「オーディオ雑談カフェ」 2006-11-24 音迷人 21.マルチアンプシステム(その2)実践計画 前回で簡単ながらマルチアンプシステム(MAS)の意義を確認しました。このMASの具体化という大きな旅に出るにはそれなりの覚悟が要りましょう。しかし始めから完成している訳ではなく、駒を進める様にシステムを徐々に積み上げて進めて行くことですので、いつでも立ち止まって考えたり、補強したり出来ます。 |
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◆良く考えてください。今ここに大変高価で優秀なスピーカーシステムが在るとします。当然伝統や、技術開発や、造りに秀でた点があります。さりながら多くは一つのトゥイーター、一つの中音ユニット、一つのウファーを使っているだけです。勿論夫々は専用に設計されたり、稀な材料を使ったりしています。スピーカーシステムとしてまとめるのにいくつもの試作をしたり、補正回路をつけたりして売り出してきます。メーカー製の良い所は、このようにある程度信頼に足る性能を付けて来ている事でしょう。しかし基本的にはその特徴(個性)から良くも悪くも中々抜け出すことが出来ないのです。 |
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そうなるとお尻がムズムズしてくるのが好きな方ですね。例えばトゥイーターが5種類あったとすると、きちんと設計、製造された物は共通の帯域では黒が白になる様な再生の差は無い筈です。5種類の構造や材質から来る差異は好き嫌いも含めて存在する、(重要ですが)小さな差異の内と考えておいた方が良いでしょう。ウン百万とも言うスピーカーシステムも所詮各ユニット一個ですよ!と言うことでMASで自由にこれらのスピーカーユニットをあなたの科学的かつ芸術的判断力で選び、鳴らしてやれば、MASのメリットがカバーして余りある結果をもたらしてくれるのです。押さえどころをきちんとやれば心配ないです。<このお話を以後「一個づつ論」と称しましょう> そう言っても費用の心配が出るでしょう。確かに物量からしても高価になりそうですね。でも何から何までヘビー級な感じでハードを選ぶ必要は必ずしもないので、そんなに怖気付かないで大丈夫です。その辺のノウハウ?は音迷人の得意とするところです。(-_-;)また気弱になったら「一個づつ論」を振りかざして臆せず挑戦すれば良いのです。 |
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◆さていよいよマイシステムをマルチアンプシステムの採用によりレベルアップするには、その計画の「骨」を決めなければなりません。ここからは皆様夫々の事情でいろいろなパターンが生じます。それを考えて実践計画を立てるだけでも楽しいですよ。出来上がっている物を買い集め、繋ぎ合わせ、どんな音かと作業するだけでもあれだけ楽しいのですから、全て自分で計画し、システムを構築する感動は更に大きい物があります。「私は電気が解らないから」と怖がることはありません。システムの原理や考え方、ハードの見方をこの特集で理解さえすれば、ほとんど成功します。後は飽くなきチューンと改善です。そしてこの過程が本当に楽しいのです。そして出来上がったシステムは何度も言いますが、世界で唯一の貴方のシステムです。 前置きが長くなりましたが実践計画に入りましょう。ここで言う実践計画とは、前回申し上げたように具体的な商品の組み合わせを論ずるわけではありません。具体化可能なMASのパターンを紹介し、選択することなのです。ここでは折角MASに挑戦するわけですから、出来るだけ「等身大の再生」が出来るよう、低音部はそこそこ大型なシステムを前提とします。部屋が狭いといって諦めず、床占有面積を小さくする工夫、例えばトールボーイとか棚置きとかでチャレンジできます。 |
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◆MASのいろいろな進め方(上表展開) 1.既設品を流用しながら進める場合。 −1.ブックシェルフ型など小型スピーカーを流用の場合。 この場合お使いのスピーカーの問題点は小型ゆえに低音が苦しいか、問題を持っています。カタログに再生帯域が低くまで出ていると書いてあっても多くの場合質を伴っていません。しかし一般的には良い中音・高音再生をしていましょう。この場合は低音部を新設しましょう。分割周波数は100Hz〜300Hzが目安です。この場合は中・高音を既設SPで受け持つわけですからSP付きのLCネットワークは使われています。ハイブリッドですね。 −2.中型スピーカーを流用の場合。 この場合も−1.と同じに考えるかごく下の方をスーパーウファー的に補いましょう。分割周波数は60Hz〜150Hzが目安です。これもハイブリッド。 −3.大型スピーカーを流用の場合。 この場合はネットワークを外し夫々のスピーカーを早速MASとして鳴らしましょう。さらに従来のユニットを変えて、チューンしてみましょう。これらの改造は構造的な問題がある場合や復元が困難な場合は止めておきましょう。いずれにしても改造は自己責任ですぞ!(まず壊れません)分割周波数はそのスピーカーシステムの元の値(カタログなどにあるクロスオーバー周波数)近辺を選ぶべきです。 2.新規に造り上げる場合。この場合は制約が少ないので最低限MASの効果が出る3〜4wayとしましょう。 −1.手元に何がしかのSPユニットがある場合。 それを生かすような周波数分割(クロスオーバー周波数)を考え、かつ不足の帯域のSPを物色して全体像を作りましょう。 −2.全て新規にそろえて構築する場合。 使いたいユニットや音の傾向把握など沢山やることが在りますが、あまり慎重にならず科学的チェックポイントを押さえて、安い物でも使いようで宝になる面白さも楽しみましょう。人事で言う適材適所みたいな配置ですね。 以上を必要品などを確認するためにも上表にまとめて見ました。 下図は再生帯域を分割するというイメージ説明です。 |
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◆スピーカーユニットを決めることと同時にクロスオーバーを決めそれをつかさどるチャンネル・デバイダー(C/D)をチェックする必要があることがすぐ解りますね。 このユニットとC/Dを準備するのが実は大変難しくなっています。以前は多くの商品があり、財布と相談しながら割りと容易に選べたのですが、最近は種類が減り高価で難しくなっています。こんな時はそれこそ中古品など狙いの物が出てくるハイファイ堂を活用するのが良いですね。ポータブルオーディオの普及や一部の者がハイエンド指向を煽った影響もあり汎用的オーディオが寂れ、ついにはオーディオファンの創生ベースたる若者を逃してしまったのです。単純に考えても若者がウン十万のハードを早々買える訳がないですよね。やはり文明は出来るだけ多くの人が参加できるようになっていないと育ちませんね。少数精鋭主義?のオーディオ界なんて、これからはいけません。ごく一握りの人にだけ奉仕するに止まらないで欲しいです。一つ考えて貰わねばと思いますよ。どうしても「グッチ」のバックが買えない音迷人です。「愚痴」を言っても始まりませんので、次回からはSPユニットとC/Dの話に突入します。 つづく |
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おまけ: ◆錆び?:工業製品における錆びも沢山ありますが、鉄の製造プロセスで錆びにくい配合や製法があります。それとスズメッキも強くなりひと頃より錆びて朽ち果てるのが遅くなったようです。 自動車ボデーが良い例ですね。昔は足回りボデーに錆が見られ塗装がボコボコしていましたが、最近は見かけません。当然ボディー設計も上手くなっているからでしょう。しかし建設物ではまだまだ錆びて前回のように壊れそうな柱や、フェンス、階段を見かけます。塗装で錆を防いでいるのですが、経年でやられてもこまめに手を入れませんから、あっと言う間に広がり、深くなります。 ◆最近、近くの治水済み小川の鉄製のフェンスをアルミ製に代える作業をしています。両岸総延長は大変な距離です。1年半前塗装をやり直したばかりなのにどうも計画がおかしいです。どなたかの頭の中はきっと錆びていますね。 こうやって見渡すと、いま日本中いろいろな所で錆び付いているのではないでしょうか?錆びの原因はひとえに「人格:品格の錆び」によりましょう。磨くしかないですね。私も頭は十分磨いています?がもっと磨こうっと! |
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◆23日TVで銀座の「錆」を報告していました。銀座は日本橋辺りから地中ケーブル化し電柱がありません。あるのは街路灯と信号器柱でそれもディザインされた渋茶の小粋な物で、街の雰囲気を見事に演出しています。それが寄る年波?に勝てずだいぶ痛んでいるようで、交換時期が来ているというものでした。先週の記事は久しぶりのプレパシー(プレ・テレパシー)ですな。 銀座ヤマハ前から四丁目方面を望む |