ハイファイ堂メールマガジン

このところ、めっきり日が暮れるのが早くなり「つるべ落とし」とはよく言ったものだなぁと思う今日このごろ、皆様如何お過ごしでしょうか。ハイファイ堂秋葉原店　廣川勝正です。さて、今回は伊藤喜多男氏設計のコントロールアンプCRESCENT/RA1501-Aについて語らせて頂きたいと思います。

	このコントロールアンプ、最初に申し上げると、全く音に対して期待していませんでした。というのも、伊藤喜多男氏のアンプの音をよくご存知のお客様から「普通の音だよ。」と聴く前に言われていたからというのがあったからです。さらに、自分はあまり得意な分野でもなく、有名な設計者のアンプだと聞かされてはいましたが、「一自作品、一ガレージメーカーの製品」という考えしか無かったから、というのも同時にあったからだと思います。

ところが、レコードプレーヤーにMCカートリッジをセットし、針をおろした瞬間「これは只者ではないぞ！」と戦慄を覚えました。今まで雑な録音に感じていたレコードたちが、恐ろしいほどスムーズで滑らかに鳴り始めたからです。最初の頃は、嘘だろう、まさかこのコントロールアンプに変えただけでこんなに音が変わるはずがないと疑っていました。ですが、取っ替え引っ替えレコードをかけていく内に信じ始め、違うシステムに組み込んで聴いた時には、既に確信に変わっていました。「これは只者ではないアンプだ！」と。
右の写真のボリュームを見ただけで、このアンプに搭載されているパーツ類のグレードの高さを窺い知ることが出来ます。ですが、伊藤喜多男氏曰く、グレードの高いパーツを使っても、設計が確かでなければ、良い音を追求するためと部品の性能を確かめるための実験室の試作品にすぎないとの事。全体の重量バランス、見た目の美しさ、操作の容易さが伴わなければならないと言っているのです。
建築の事に置き換えれば、建坪の制限内にいかに居住性の良い家屋を建造するか、車の事に置き換えれば、ボンネットを開けてエンジンを眺めただけでその性能の良さを理解出来るような車を造れるか、ということをこのアンプの設計者が語っているのだと思います。回路図もしかり。生半可な知識や経験で創り上げられた製品ではないことを、この音が如実に語っているような気がしました。いかがでしたでしょうか。今回は、まれに見る音が聴けるアンプに出会ったので、その製品についてほんのさわり程度ではありますが、語らせて頂きました。この製品は、現在、新店舗のハイファイ堂丸の内店にて、あのパラゴンのシステムで聴くことが出来ます。ぜひ、お近くまでお越しの際には、フォーラム裏の新東京ビル1Fにある丸の内店で実際の音を体感してみてください。もちろん、秋葉原店の音も負けてはおりませんので、秋葉原店、丸の内店、大丸東京店と、東京地区3店舗の音を聴き比べしてみてください。では、また次回。

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