あの音にもう一度出会いたい 第22話「JBL Ti 10K スピーカー」 2006年6月9日 近藤賢二
確か5、6年ほど前だと思う。JBL Ti 10Kを新鮮な感じで眺めていた。最初見た時「えぇ・・これがJBLか」と驚いたのを思い出す。フェースから受ける印象はどう見てもスマートなヨーロピアンスタイルであり、ゆるやかな傾斜をもたせたフロントバッフルと、なめらかな曲線を描くサイドパネルから構成される、ハイテクユニットと独自のラウンドエンクロージャーを採用した新世代スピーカーだと感じた。とてもあのアメリカンナイズされた、ゴツッとしたJBLという印象ではなかったからだ。
まず「どうやって作るんだろう」と疑問が浮かんだ。正面から見ると台形。曲面を多用し平行面をなくしたユニークな造型だ。横はふっくらとした曲線。どこを見ても単純な形ではない。しかしとてもエレガントなスタイルだ。おまけに仕上げも素晴らしく、淡いビーチ木目が際立った美しさを持っている。時間をかけて見ていくと、なぜかだんだんと親しみがわいてくる。ユニットはJBLの本拠地アメリカで設計し、エンクロージャーはデンマークで生産したという。つまり米欧合作だ。台形という低重心スタイルだから非常に安定している。さらに3点支持の高さ調整機能も付いている。各部見ていくと入力端子が底面にあるのは、かなり使いにくそうだが、当時流行し始めたマルチチャンネル(5,1ch)システムにも発展可能なものだと思った。このシリーズでのTi6K,Ti2K,Ti1K Centerと4種類のTiK Series からもそれが予測できる。