「オーディオ雑談カフェ」 2006-12-15 音迷人 24.マルチアンプシステム(その4)チャンネル・デバイダーとアンプ 早くも後半に入りました。スピーカーの選択方法が概ね理解できたかと思いますので、前段を担当するチャンネル・デバイダーC/Dとパワーアンプについてのポイントを調べてゆきましょう。 |
|
◆C/Dは周波数を分割するのですがただ漫然と分割している訳ではありません。C/Dを選ぶのは大変なのですが基本要素に「分割周波数」、「遮断特性」と「位相回転」があります。勿論それらが満足された後で仕上げる意味で「レベル調整」が重要です。 それではまず「分割周波数」について考えて見ます。原則は選んだスピーカーの使用帯域内で選び、かつ可聴範囲で連続となるような分割をするということです。現実にはC/Dが全く自由に分割周波数を持っていないので、時にスピーカーを合わせることも必要です。イメージを下図に現しておきます。各々の線はSPでは使える周波数範囲、C/Dでは分割点の範囲を示します。 |
|
ピュアオーディオ用C/Dの市販品は少ない上に何故か大変高価です。確かに需要は少ないのでしょうが、オーディオ普及のネックだと思いませんか?凄く理想的な遮断特性を求めた複雑な?フィルターならそれなりのコストになるかもしれませんが、CRフィルター数段とバッファーアンプそれに電源と考えたら何とか入門用で3、4万くらいで出して欲しいですね。音迷人が遊んできた感じではC/Dの精度に神経質になってもスピーカー側のほうが追いつきません。勿論音の良いフィルターが「位相」管理上あるのでしょうが、使用パーツに注意しておけば、そんなに困ることは無いと信じます。この場を借りてメーカ各位に適正なC/Dの発売をお願いしておきましょう。そして容易に入手できるようになればオーディオは一気にはじけると思います。コーディネートの面白さも手伝って、自分で納得の音探しのオーディオにレベルアップ必至です。(拍手、拍手!) 写真横:入門時の3wayC/D サンスイCD-5 写真下:現用の4wayC/D パイオニアD−23です。 いずれも分割周波数を数点選択できます。パイオニアのは遮断スロープも変えられ大変便利です。使い勝手では「遊ぶ」のに最高です。もう25歳のおじいさんです。 |
|
それでは実践編として音迷人の4wayを参考にまとめてみましょう。各SPの特徴、使用範囲を把握する。当然聴感で補正せねばなりません。 先に述べた「選んだスピーカーの使用帯域内で、かつ可聴範囲でまず連続となるような分割点を選ぶ」を実行します。スピーカーの帯域内は原則的には1オクターブ内側に寄せてください。上限4000Hzならば2000Hz、下限400Hzなら800Hzです。後は欠点が出ないか耳で寄せます。大きなピークがあるSPを使うときは其処からかなり離れた周波数を選んでください。 いずれにしても計測装置を持たない(-_-;)ので、スイープや音楽を良く聴いて、僅かな資料や人様の実績などで把握しましょう。 |
|
それでは各々の分割点について、選んだ要因を挙げてみます。 ◆ウ−ファー/ロウ・ミッド分割点:250Hz ★大口径ウーファーのピストンモーション範囲は良くて500Hzくらいなので減衰時の裾での再生を減らす為ロウ・ミッドが許せるだけ下げて見たい。 ★ティンパニーの基音や倍音、声楽域を過渡特性が良いと思われるホーンに受け持たせたい。 ◆ロウ・ミッド/ハイ・ミッド分割点:800Hz ★ロウ・ミッドはホーンタイプとは言え振動板は平面型でドライバータイプよりやはり劣るはず。この平面SPは2KHzあたりにピークが出そう(裸で聞くとさほどでもない)なので上限1KHzとしたい。 ★ハイ・ミッドは本格的ホーンドライバーなのでやはり可能な下限から使いたい。無指向性改造時に少し下限が下がったようだ。 ◆ハイ・ミッド/トゥイータ:4KHz ★2つのスピーカとも受持ち帯域に余裕があるので、聴感で決められる。ハイミッドの高音(6K〜)は少し荒い。 ★基音範囲まで(4000Hz)は同一ユニットに任せたい。 ★より軽い振動板のほうが過渡特性が良い可能性がある。 ★トゥイータのショートホーンはかなり上で作用し、クロスを下げるとドームの少しガサ付く音(材料の音?)が感じられる。 |
|
この稿最後に各SPを駆動するパワーアンプについて書きましょう。最近のアンプの質は大変良好で音質を損ねるようなアンプは少ないと思います。そうなると大変差が少なく限られた周波数領域(重低音とか超高音)で特徴を持つということになるでしょう。そこでポイントは効率の良いSPを使うチャンネルではS/Nの良いアンプを必ず使ってください。残留ノイズといいますが、入力が無いアンプ裸の特性でジーとかブーンという雑音です。これは中々ゼロには出来ませんが聴取位置で聴こえないことです。 ◆出力の選択:ご家庭での聴取音量は広さ、環境、好みで一概ではありませんので、何ワットと決め付ける訳には行きませんが、標準的なレベルでは語れそうです。部屋の広さが8〜12畳位でやや大きめ、実演よりやや小さめで聴く場合を想定しますと、95dBくらいのSPでは1ワット前後からフォルテになって20〜30ワットくらい出します。エネルギー的には低音が多いので、低音用アンプは50〜100ワットもあれば十分でしょう。中低音用は10〜20ワットくらい、中高音は3ワット、高音用は1ワット位でしょうか。市販アンプはいづれも余裕たっぷりですね。過ぎたるは及ばざるが如しです。小出力といえどもA級アンプで電流を流して暖房機みたいに熱いアンプがありますが、省エネも考えて欲しいです。うわー!っと言うほどの差は感じられません。自分の耳のコンディションや、ソフトの差の方がよほど大きいです。写真は中高音用無指向性ホーンのアンプの標準的な音量時です。見ているとフォルテでも中々0.1Wに行きませんでした。効率の違うSPを使うときはスピーカー効率で書きました、3dB倍々ゲームを思い出してください。 |
|
◆まとめますと、低音アンプには少々電流を取り出せる電源の確りとした出力の大きめなアンプを宛がい、低中音は中ぐらい、それ以上は小出力で構いません。いずれにしろ歪みの少ない領域で使えると良いのです。(大出力アンプで小出力を扱うと歪み率が悪い傾向)それと低音、中低音にはダンピングファクターの高いアンプが概して過渡現象改善となります。去年の真空管アンプ製作講座で造った、2A3シングル、3.5W+3.5Wアンプでは、低音に入れてみましたところ出力に不足は無く、キージェ中尉の大太鼓も少し甘いふやけた低音でしたがストレスなく鳴らせました。 http://www.hifido.co.jp/merumaga/otomeijin/050826/index.html 音迷人は現在下からマランツSM-17SA、パイオニアM-10X、テクニクスA-1010、パイオニアA-D3です。その都度安い中古品をハイファイ堂で見つけて集めました。従って4台でもどこぞのアンプの1台にも満たない金額です。ですからMASのネックと思われたアンプ代はそう心配要らないということです。その前はヤマハ、ローディー、自作などでした。 アンプについて錯覚しないように一つだけ下記を添えておきます。 基本的には同じ入力ならばどのアンプも同じ出力です。定格出力50Wのアンプと100Wのアンプでは感度倍良いとか言うことではなく其処まで出せるという能力のことです。 以上のようにして「分割周波数」を決めましたが、「遮断特性」と「位相回転」を含め次回のチューニングでこれを確認、追い込みをして見ましょう。 つづく |
|
おまけ: ◆風邪が流行っています。しょうが(ジンゲロール成分)が免疫力アップに良いとか!これを聞いた音迷人さんは、紅茶にしょうがを摩り下ろして入れて3,4日飲みました。残念ながら先週からひいてしまいました。全く「しょうが」ありません。 ◆今年はシューマン没後150年でもありました。奥さんがかの有名なピアニストのクララ、自身もピアニストを目指したシューマンには不思議なことにピアノ協奏曲は1曲だけしかありません。今月はこれを生で聴くことが出来ました。「幻想曲」をベースにしているせいか、揺れ移ろう感じがしますが、終楽章などは中々ダイナミックです。この2楽章で、始まって1分20秒ほどすると、何の変哲も無いのですが、ピアノが絡むチェロの合奏で実にゆったりと安らぐ思いのところがあります。その音色は実に妙なる響きで、人間が手に入れた最高な響きの一つでしょう。シューマンはこれを取り入れる事が出来たのですから凄い実力があると思います。演奏会から帰って試し酒をしましたら、90%くらいホンワカと再生できましたよ。 ◆錆び?:TVから今日仕入れた話ですが「コンクリート電柱が折れる事故が増えている」そうです。メルマガ読者ならピンと来ますでしょう!ただじっと立っているだけの電柱も偏重力や張力で曲げ応力がかかっています。運悪くコンクリートの腹にヒビが発生すると、雨水が入り鉄筋が錆びます。錆が発生し水素が発生すると更に鉄筋が弱くなる「水素脆化」の傾向が強い鉄があるのだそうです。そしてあるとき電柱の途中で突然折れるそうです。示された写真の多くはケーブルなどにぶる下がったようにイの字に折れており、ドスンと落ちそうなのはトランス付かもしれませんね。折れるのは同じ鉄筋でも「水素に弱い鉄筋」を使った判明しているロットだけだそうですが、電力会社のチェックは進行中とか。ヒビやサビ汁にご注意あれ!しかし足元にも! ◆訳も無く西洋音楽や、言葉を禁じられた時代が在り、それは破壊と悲劇を連れて来ました。今日ネジがじわりと逆に巻かれたのでしょうか。 |