〜ハイファイ堂まちある記〜京都国際写真祭にて |
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----KYOTO GRAPHIE---- international photography festival 第3回「京都国際写真祭」 2015年4月18日(土)〜5月10日(日) www.kyotographie.jp |
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ハイファイ堂の機材をある写真展で貸し出すことになったと聞いたのは3月のことだ。はじめは京都のまちなかの小さなギャラリーで開かれるこじんまりしたものだと想像していたので、こんな大掛かりな写真祭に関わるものだとわかって驚いた。 |
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世界屈指の国際都市である京都を舞台に開催される京都国際写真祭は今年で3年目を迎える。 その企画展のひとつが、モダン・ジャズの名門レーベルとして数多くの名盤を世に送り出してきたブルーノート・レコードのジャケットに使用されたオリジナル写真をNYから持ち込み展示するというものだ。 ギャラリーにはジャズラウンジを設置し、貴重なビンテージレコードの展示とともにレコードを聴くことができる。ギャラリー内で流す音楽用機材の幾つかをハイファイ堂で貸し出すのだ。 写真とハイファイ堂も細くてなが〜い糸でつながっていた。 |
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ブルーノート・レコードのジャケット写真を展示するギャラリーの他に5つの会場にハイファイ堂の機材が置かれているので、これらの会場を中心に写真展の会場を巡ることになった。 写真祭の写真を撮るのに携帯のカメラでは心もとないということで、カメラマンが同行することになった。前日から京都入りしすべての写真展会場を回った案内役とともに、女性3人での、見た目は大人の遠足?という取材チームを組んだ。 |
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4月25日(土)朝、JR京都駅新幹線八条口改札を出た。待ち合わせの時間にはまだ間があるので、荷物を預けるためにコインロッカーを探す。まだ10時を少し過ぎたばかりだというのに一番サイズの小さいロッカーはもう結構埋まっている。改札に近い出口からどんどん離れるように歩いてようやくロッカーの空きを見つけた。 早朝のひんやりした空気は京都駅構内でもすでに温められはじめて、初夏の陽気を予感させるまでになっている。首にまきつけていた大判の麻のストールもすぐに邪魔な手荷物となるだろう。くしゃくしゃとロッカーに押し込んで、待ち合わせ場所に急いだ。 |
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すでに待っていたほかの二人と合流して、地下鉄烏丸線で烏丸御池へ。御池通を西、二条城のほうへ向かって歩く。ちなみにこの「御池」は「おいけ」と読む。 街路樹の新緑が綺麗だ。カメラ担当が東京銀座の雰囲気に似ているという。車道は4車線ほどもある大通りだが、歩道の人通りはまだそれほど多くなく自転車でのすれ違いが多い。 |
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始めに訪れる会場は堀川御池ギャラリーだ。地下鉄に乗り、歩いた時間も含めて京都駅から20分もかからなかっただろうか。11時の開館までしばらく待つ。 |
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堀川御池ギャラリーは市民開放型のギャラリーで、京都市立芸術大学ギャラリー(@KCUA)、京都市立銅駝美術工芸高等学校の美術展示を中心に使用されている。 |
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ギャラリーの背後には、多くの音楽家を輩出し、ユニークな教育方針で注目を集める京都市立京都堀川音楽高校がある。指揮者の佐渡裕もここの出身だ。 |
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展示プログラムは、 ロジャー・バレン/Shadowland 1969-2014 ロジャー・バレンの世界 |
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ロジャーバレンは南アフリカを活動拠点とする。白黒で写真なのに抽象画のような不思議な世界を描き出す。中には正視できないような事物を題材にしながら、観覧者の視線をそむけさせることがない。 作者のユーモアと被写体への温かみが白黒の靄の中からあふれているせいかもしれない。 |
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この会場では映像展示用の機器の一部として、どこかにYAMAHA P2050が潜んでいるはずだ。 |
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次は御池通を烏丸御池駅方面に戻る。 伝統的町家空間「嶋臺ギャラリー」。 慶長13年(1608年)糸割符商として創業した。江戸時代中期からは造り酒屋としても繁栄したそうだ。現存の建物は明治16年(1883年)建築。 こちらにブルーノート・レコードの写真の展示とジャズラウンジがある。外観からは想像ができない。 |
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建物の向かって右に折れると入り口がある。 |
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玄関を入って、受付の奥に井戸が。造り酒屋の名残だろうか。 |
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展示プログラム フランシス・ウルフ/フランシス・ウルフとブルーノート・レコード |
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蔵の中のジャズラウンジ。 YAMAHA GT-750 McIntosh C24 McIntosh MC2105 スピーカーは他社提供。 詳細はこちら↓↓↓ http://ologe-acoustic.jp/ja/ |
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ブルーノート・レコードの貴重なコレクションに囲まれながら。 |
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いよいよ展示室に。靴を脱いで座敷に上がる。 |
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こんなところでお仕事中のハイファイ堂オーディオ。 JBL SA600 SONY CDP-X33ES |
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後ろを振り返ると、眩しい緑。 |
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庭との対比が見事なパネル展示。 |
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数ある中からジャケット写真として採用されたのはどの写真か?どの部分をトリミングしたのか?わかるようになっている展示も。 当時のレコーディングエピソードなども記されている。 |
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ジャケットにならなかった数多くの写真から、当時のミュージシャンたちの息遣いを生々しく感じる。みな若く、力がみなぎっている。刹那に生み出される音に全霊をかけ、生の喜びにあふれている。 黒いレコード盤に残されているのは単なる過去の記録ではなく、彼らの生きている証だったのだと改めて深く感じ入った。 |
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ギャラリー売店には、ブルーノート・レーベルのCDや日本では手に入りにくい、フランシス・ウルフの写真集などが販売されている。 |
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レコードジャケット風のポートレートが撮れるこんなアトラクションスペースも。 旅の思い出に一枚いかが? |
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おいとまする私達と入れ違いに、ウッドベースのケースを携えたミュージシャンが入ってきた。 夕方からのジャズライブの準備だろうか?この空間でどんなジャズが聴けるのだろう。 |
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次に向かったのは、コムデギャルソン京都店。 嶋臺ギャラリーを出て御池通をまた東に向かって歩く。御幸町通を左に曲がるのだが… |
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ここがややわかりにくい。 嶋臺ギャラリーから市役所方面に向かっている。 ここを左に曲がる。 |
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一瞬見落としてしまいそうだが、KYOTO GRAPHIEの赤いのぼりが目印。 このピカピカツルツルの黒い箱がコムデギャルソン京都店。 |
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道路コーンも黒くておしゃれ。 |
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ここはロジャー・バレンの映像作品のみの展示である。 普段、◯ニクロなどのファストファッションにしか縁のない身としては、店内のT-シャツ一枚さえ美術品のようにうつる。 実際、コムデギャルソン春夏コレクションとしてデザインされ、世界に5着しか無いという「赤ずきん」は迫力満点であった。最新のモードに触れることもでき、一見の価値あり、である。 そうそう、ここにもハイファイ堂の Thomann S-75mk2 が隠れているはずだ。 |
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また、御池通に出て京都市役所へ。 鯉のぼりの掲げられた市役所前広場に、世界的建築家・坂茂氏のデザインによる”紙管パビリオン”が。写真で見るとただの白いプレハブ小屋のようだが、なかなか洒落ている。 |
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マルティン・グシンデ/フェゴ諸島先住民の魂ーセルクナム族、ヤマナ族、カウェスカー族 彼らの言葉はもうこの地上には存在しないそうだ。(ここは私の個人的な興味で立ち寄った。機器の貸出はない。) |
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京都市役所から東に向かって河原町通を左に入る。 旧島津製作所の前を通って北にしばらく歩くと… |
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あら、なんだか見慣れたロゴの看板が。 |
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ようこそ、おこしやす、ハイファイ堂京都店へ。 京都店だけロゴマークの白赤が反転してしている。 |
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ででん! TANNOY Westminsterだ。 今週の京都店トピックスで紹介されたVANDERSTEENのエントリーモデル model 1も入り口付近にあった。 |
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棚の奥で静かにビンテージ品特有のオーラを放つコンパクトサイズの蓄音機。こういうの、乙女心に刺さる。 |
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ハイファイ堂内でもワンランク上のメンテナンスをめざす京都店2階の工房スペース。 奥の衝立の中では大型機器の塗装の真っ最中。 |
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ここまでまだ4つの展示しか見ていないがどれも見応えがあり、思いの外、時間を取ってしまった。近くのホテルの地下でお蕎麦を頂いた。 ホテルでは結婚式があったようだ。記念撮影中のカップルから、幸せのおすそ分けをいただいて、エネルギーチャージ! 次の会場目指して、どんどん歩く。 |
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森鴎外作『高瀬舟』が下ったという高瀬川を渡ると、鴨川だ。 |
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風薫る鴨川。町の喧騒に疲れたら、しばらく水辺を歩くのがいい。 |
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鴨川西岸では、夏の風物詩、川床の建設が進む。 |
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ちょっと横丁に入るとこんな町娘が呼びこみ? この界隈は焼肉屋さんが軒を並べている。 |
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葉っぱ模様のパンチングが美しい、SferaExhibition |
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ルイ・ジャム/チェルノブイリ 独特の手法で加工された写真と映像の展示。日本初となるこの個展では原子力発電所事故の余波が続くチェルノブイリで撮影された作品を紹介した。 ハイファイ堂の機材もちょこっとお手伝い。 Accuphase E-202 BOSE 901SS BOSE 101MM |
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ここから更に南に下ってまた鴨川を西岸に渡る。 同じく西岸に渡る人の中に着物を着た人がたくさん混じっていた。折しも南座で歌舞伎公演が終わったばかりのようだった。 |
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村上重ビル。 村上重は千枚漬けで有名な漬物屋の老舗。180年の歴史を持つ。こちらは本店横の2013年にリノベーションされたビル。レストランやカフェ、階上にはスパ付き宿泊施設がある。 アートスペースは地下に。 |
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ボードワン・ムアンダ/コンゴの紳士たち、「サプール」の美学 コンゴのサプール(Sapeurs)という男たちをご存知だろうか? 灼熱のコンゴでは週末、60年代パリの紳士を手本にしたスタイルの伊達男たちが街を練り歩く。 映像とアフリカ音楽による展示を、われらがセンモニが引き立てる。 |
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YAMAHA NS-1000M YAMAHA CA-2000 センモニがコンゴの音楽を小気味良く鳴らしている。華やかな衣装に身を包んだサプールたちが軽やかにステップを踏み、躍動する。 この会場受付のお兄さんが撮影者のムアンダさんやサプールについて丁寧に説明をしてくれた。ムアンダさん本人は「僕はサプールじゃない」と言っていたとか。 |
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こちらは村上重本店。 京都では◯に十字印の家紋をよく見る。 この時期は千枚漬けはないが、季節の野菜を使った様々な漬物が多数取り揃えてある。 |
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村上重ビルで、ハイファイ堂の機器が設置された会場は最後だったが、少し時間に余裕があったので、案内役の勧めでもう一つ展示を見に行くことに。 迷っても赤いのぼりが写真展会場の目印。 |
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鴨川近くから四条通を西へ、一気に堀川通に向かって歩く。人混みを避けて、小路に入る。 花洛庵 野口家住宅。 ヨシダキミコ/All that' not me---私じゃないわたし |
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ここは写真祭のポスターやパンフレットの表紙にもなっているヨシダキミコの個展会場。野口家住宅は通常は非公開である。伝統的な日本家屋にヨシダキミコのセルフポートレートが掲げられ不思議な空間が出来上がっている。 (※画像は嶋臺ギャラリーの外側で撮ったもの) |
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これで京都地下鉄の駅にして5駅分くらいを歩いたことになったろうか。さすがに足が痛くなってきた。四条通に出てJR京都駅行きのバスに乗り、京都国際写真祭を巡る旅を終えることにした。 JR京都駅に着いて、ふとiPhoneの歩数計を開いてみた。なんと本日の歩数は17,000歩以上!普段は引きこもりのような生活でいいところ3000歩を超える程度だ。明日以降の筋肉痛が怖い。 |
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京都国際写真祭は5/10(日)まで。写真祭の展覧会場の他に約50のスペースにて展覧会やイベントを行っている。こうした小さな会場を訪ね歩くのもいいだろう。自分だけのとっておきの京都に出会えるかもしれない。 また、京都国際写真祭の期間中は、ボランティアガイドと巡るツアーの企画もある。 「ボランティアガイドと巡る KYOTOGRAPHIE 京都の魅力満喫ツアー in English!」 ↓↓↓ http://www.kyotographie.jp/2015/voluntteer_guide_tour 問い合わせはKYOTOGRAPHIE京都国際写真祭2015・ガイドツアー担当係 TEL&FAX: 075-708-71085(10時-17時) E-Mail:event@kyotographie.jp |
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GWの予定がまだ決まっていないという方には、写真展めぐりをしながら、一味違った京都観光というのはいかがだろう。 そして、ハイファイ堂京都店もコースに加えていただければ幸いである。 |
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おまけ 横の画像は嶋臺ギャラリーで撮ったポートレート。取材チームの3人で。もともと怪しげな雰囲気?だったのがあとから施した目隠し加工のおかげで余計に… |
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取材日:2015年4月25日(土) コーディネート:二宮あゆみ 写真:堀川詩保子 文(一部写真):横井昌美 |