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こんにちは、商品部の徳重です。
前回はスピーカーのテストについてでしたが、今回はアンプのテストについてお話させて頂きます。
メンテナンスが完了したアンプの各機能が問題無く動作するか、また不具合が発生した場合の問題箇所を確認する作業です。
プリメインアンプやパワーアンプ(アウトプットトランス搭載の品は除く)は、先ずオフセット電圧測定を行います。
デジタル表示式のテスターでDCV(直流電圧測定)にレンジを合わせ、赤(+)と黒(−)のテストリードをアンプのSPターミナル+/-にそれぞれ当ててから測定します。
アンプは電源投入直後は動作が不安定なので、5分程経過してから測定します。
弊社サービスでは、この電圧値は±10mV以下になるように調整しております。この値が高くなると、スピーカーSWをON/OFFした時にショックノイズが出る等の症状、いわゆる「DC漏れが大きい」状態になります。この値が1000mV近くになると、スピーカーを破損させてしまう(=とばしてしまう)ようです。
オフセット電圧の確認後、アンプに入って来た信号がきちんと出力されているかを確認します。
スピーカーテストの時にも使用する発振器(オシレーター)と、測定器(オシロスコープ)を使います。
また、増幅された信号をそのまま測定器に接続するとアンプに過負荷がかかり壊れてしまうので、左画像のようなダミーロード(擬似負荷:いわゆるスピーカーの代わり)を必ず用います。
まず、発振器をCD/AUX等LINE系の入力に接続します。接続後アンプの電源を入れて音量ボリューム少し上げ、発振器から正弦波(サイン波、ここでは1kHzに設定しています)を出力させると、測定器のスコープに波形が表れます(上・左画像)。ちなみに上の波形が左chで下の波形が右chです。音で聴くと「ピー」という単純な信号ですが、左右レベルバランスが取れていればこのように上下ほぼ同じ波形が表れます。
ちなみにとなりの画像は音楽(オーケストラ)を入力させてみたものです。複数の楽器が同時に鳴っていますから、このように複雑な波形となります。
バランスボリュームを左側へ動かしてみました。
右chが小さくなりますから、波形も画像のように変化します。
余談ですが、ONKYOの一部プリメインアンプのようにバランスコントロールを片ch側に回し切っても完全に音が消えない仕様の機種も有ります。
今度は、音質についてチェックします。
発振器のWAVE FORMボタンを「正弦波」から「矩形波(くけいは)」に切替えます。
正弦波が「ピー」という音なのに対して矩形波は「ビー」という音になります。
TONE等を変化させていないフラットな状態だと、波形は平行な状態で表れます(上・右画像)。
それぞれBASS/TREBLEを上げると、上の画像のように波形が変化しますので、左右の音質が均等に変化しているかチェック出来ます。TREBLEの左右の変化の度合いが少し異なる事が分かります。この部分はメンテナンスが必要です。
右の画像は、LINE系ではなくPHONOに矩形波を入力させた時の波形です(TONE等はフラットな状態)。RIAA特性で刻まれた音を実際に聴けるようにする回路(フォノイコライザー)を通しますので、このような波形が表れます。
今回はアンプの基本的なオフセット電圧と波形バランスチェックについてでした。
アンプの各機能が問題無く動作しているかの確認であり、音色の善し悪しまでは測定出来ませんので、最終的には「耳」で実際に音を聴きながらチェックする事が重要、というのは言うまでもありません。
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