが、ラプソディーに変えるべきですな。 写真右:上記は一般に販売されたのですが、これはオケの関係者だけの記念や演奏学習の為に作られたCDと思います。特別分けていただいたのですが、制作会社が録音していますので、多少の癖はあるものの、破綻の無い鮮度の良い録音です。市販のCD録音とは音創りが違いますが、ワンポイント録音であまりいじらず残響成分の少ない明瞭な響きで録られています。演奏は大学アマオケの上位の出来でしょう。以前「ピリオド奏法」等で教えてもらった経緯があります。メルマガ第168号の「おまけ」を参照下さい。 http://www.hifido.co.jp/merumaga/otomeijin/060217/index.html このようにアマオケ応援団、地域の後援会などで協力すると、上記のような新鮮なCDに出会えますよ。所謂商品として出てくる録音より、ストレートな響きの良さで勝っている場合があります。是非アマオケを応援して実費でゲットしてください。 |
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次は才能ある方のCDを取り上げましょう。 日本の近年の名テノールのお一人だと思います。私はNHKニューイヤーコンサートをエアチェックしていて素晴らしいと思ったのです。その時のインタビューで、日曜大工が好きでこの前はカセット?ラックを造ったという様な話をされ、近親感を感じたのです。その時の放送は彼の十八番「人知れぬ涙」でした。しみじみと歌い上げこの曲の魅力を十分楽しませてくれました。 しかし不幸にも1988年暮れに、これから益々活躍をという38歳という若さで、心筋梗塞のため急逝されました。 このCDは音楽の友社が追悼の思いを込めて、自社ホールでのリサイタルライブと、NHK札幌にあったオケが札幌交響楽団での「人知れぬ涙」などを合わせて再発売したとのことです。 「人知れぬ涙」は、僕を思って密かに涙を流してくれるあの女の心のときめきを感じたら「ああ、死んでもいい」と歌っています。「死んじまっちゃーおしまいよ〜!」と寅さんの声が聞こえそうです。 |
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これはまず入手できないでしょう。ポーランド盤でしょうが日本での録音です。下記のコンサート会場で入手しました。弦楽器録音としては最高の部類でしょう。 2003年、聴いたこともない古楽器を紹介するコンサートがあると友達に誘われて出かけました。チェリストの藤村俊介氏が世話役でした。古楽器を演奏したのはマリヤ・ポミヤノフスカさんで元駐日ポーランド大使夫人でした。彼女はチェリストでショパン・アカデミーで学び、世界の音楽文化を研究しつつ、各地の民謡や、古楽器を復元して演奏し、この小さなコンサートでも知らしめて居ます。 コンサートでは、名前を忘れましたが写真にあるようなVn族の復元楽器を名人芸的に披露してくれました。しかし見ているとどうもVnのような指使いではないのです。アットホームなコンサートなので休憩時に「音程を変えるのはどうするのか」とご本人に質問したら、驚くべき答えが帰ってきたのです。それは指で弦を運指板に押さえつけるのではなく、爪の背を強めに弦の横に押し付けるのだそうです。写真でみる左手の指を広げる様な方向に動かすわけですね。世界は何かと広い!ですね。生でもCDでも爪が不十分に触れるような演奏雑音が全く聞こえないのですから、本当に技術力があるのでしょう。奏法まで調べ上げ、教わる事もなくマスターしているのですから驚きです。 質問し側で話してみて、その美貌と音楽的才能に比ぶべくも無い音迷人は妬みさえ感じたものです。ああ! |
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最後に哀しい運命の?CDを紹介します。 中古CDを買っていた時手に取った一枚のCDに、写真のようにサインがしてありました。演奏者が誰かさん(週刊誌並みに、スワー!恋人か粋な人・・)に贈ったのですね。ところが事もあろうに私信的CDが「流出」してしまったのです。ええい!はっきり言おう。「放出」されてしまったのです。この悲劇的事実に触れてしまった音迷人は、演奏家に知らせるべきか未だに悩んでおり、時々ライブラリーから引き出して聴いているのです。CDは処遇を知らずか、スタンウエイを明るく鳴らしています。またため息、ああ! つづく |
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おまけ◆いろいろなCDを並べてみましたが、皆様のお手元にも沢山あるでしょう? レコード屋では売っていないソフトが手に入る状況(アマオケを応援する・・)や、中古CD店を覗く楽しみは「出会い」があるからです。 ★買おうと思っても買えない盤に出会う ★期せずして名盤・面白盤に出会う ★意外と安く名演・好録音盤に出会う と言うことでしょう。これと似たスィチュエイションがありますね!ほれ「出会う」という・・・入会されましたか? さあハイファイ堂レコード部やレコマに出掛けましょう。私の大漁の一つはポーランドガラ盤で、フルトヴェングラー指揮の1954年録音の≪ステレオ≫といわれた「魔弾の射手」です。フルトヴェングラー協会もステレオと認めていて、協会誌にも紹介されているようです。私にはあまりステレオとは思えないのですが・・・ 覚えていますか?協会がハイファイ堂で行ったレクチャーコンサート:http://www.hifido.co.jp/merumaga/akiba/060203/index.html |
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◆10/22練馬文化ホールで練馬交響楽団定期を聴いてきました。このホールは確か今年の春リニューアルが終わり、また使用し始めたのです。以前は大ホール入口に向かって幅の広い大きな階段がそびえており、年寄りにはきつく危険でもありました。今度は折り返し階段とエスカレーターで行けるので安心です。ホール内は大幅に変わっていないようですが、石風タイル?が貼ってあるためか音は明瞭ですが、中音から高音が響き過ぎ、ごっちゃになりフォルテではなんとなく騒がしく聴こえました。少し吸音面を入れては等とオーディオルームのチューンみたいなこと考えました。 練響(HPあり)は何時もながら整然とし、なのに熱く演奏してくれました。カリンニコフの交響曲では弦が美しくメリハリもありました。作曲家が書きすぎた音楽を良く整理して演奏してくれたので、初めて聴いたのにスッと入ってきました。噂では人気曲らしいです。次のモーツアルトの「ハフナー」は実に適切なテンポで感心しました。この頃のリズム楽器的トランペットがエッジを立てず柔らかくティンパニーに寄り添っていたので、大変品が良く優美でした。最後は私のため?にオーディオ向きの「ローマの松」です。先の理由で少しごちゃごちゃになった高音が賑やかな出だしが終わると、いたるところに美音が聴ける曲です。弦が今回は一段と上手くザワつかず素敵でした。オルガンはパイプオルガンが無いので電気式ながら十分オケと対等に重低音を出していました。アッピア街道の松では超ピアニッシモからフル・フォルテッシモまで盛り上がって行くのが、街道脇にてローマ軍を迎えるが如くスリリングでパノラマを見るようでした。バンダが2階席左前に陣取り舞台と交差して演奏しますが確かトランペット5本、トロンボーン2本が見えました。オーディオ的に堪りませんね。ブラヴォー&拍手!確り音響を記憶して帰りました。 ◆後日バンダの構成はレスピーギの指定では下記と教わりましたので、ご参考までに掲載します。: ・4th Trumpet(舞台上で吹く機会もなく、バンダ専門という、可哀想なパート) ・1st & 2nd Soprano Buccina ・1st & 2nd Tenor Buccina (上記のBuccinaとで4本は「ローマ軍楽隊が吹いていた(ロングの直管の)ラッパという想定でレスピーギが指定している楽器です。でも現存していないので、普通のラッパで吹きます) ・1st & 2nd Bass Buccina (これも同様ですが、音域が低いの、トロンボーンで吹きます) 以上7本の陣容です。舞台にトランペット3本ですから凄いでしょう!ときどき(人件費?の都合で)4th Trumpetを省略して6本で吹いたりしますが、省略はしませんでした。 ◆もう一つお節介:このホールに備え付けの演奏者が腰掛ける椅子は、日常的に使う普通の簡便な椅子のようで座面が前上がりになっています。演奏者はつい寄り掛かり良い姿勢が取れませんし、演奏に熱が入ると概して前体重になりますから、この椅子では疲れるはず。音楽演奏用には座面がフラットなのが音楽界では常識とか。ピアノの椅子をご存知でしょう!区の関係者の皆さん!さあ予算計上し、交換です。 |